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第4章 ヒロインズ・バトル
第83話 聖ブレイビア祭
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◇
王都の僻地に、外界から隔離するように立地しているブレイビア学園。
そこから学園保有の大型馬車で、他の生徒たちと一緒に揺られること30分。
俺とアリエッタは王都の中心部へと降り立った。
「馬車って結構、速いんだな。しかも普通のサイズじゃなくてかなり大きな車体だったのに」
生まれて初めて乗った馬車は――というか見るのも初めてだ――自動車と同じとまでは言わないが、思っていたよりもかなり速かった。
「ブレイビア学園の馬車の御者は、水魔法を使う姫騎士だもの。普通の馬車とはモノが違うわ」
「あれ? 風魔法じゃなくて水魔法なのか? 移動っていえば風魔法の得意分野だろ?」
なのになぜ水魔法?
「馬の体力を常に回復し続けているのよ。馬って普通は、馬車を引くとすぐに疲れちゃうから長い時間を走り続けることはできないでしょ? でもブレイビア学園の馬は、御者の姫騎士が水魔法で回復させるから、馬は全く疲れずに高速で走り続けられるのよ」
「なるほどな。説明を聞いたら納得した」
日常生活における精霊の利用。
アリエッタもドライヤー代わりに炎の精霊を使っていたけど、これもゲームでは語られることが少ない姫騎士のリアルだよなぁ。
「そんなことより早く行きましょう。メインの仮装パレードが始まっちゃうわ」
「そんなに楽しみだったのかよ」
「べ、別にユータとデートするのが楽しみだとか、そんな勘違いはしないでよねっ!」
「俺は単に、そんなにパレードが楽しみだったのかって思っただけなんだが」
「~~~~~~っっ!! 行くわよ!」
「はいはい」
「はいは1回!」
「了解了解」
「了解も1回!」
「はい、了解」
「……それずるくない?」
「俺的には上手く言ったつもりなんだけど」
「ふーんだ。そういうのは悪知恵が働くって言うのよ」
こころもち頬を赤らめながらズンズンと先を行くアリエッタを、俺は小走りで追いかけると、隣に並ぶ。
「出店がいっぱい出てるな。ちょっと買って行ってもいいか?」
「あれ? ユータは無一文って言ってなかったっけ?」
「実はこの前、学園から奨学金を貰ったんだよ。しかも結構な額」
「ああ、ルナがもらっているアレね」
「それそれ。しかも返済は一切不要なんだってさ。太っ腹だよなぁ」
こんな特別待遇が受けられるなんて、やっぱり神騎士LV99は最高だな!
「ユータは特待生の中の特待生だもの、当然よね。1年生タッグトーナメントでも圧倒的な強さで結果を出したわけだし。それでユータ何を買うの?」
「やっぱり出店でしか買えないものがいいよな。せっかくのお祭りなんだしさ」
「例えば?」
「うーん、そうだな……お、りんご飴だ。まずはこれにするか。すみませーん、これ2つ下さーい」
「あいよ、にーちゃん! 毎度あり!」
俺は屋台のおっちゃんにお金を払い、2本のりんご飴を受け取ると、1本をアリエッタに渡した。
「はい、俺のおごり」
「あら、ありがと」
「おごりって言っても、出どころは奨学金なんだけどさ」
若干そこが心苦しくはあるが仕方ない。
「ユータが実力で勝ち取った奨学金なんだから、堂々とすればいいでしょ? 変なの」
「そんなもんか?」
「そんなものよ。ふふっ、いざ戦うとなるとあれだけ強いのに、妙に小市民な性格してるよね、ユータって」
アリエッタはおかしそうに笑ったあと、手に取ったりんご飴を顔の前に持ってくると、
「それで、これはなに? 見たところ棒付きキャンディよね? どこにリンゴ要素があるの? なんとなく外見がリンゴに見えなくもないけど、ちょっと無理があるんじゃない?」
今度は不思議そうに、りんご飴を眺めはじめた。
王都の僻地に、外界から隔離するように立地しているブレイビア学園。
そこから学園保有の大型馬車で、他の生徒たちと一緒に揺られること30分。
俺とアリエッタは王都の中心部へと降り立った。
「馬車って結構、速いんだな。しかも普通のサイズじゃなくてかなり大きな車体だったのに」
生まれて初めて乗った馬車は――というか見るのも初めてだ――自動車と同じとまでは言わないが、思っていたよりもかなり速かった。
「ブレイビア学園の馬車の御者は、水魔法を使う姫騎士だもの。普通の馬車とはモノが違うわ」
「あれ? 風魔法じゃなくて水魔法なのか? 移動っていえば風魔法の得意分野だろ?」
なのになぜ水魔法?
「馬の体力を常に回復し続けているのよ。馬って普通は、馬車を引くとすぐに疲れちゃうから長い時間を走り続けることはできないでしょ? でもブレイビア学園の馬は、御者の姫騎士が水魔法で回復させるから、馬は全く疲れずに高速で走り続けられるのよ」
「なるほどな。説明を聞いたら納得した」
日常生活における精霊の利用。
アリエッタもドライヤー代わりに炎の精霊を使っていたけど、これもゲームでは語られることが少ない姫騎士のリアルだよなぁ。
「そんなことより早く行きましょう。メインの仮装パレードが始まっちゃうわ」
「そんなに楽しみだったのかよ」
「べ、別にユータとデートするのが楽しみだとか、そんな勘違いはしないでよねっ!」
「俺は単に、そんなにパレードが楽しみだったのかって思っただけなんだが」
「~~~~~~っっ!! 行くわよ!」
「はいはい」
「はいは1回!」
「了解了解」
「了解も1回!」
「はい、了解」
「……それずるくない?」
「俺的には上手く言ったつもりなんだけど」
「ふーんだ。そういうのは悪知恵が働くって言うのよ」
こころもち頬を赤らめながらズンズンと先を行くアリエッタを、俺は小走りで追いかけると、隣に並ぶ。
「出店がいっぱい出てるな。ちょっと買って行ってもいいか?」
「あれ? ユータは無一文って言ってなかったっけ?」
「実はこの前、学園から奨学金を貰ったんだよ。しかも結構な額」
「ああ、ルナがもらっているアレね」
「それそれ。しかも返済は一切不要なんだってさ。太っ腹だよなぁ」
こんな特別待遇が受けられるなんて、やっぱり神騎士LV99は最高だな!
「ユータは特待生の中の特待生だもの、当然よね。1年生タッグトーナメントでも圧倒的な強さで結果を出したわけだし。それでユータ何を買うの?」
「やっぱり出店でしか買えないものがいいよな。せっかくのお祭りなんだしさ」
「例えば?」
「うーん、そうだな……お、りんご飴だ。まずはこれにするか。すみませーん、これ2つ下さーい」
「あいよ、にーちゃん! 毎度あり!」
俺は屋台のおっちゃんにお金を払い、2本のりんご飴を受け取ると、1本をアリエッタに渡した。
「はい、俺のおごり」
「あら、ありがと」
「おごりって言っても、出どころは奨学金なんだけどさ」
若干そこが心苦しくはあるが仕方ない。
「ユータが実力で勝ち取った奨学金なんだから、堂々とすればいいでしょ? 変なの」
「そんなもんか?」
「そんなものよ。ふふっ、いざ戦うとなるとあれだけ強いのに、妙に小市民な性格してるよね、ユータって」
アリエッタはおかしそうに笑ったあと、手に取ったりんご飴を顔の前に持ってくると、
「それで、これはなに? 見たところ棒付きキャンディよね? どこにリンゴ要素があるの? なんとなく外見がリンゴに見えなくもないけど、ちょっと無理があるんじゃない?」
今度は不思議そうに、りんご飴を眺めはじめた。
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