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第4章 ヒロインズ・バトル
第84話 りんご飴
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「なんだよ? お祭りが好きなのにりんご飴も知らないのか? 屋台の定番お菓子だろ? 食べたことないのか?」
「だって私、お祭りはいつも家族とVIP席で見学するから、出店なんて行ったことないんだもの。食事も飲み物もデザートも付いていたから、出店で買い物をする必要はなかったのよね」
「くっ、これが上級国民が上級であるがゆえに、つい言ってしまうハイレベル『また俺なにかやっちまいましたか?』ってやつか! 俺も人生で一度は言ってみたい!」
「ユータ、急になに言ってるのよ?」
「悪い、独り言だ。きっとお祭りで浮かれているんだな。気にしないでくれ」
「そう?」
思わずツッコミを入れてしまったものの、お祭り気分だったということで誤魔化す。
「ま、こいつはあれだよ。庶民のお祭りの定番ってやつでさ」
「庶民のお祭りの定番? これが?」
「で、さっきの答えなんだけど、この飴のコーティングの中に小さなリンゴがまるまる1個、入っているんだ。だからりんご飴。そのまんまだろ?」
「この中にリンゴが? 嘘でしょ? どう考えても入るわけがないわ」
「りんご飴専用のミニリンゴがあるんだよ。姫リンゴって言ったかな」
「へぇ。そんなのがあるんだ。不っ思議~!」
「ほらほら、じーっと見ていないで食べてみなって。見てるだけじゃ味は分かんないだろ? 百聞は一見にしかずだ。いやこの場合は、百聞は一味にしかずか?」
俺が自分のりんご飴を舐め始めると、
「それもそうよね」
続いてアリエッタがりんご飴を可愛らしく舐め始めた。
アリエッタの小さくて可愛らしい舌が、俺のおごりのりんご飴をペロペロ、チロチロと舐め取ってゆく。
ペロペロ、チロチロ。
ペロペロ、チロチロ。
アリエッタの可愛らしい舌が、俺のりんご飴をなまめかしく舐め取って──
って、いやいや!
何を考えているんだ、俺は!!
ついいけない妄想をしてしまった俺に気付くこともなく、アリエッタはむはむとりんご飴を味わった後、
「どうだ?」
「甘くて美味しいわ」
満足顔でつぶやいた。
「だろ?」
「でも外側の飴が硬くて、中のリンゴが食べられないわね。思いっきり噛み砕けばいいの?」
「なんでもすぐに物理パワーで突破しようとするのは止めてくれい!」
困ったら真っ向勝負の力づくで乗り越える。
実にローゼンベルクの姫騎士らしいアリエッタの物言いに、俺は思わず苦笑してしまった。
「だってこれじゃ、外側の飴しか食べられないじゃない。こう見えて私、けっこう歯の硬さには自信あるのよね。多分、行けるわ」
「行かなくていいから! えっと、すぐにコーティングの飴が溶けて柔らかくなるから。そのまま食べ進めて、柔らかくなってきてから少し力を入れたら、簡単にパキッといくからさ」
俺の説明にアリエッタはふむふむとうなずくと、再びりんご飴を舐め始める。
少ししてから、
「あ、そろそろかも」
アリエッタはそう言うと、りんご飴に軽く歯を立てた。
するとパキッと小気味いい音がして、コーティングの飴が割れた。
「な? 言った通りだっただろ?」
「なんでユータがそんな自慢げなのよ? ま、楽しいからいいけど。なかなか遊び要素のあるお菓子ね。お祭りの定番っていうのも納得だわ」
「だろ? で、ここからはリンゴと飴を同時に食べていくんだ」
「あら、中のりんごは少し酸味があるのね。外側の甘さと中の酸味が絶妙なバランスで、癖になりそうないい味を出しているわ。私これ好きかも」
アリエッタのお嬢さま舌が庶民の味に馴染むかが少しばかり不安だったのだが、どうやら問題はなかったようだ。
だとしたら俺のやることは決まりだな!
「だろだろ? よし、パレードが始まるまでの間、俺が屋台の美味しい食べ物をアリエッタに全力で案内するよ!」
「率先してエスコートを申し出るなんて、気が利くじゃない。でもエスコートするからには、ちゃんと楽しませてよね?」
「おうよ、俺に任せとけ!」
というわけで。
俺はアリエッタに出店案内をすることになった。
「だって私、お祭りはいつも家族とVIP席で見学するから、出店なんて行ったことないんだもの。食事も飲み物もデザートも付いていたから、出店で買い物をする必要はなかったのよね」
「くっ、これが上級国民が上級であるがゆえに、つい言ってしまうハイレベル『また俺なにかやっちまいましたか?』ってやつか! 俺も人生で一度は言ってみたい!」
「ユータ、急になに言ってるのよ?」
「悪い、独り言だ。きっとお祭りで浮かれているんだな。気にしないでくれ」
「そう?」
思わずツッコミを入れてしまったものの、お祭り気分だったということで誤魔化す。
「ま、こいつはあれだよ。庶民のお祭りの定番ってやつでさ」
「庶民のお祭りの定番? これが?」
「で、さっきの答えなんだけど、この飴のコーティングの中に小さなリンゴがまるまる1個、入っているんだ。だからりんご飴。そのまんまだろ?」
「この中にリンゴが? 嘘でしょ? どう考えても入るわけがないわ」
「りんご飴専用のミニリンゴがあるんだよ。姫リンゴって言ったかな」
「へぇ。そんなのがあるんだ。不っ思議~!」
「ほらほら、じーっと見ていないで食べてみなって。見てるだけじゃ味は分かんないだろ? 百聞は一見にしかずだ。いやこの場合は、百聞は一味にしかずか?」
俺が自分のりんご飴を舐め始めると、
「それもそうよね」
続いてアリエッタがりんご飴を可愛らしく舐め始めた。
アリエッタの小さくて可愛らしい舌が、俺のおごりのりんご飴をペロペロ、チロチロと舐め取ってゆく。
ペロペロ、チロチロ。
ペロペロ、チロチロ。
アリエッタの可愛らしい舌が、俺のりんご飴をなまめかしく舐め取って──
って、いやいや!
何を考えているんだ、俺は!!
ついいけない妄想をしてしまった俺に気付くこともなく、アリエッタはむはむとりんご飴を味わった後、
「どうだ?」
「甘くて美味しいわ」
満足顔でつぶやいた。
「だろ?」
「でも外側の飴が硬くて、中のリンゴが食べられないわね。思いっきり噛み砕けばいいの?」
「なんでもすぐに物理パワーで突破しようとするのは止めてくれい!」
困ったら真っ向勝負の力づくで乗り越える。
実にローゼンベルクの姫騎士らしいアリエッタの物言いに、俺は思わず苦笑してしまった。
「だってこれじゃ、外側の飴しか食べられないじゃない。こう見えて私、けっこう歯の硬さには自信あるのよね。多分、行けるわ」
「行かなくていいから! えっと、すぐにコーティングの飴が溶けて柔らかくなるから。そのまま食べ進めて、柔らかくなってきてから少し力を入れたら、簡単にパキッといくからさ」
俺の説明にアリエッタはふむふむとうなずくと、再びりんご飴を舐め始める。
少ししてから、
「あ、そろそろかも」
アリエッタはそう言うと、りんご飴に軽く歯を立てた。
するとパキッと小気味いい音がして、コーティングの飴が割れた。
「な? 言った通りだっただろ?」
「なんでユータがそんな自慢げなのよ? ま、楽しいからいいけど。なかなか遊び要素のあるお菓子ね。お祭りの定番っていうのも納得だわ」
「だろ? で、ここからはリンゴと飴を同時に食べていくんだ」
「あら、中のりんごは少し酸味があるのね。外側の甘さと中の酸味が絶妙なバランスで、癖になりそうないい味を出しているわ。私これ好きかも」
アリエッタのお嬢さま舌が庶民の味に馴染むかが少しばかり不安だったのだが、どうやら問題はなかったようだ。
だとしたら俺のやることは決まりだな!
「だろだろ? よし、パレードが始まるまでの間、俺が屋台の美味しい食べ物をアリエッタに全力で案内するよ!」
「率先してエスコートを申し出るなんて、気が利くじゃない。でもエスコートするからには、ちゃんと楽しませてよね?」
「おうよ、俺に任せとけ!」
というわけで。
俺はアリエッタに出店案内をすることになった。
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