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第1章 朝5時にピンポン連打する異世界押しかけ妻
第22話 ¥700,000,000-
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俺が口をポカーンと開けて黙り込んでいると、
「あれ? どうしたんですかトール。お金入っていませんか? 一応、召喚先で一生優雅に遊んで生活していけるだけおの金が入っていると、聞かされているんですけど……」
エリカが少し不安そうな声色で俺に尋ねてくる。
「ああ、うん。ちゃんと入ってはいるよ」
「そうですか。でもそれならどうしてトールは急に黙ってしまったんでしょうか?」
不思議そうな顔で尋ねてくるエリカに、俺は急に込み上げてきた動悸を必死に抑えながら答える。
「お金は入ってはいるんだけどさ? なんかえらくゼロがいっぱいあるなと思っちゃってさ。最初が7で……えっとなにこれ……? え、ゼロが1、2,3,4、5、6、7、8……え? 7億円ってこと?」
「7億円ですか。わたしはこの国の実質的貨幣価値に明るくないので、7億円がどれほどのものかは分かりかねるのですが、困惑している様子から察するにこれでは不十分ということでしょうか?」
「あ、いえ十分すぎると思いますデス」
7億円という空前絶後のパワーワードがもたらす衝撃に、俺は思わず片言になってしまう。
「なら良かったです」
「はい、良いでございマス」
「あの、どうしてトールはそんなに変な感じでかしこまっているんですか?」
「どうしてって、だってそりゃ7億円だよ7億円!? 7億円って言ったらサマージャンボ宝くじの1等・前後賞合わせた金額だぞ!? サラリーマンの生涯年収の数倍だぞ!?」
「はぁ……」
「文字通りに遊んで暮らせる金額じゃん! こんなもん見せられたら庶民はみんなひれ伏すわ! エリカ様、何なりとこの俺にお申し付けくださいませ! 肩をお揉みしましょうか? それとも足を舐めましょうか?」
「いえ、トールにそんなことを命令したりはしませんけど、そんなにすごい金額なんですか?」
もはや興奮を隠しきれない俺をよそに、エリカはのほほんと聞いてくる。
「例えばだぞ、計算しやすいように100年生きるとしてだ。利子が全くなかったとしても、毎年700万円使って生活できるってことだ。俺の年収の2倍ものお金を毎年使い放題ってことだぞ? 30歳無職がこんな金額見たらそりゃ驚くに決まってるだろ!?」
7億あったらもう人生勝ったと同義じゃん。
いいなぁ。
いいなぁ。
すっごくいいなぁ。
「トールの喜びようを見れば、7億円がとてつもない大金なのは理解できました。ではこれはトールに差し上げますね」
「うえぇぇっ!? 俺にくれるの!?」
「はい、女神様からもそう言いつかってますので」
「7億円を俺にくれるの!? 全額を!?」
「正確には共同管理ってところでしょうか? わたしもお金がないと生活ができませんので、最低限だけ使わせていただきたくは思いますが、基本的にトールが自由に使ってくださいな」
「いやでも7億円だよ? ものすごい金額だろ?」
「予習してきたとはいえ、わたしはこの世界のことをトールほどは知りません。オレオレ詐欺やマンション投資詐欺、開運商法詐欺、マルチ商法、情報商材詐欺、仮想通貨詐欺、原野商法などにあわないためにも、トールに管理していただいたほうが安全かと思いますので」
「いや、そんな単語が次から次へとポンポン出てくるあたり、間違いなく俺よりエリカの方が金銭面でもはるかに即戦力だと思うんだが……」
「トールはほんと謙虚ですね♡ でも気にせずどうぞお使いください」
「マジか……」
「マジです♡」
「そっか……うん、分かった。そうまで言うならありがたく使わせてもらうよ」
「はい♡」
「ただし――」
「はい? なんでしょうか?」
「あくまでこれはエリカのお金とする。俺が使うとしてもエリカと何かをするために必要なお金と、最低限の生活費だけにする。その点だけはこの際はっきりとさせておきたい」
「別に遠慮はいりませんよ? トールは世界を救った勇者様で、わたしの未来の夫なんですから。どうぞ好きに使ってください」
「別に遠慮してるわけじゃないんだ、これは俺自身のためなんだから」
「トール自身のですか?」
エリカがこてんと可愛らしく小首を傾げた。
「これはさ、典型的なあぶく銭なんだ。しかも元々はエリカのお金ときた。日本には、悪銭身に付かずってことわざもある」
「似たようなことわざは基幹世界『ディ・マリア』にもありますね」
「だろ? そして一度あぶく銭を浪費する贅沢を覚えてしまったら、元の金銭感覚には絶対に戻れなくなる。そして俺は一度甘えたら二度三度と繰り返してしまうだろう。俺はそこまで意志の強い人間じゃないからな、7億円をすぐに使いつぶしちまう」
「つまり要約すると、身の丈に合った生活をしたいということですね?」
「そういうことことだな。一人暮らしを始めた時も親からお金のことはいろいろ言われたし。だからこれは絶対の決定事項だ」
俺は強い口調でエリカに言った。
ぶっちゃけこの前見てはまってしまったごちうさのブルーレイBOXが欲しかったりするんだけど、絶対にそんなことには使わないからな……!
もし買ってしまったら7億の悪魔の誘惑に心を奪われた俺は、間違いなくチノちゃんのフィギュアとかグッズとかトレーディングカードを際限なく買ってしまうから。
だからこうしてエリカに宣言することで、俺は弱い自分に誓約をかけたのだ。
「分かりました。そういうトールの真面目なところは、すごく素敵だと思います。では当面は共同管理という事で」
「ああうん、そんな感じで頼む」
まぁ無難な落としどころだろう。
というわけで、金銭問題は一手に解決したのでした。
めでたしめでたし。
それにしても7億か。
…………ごくり。
「あれ? どうしたんですかトール。お金入っていませんか? 一応、召喚先で一生優雅に遊んで生活していけるだけおの金が入っていると、聞かされているんですけど……」
エリカが少し不安そうな声色で俺に尋ねてくる。
「ああ、うん。ちゃんと入ってはいるよ」
「そうですか。でもそれならどうしてトールは急に黙ってしまったんでしょうか?」
不思議そうな顔で尋ねてくるエリカに、俺は急に込み上げてきた動悸を必死に抑えながら答える。
「お金は入ってはいるんだけどさ? なんかえらくゼロがいっぱいあるなと思っちゃってさ。最初が7で……えっとなにこれ……? え、ゼロが1、2,3,4、5、6、7、8……え? 7億円ってこと?」
「7億円ですか。わたしはこの国の実質的貨幣価値に明るくないので、7億円がどれほどのものかは分かりかねるのですが、困惑している様子から察するにこれでは不十分ということでしょうか?」
「あ、いえ十分すぎると思いますデス」
7億円という空前絶後のパワーワードがもたらす衝撃に、俺は思わず片言になってしまう。
「なら良かったです」
「はい、良いでございマス」
「あの、どうしてトールはそんなに変な感じでかしこまっているんですか?」
「どうしてって、だってそりゃ7億円だよ7億円!? 7億円って言ったらサマージャンボ宝くじの1等・前後賞合わせた金額だぞ!? サラリーマンの生涯年収の数倍だぞ!?」
「はぁ……」
「文字通りに遊んで暮らせる金額じゃん! こんなもん見せられたら庶民はみんなひれ伏すわ! エリカ様、何なりとこの俺にお申し付けくださいませ! 肩をお揉みしましょうか? それとも足を舐めましょうか?」
「いえ、トールにそんなことを命令したりはしませんけど、そんなにすごい金額なんですか?」
もはや興奮を隠しきれない俺をよそに、エリカはのほほんと聞いてくる。
「例えばだぞ、計算しやすいように100年生きるとしてだ。利子が全くなかったとしても、毎年700万円使って生活できるってことだ。俺の年収の2倍ものお金を毎年使い放題ってことだぞ? 30歳無職がこんな金額見たらそりゃ驚くに決まってるだろ!?」
7億あったらもう人生勝ったと同義じゃん。
いいなぁ。
いいなぁ。
すっごくいいなぁ。
「トールの喜びようを見れば、7億円がとてつもない大金なのは理解できました。ではこれはトールに差し上げますね」
「うえぇぇっ!? 俺にくれるの!?」
「はい、女神様からもそう言いつかってますので」
「7億円を俺にくれるの!? 全額を!?」
「正確には共同管理ってところでしょうか? わたしもお金がないと生活ができませんので、最低限だけ使わせていただきたくは思いますが、基本的にトールが自由に使ってくださいな」
「いやでも7億円だよ? ものすごい金額だろ?」
「予習してきたとはいえ、わたしはこの世界のことをトールほどは知りません。オレオレ詐欺やマンション投資詐欺、開運商法詐欺、マルチ商法、情報商材詐欺、仮想通貨詐欺、原野商法などにあわないためにも、トールに管理していただいたほうが安全かと思いますので」
「いや、そんな単語が次から次へとポンポン出てくるあたり、間違いなく俺よりエリカの方が金銭面でもはるかに即戦力だと思うんだが……」
「トールはほんと謙虚ですね♡ でも気にせずどうぞお使いください」
「マジか……」
「マジです♡」
「そっか……うん、分かった。そうまで言うならありがたく使わせてもらうよ」
「はい♡」
「ただし――」
「はい? なんでしょうか?」
「あくまでこれはエリカのお金とする。俺が使うとしてもエリカと何かをするために必要なお金と、最低限の生活費だけにする。その点だけはこの際はっきりとさせておきたい」
「別に遠慮はいりませんよ? トールは世界を救った勇者様で、わたしの未来の夫なんですから。どうぞ好きに使ってください」
「別に遠慮してるわけじゃないんだ、これは俺自身のためなんだから」
「トール自身のですか?」
エリカがこてんと可愛らしく小首を傾げた。
「これはさ、典型的なあぶく銭なんだ。しかも元々はエリカのお金ときた。日本には、悪銭身に付かずってことわざもある」
「似たようなことわざは基幹世界『ディ・マリア』にもありますね」
「だろ? そして一度あぶく銭を浪費する贅沢を覚えてしまったら、元の金銭感覚には絶対に戻れなくなる。そして俺は一度甘えたら二度三度と繰り返してしまうだろう。俺はそこまで意志の強い人間じゃないからな、7億円をすぐに使いつぶしちまう」
「つまり要約すると、身の丈に合った生活をしたいということですね?」
「そういうことことだな。一人暮らしを始めた時も親からお金のことはいろいろ言われたし。だからこれは絶対の決定事項だ」
俺は強い口調でエリカに言った。
ぶっちゃけこの前見てはまってしまったごちうさのブルーレイBOXが欲しかったりするんだけど、絶対にそんなことには使わないからな……!
もし買ってしまったら7億の悪魔の誘惑に心を奪われた俺は、間違いなくチノちゃんのフィギュアとかグッズとかトレーディングカードを際限なく買ってしまうから。
だからこうしてエリカに宣言することで、俺は弱い自分に誓約をかけたのだ。
「分かりました。そういうトールの真面目なところは、すごく素敵だと思います。では当面は共同管理という事で」
「ああうん、そんな感じで頼む」
まぁ無難な落としどころだろう。
というわけで、金銭問題は一手に解決したのでした。
めでたしめでたし。
それにしても7億か。
…………ごくり。
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