レアジョブ【精霊騎士】の俺、突然【勇者パーティ】を追放されたので【へっぽこ幼女魔王さま】とスローライフします

マナシロカナタ✨ねこたま✨GCN文庫

文字の大きさ
13 / 77
第三章 ゲーゲンパレス・スローライフ(前編)

第12話 【精霊騎士】、メイド喫茶に行く

しおりを挟む
 翌朝の朝食(昨日の夕食と同じく3人で食べた)の席で、

「今日は街に出かけるのじゃが一緒にどうじゃ? 案内あないするぞ」

 幼女魔王さまがそんな提案をしてきた。

 俺に断る理由なんてものはなかったわけで、深く考えずに話に乗っかったんだけれど、

「よくよく考えてみれば一国の【魔王】に町案内をしてもらうなんて、普通ありえないよな……」

 あまりに突拍子とっぴょうしがなさ過ぎて、誰かに言ったとしても与太話よたばなしとして鼻で笑われてしまうことだろう。

 とまぁそういう成り行きで俺は幼女魔王さまとミスティに連れられ、王宮からそう離れていない地区にある【メイド喫茶】なる飲食店にやってきていた。

 このメイド喫茶なる場所は、

「ここはわらわの憩いの場であると同時に、情報収集の場なのじゃよ」
 とのことである。

 魔王さまの話ぶりを聞く限り、かなり頻繁ひんぱんに通っているみたいだな。
 そして名前から察するにメイドさんが運営している喫茶店なのだろう。

 魔王さまいわく、
「メイドと呼び捨てるのではなく『メイドさん』と親しみと敬意を込めて呼ぶのがここでの習わしなのじゃ」
 だそうだ。

 俺たちが入店するとすぐに受付係のメイドさんから、

「お帰りなさいませ魔王さま、お嬢さま、ご主人様」

 まるで自分の屋敷に帰ってきたかのような不思議な挨拶をされて、俺はいきなりビックリさせられた。

「ふふん、出迎え一つで驚いておるようじゃの。じゃがしかしこれはまだまだ序の口じゃからの」

「なん……だと……!?」
 これが序の口とかさすがは文化的最先端、おそるべし!

 そうして案内された4人がけのボックス席に俺は一人で、幼女魔王さまとミスティは横に並んで俺と向かい合うようにして腰をおろした。
 ミスティは王宮でも着ていたミニスカメイド服を着ているため、ここのメイドさんが同席しているように見えるかもしれない。

 ミスティは幼女魔王さまの近衛兵で、普段は専属メイドを務めているそうだ。
 生家であるアーレント家は、かつて武門で名をはせた中上流の貴族なのだという。

 そしてタイミングを見計らっていたのだろう。
 ちょうど全員が注文を決めた頃合いにホール担当のメイドさんが注文を取りにやってきた。

 幼女魔王さまの行きつけの店というだけのことはある。
 細かいところまで気配りのきいた良いお店だ。

「俺はコーヒーとホットケーキを」
 俺はシンプルにベーシックセットを。

わらわは【チョコ増しわんわんミルフィーユ】と、【森のくまさんパフェ】、【ねこにゃーんラテアートカフェ】の甘々セットなのじゃ。砂糖マシマシで頼むのじゃ」

 幼女魔王さまは一部よくわからない形容詞で飾り立てられた、聞いただけで口の中が甘ったるくなりそうなセットを、さらに砂糖増量で。

「私は【お絵かきオムライス】をお願いします。それと【一緒にランチ】サービスを追加で」
 ミスティも謎の形容詞が付いたオムライスと、なにかのサービスを注文していた。

 注文を終えるとすぐに、これまた慣れた様子でさっきとは別のメイドさんが一人やってくると、そのまま4人掛けの開いてる一席――つまり俺の隣へと腰を下ろした。

「【一緒にランチ】のご注文、ありがとうございまーす」

 メイドさんは開口一番、愛嬌のある笑顔で朗らかにそう告げる。
 どうやら最後にミスティが言った【一緒にランチ】とは、追加料金を払うことでメイドさんが相席してくれるというサービスらしい。

「帝都では夜のお店は別として、こんなサービスはなかったな」

「これも観光産業の一つなのじゃよ。おもてなし、というやつじゃ。ちなみにお触り・下ネタ・セクハラもろもろは厳禁&出禁じゃからの? ルールを守って楽しく喫茶なのじゃ」

「もちろんだとも」

 そんな【一緒にランチ】をすることになったメイドさんはというと、

「それってネコ耳だよな……? ってことは獣人族か」

 頭の上でネコ耳がピコピコと可愛らしく動いていた。

「当ったりー。私は獣人族ネコ耳科のナナミだよーん。そういうおにーさんは角もないし耳も丸いし、ドワーフみたいに小柄でもないし……もしかして人間族? ここじゃ珍しいね?」

 隣に座ったネコ耳メイドさんが、興味津々って感じで尋ねてくる。
 それに俺が答えるよりも先に、幼女魔王さまが口を開いた。

「こやつはハルト・カミカゼ、わらわの客人なのじゃ。昨日、命を助けてもろうての。しばらく王宮に滞在するゆえ、ナナミもよろしく頼むのじゃ」

「うわっ、すっごーい! 魔王さまの命の恩人だなんて! おにーさん、かっこいー! あっ、その腰に差した剣で、ばったばったと悪者を退治したんだね! 素っ敵~~!」

「そ、それほどでも、あったりなかったり……?」

「ねぇねぇ。ナナミ、おにーさんが活躍する素敵なお話をいろいろ聞きたいな~」

 ネコ耳メイドさんが目をキラキラさせながら、俺のことをこれでもかと持ち上げてきた。

 ……いやわかっているよ、そういうお仕事なんだって。

 相席したお客さんに、時間いっぱい気持ちよく会話を楽しんでもらうのが彼女のお仕事なんだってことくらい、子供にだって分かることだ。

 でもそうと分かっていても、可愛いメイドさんにおだてられて嬉しいことに違いはないのである。

 そんなこんなで話が盛り上がっているところに、注文した軽食が次々と運び込まれてきた。

 そして俺はそこで、最先端文化都市【ゲーゲンパレス】における驚愕きょうがくのおもてなしを目にすることになったのだ……!
しおりを挟む
感想 66

あなたにおすすめの小説

【完結】帝国から追放された最強のチーム、リミッター外して無双する

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】  スペイゴール大陸最強の帝国、ユハ帝国。  帝国に仕え、最強の戦力を誇っていたチーム、『デイブレイク』は、突然議会から追放を言い渡される。  しかし帝国は気づいていなかった。彼らの力が帝国を拡大し、恐るべき戦力を誇示していたことに。  自由になった『デイブレイク』のメンバー、エルフのクリス、バランス型のアキラ、強大な魔力を宿すジャック、杖さばきの達人ランラン、絶世の美女シエナは、今まで抑えていた実力を完全開放し、ゼロからユハ帝国を超える国を建国していく。   ※この世界では、杖と魔法を使って戦闘を行います。しかし、あの稲妻型の傷を持つメガネの少年のように戦うわけではありません。どうやって戦うのかは、本文を読んでのお楽しみです。杖で戦う戦士のことを、本文では杖士(ブレイカー)と描写しています。 ※舞台の雰囲気は中世ヨーロッパ〜近世ヨーロッパに近いです。 〜『デイブレイク』のメンバー紹介〜 ・クリス(男・エルフ・570歳)   チームのリーダー。もともとはエルフの貴族の家系だったため、上品で高潔。白く透明感のある肌に、整った顔立ちである。エルフ特有のとがった耳も特徴的。メンバーからも信頼されているが…… ・アキラ(男・人間・29歳)  杖術、身体能力、頭脳、魔力など、あらゆる面のバランスが取れたチームの主力。独特なユーモアのセンスがあり、ムードメーカーでもある。唯一の弱点が…… ・ジャック(男・人間・34歳)  怪物級の魔力を持つ杖士。その魔力が強大すぎるがゆえに、普段はその魔力を抑え込んでいるため、感情をあまり出さない。チームで唯一の黒人で、ドレッドヘアが特徴的。戦闘で右腕を失って以来義手を装着しているが…… ・ランラン(女・人間・25歳)  優れた杖の腕前を持ち、チームを支える杖士。陽気でチャレンジャーな一面もあり、可愛さも武器である。性格の共通点から、アキラと親しく、親友である。しかし実は…… ・シエナ(女・人間・28歳)  絶世の美女。とはいっても杖士としての実力も高く、アキラと同じくバランス型である。誰もが羨む美貌をもっているが、本人はあまり自信がないらしく、相手の反応を確認しながら静かに話す。あるメンバーのことが……

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

「お前の代わりはいる」と追放された俺の【万物鑑定】は、実は世界の真実を見抜く【真理の瞳】でした。最高の仲間と辺境で理想郷を創ります

黒崎隼人
ファンタジー
「お前の代わりはいくらでもいる。もう用済みだ」――勇者パーティーで【万物鑑定】のスキルを持つリアムは、戦闘に役立たないという理由で装備も金もすべて奪われ追放された。 しかし仲間たちは知らなかった。彼のスキルが、物の価値から人の秘めたる才能、土地の未来までも見通す超絶チート能力【真理の瞳】であったことを。 絶望の淵で己の力の真価に気づいたリアムは、辺境の寂れた街で再起を決意する。気弱なヒーラー、臆病な獣人の射手……世間から「無能」の烙印を押された者たちに眠る才能の原石を次々と見出し、最高の仲間たちと共にギルド「方舟(アーク)」を設立。彼らが輝ける理想郷をその手で創り上げていく。 一方、有能な鑑定士を失った元パーティーは急速に凋落の一途を辿り……。 これは不遇職と蔑まれた一人の男が最高の仲間と出会い、世界で一番幸福な場所を創り上げる、爽快な逆転成り上がりファンタジー!

追放された俺のスキル【整理整頓】が覚醒!もふもふフェンリルと訳あり令嬢と辺境で最強ギルドはじめます

黒崎隼人
ファンタジー
「お前の【整理整頓】なんてゴミスキル、もういらない」――勇者パーティーの雑用係だったカイは、ダンジョンの最深部で無一文で追放された。死を覚悟したその時、彼のスキルは真の能力に覚醒する。鑑定、無限収納、状態異常回復、スキル強化……森羅万象を“整理”するその力は、まさに規格外の万能チートだった! 呪われたもふもふ聖獣と、没落寸前の騎士令嬢。心優しき仲間と出会ったカイは、辺境の街で小さなギルド『クローゼット』を立ち上げる。一方、カイという“本当の勇者”を失ったパーティーは崩壊寸前に。これは、地味なスキル一つで世界を“整理整頓”していく、一人の青年の爽快成り上がり英雄譚!

S級パーティを追放された無能扱いの魔法戦士は気ままにギルド職員としてスローライフを送る

神谷ミコト
ファンタジー
【祝!4/6HOTランキング2位獲得】 元貴族の魔法剣士カイン=ポーンは、「誰よりも強くなる。」その決意から最上階と言われる100Fを目指していた。 ついにパーティ「イグニスの槍」は全人未達の90階に迫ろうとしていたが、 理不尽なパーティ追放を機に、思いがけずギルドの職員としての生活を送ることに。 今までのS級パーティとして牽引していた経験を活かし、ギルド業務。ダンジョン攻略。新人育成。そして、学園の臨時講師までそつなくこなす。 様々な経験を糧にカインはどう成長するのか。彼にとっての最強とはなんなのか。 カインが無自覚にモテながら冒険者ギルド職員としてスローライフを送るである。 ハーレム要素多め。 ※隔日更新予定です。10話前後での完結予定で構成していましたが、多くの方に見られているため10話以降も製作中です。 よければ、良いね。評価、コメントお願いします。励みになりますorz 他メディアでも掲載中。他サイトにて開始一週間でジャンル別ランキング15位。HOTランキング4位達成。応援ありがとうございます。 たくさんの誤字脱字報告ありがとうございます。すべて適応させていただきます。 物語を楽しむ邪魔をしてしまい申し訳ないですorz 今後とも応援よろしくお願い致します。

収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?

木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。 追放される理由はよく分からなかった。 彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。 結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。 しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。 たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。 ケイトは彼らを失いたくなかった。 勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。 しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。 「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」 これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。

迷宮に捨てられた俺、魔導ガチャを駆使して世界最強の大賢者へと至る〜

サイダーボウイ
ファンタジー
アスター王国ハワード伯爵家の次男ルイス・ハワードは、10歳の【魔力固定の儀】において魔法適性ゼロを言い渡され、実家を追放されてしまう。 父親の命令により、生還率が恐ろしく低い迷宮へと廃棄されたルイスは、そこで魔獣に襲われて絶体絶命のピンチに陥る。 そんなルイスの危機を救ってくれたのが、400年の時を生きる魔女エメラルドであった。 彼女が操るのは、ルイスがこれまでに目にしたことのない未発見の魔法。 その煌めく魔法の数々を目撃したルイスは、深い感動を覚える。 「今の自分が悔しいなら、生まれ変わるしかないよ」 そう告げるエメラルドのもとで、ルイスは努力によって人生を劇的に変化させていくことになる。 これは、未発見魔法の列挙に挑んだ少年が、仲間たちとの出会いを通じて成長し、やがて世界の命運を動かす最強の大賢者へと至る物語である。

追放された無能鑑定士、実は世界最強の万物解析スキル持ち。パーティーと国が泣きついてももう遅い。辺境で美少女とスローライフ(?)を送る

夏見ナイ
ファンタジー
貴族の三男に転生したカイトは、【鑑定】スキルしか持てず家からも勇者パーティーからも無能扱いされ、ついには追放されてしまう。全てを失い辺境に流れ着いた彼だが、そこで自身のスキルが万物の情報を読み解く最強スキル【万物解析】だと覚醒する! 隠された才能を見抜いて助けた美少女エルフや獣人と共に、カイトは辺境の村を豊かにし、古代遺跡の謎を解き明かし、強力な魔物を従え、着実に力をつけていく。一方、カイトを切り捨てた元パーティーと王国は凋落の一途を辿り、彼の築いた豊かさに気づくが……もう遅い! 不遇から成り上がる、痛快な逆転劇と辺境スローライフ(?)が今、始まる!

処理中です...