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第三章 ゲーゲンパレス・スローライフ(前編)
第12話 【精霊騎士】、メイド喫茶に行く
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翌朝の朝食(昨日の夕食と同じく3人で食べた)の席で、
「今日は街に出かけるのじゃが一緒にどうじゃ? 案内するぞ」
幼女魔王さまがそんな提案をしてきた。
俺に断る理由なんてものはなかったわけで、深く考えずに話に乗っかったんだけれど、
「よくよく考えてみれば一国の【魔王】に町案内をしてもらうなんて、普通ありえないよな……」
あまりに突拍子がなさ過ぎて、誰かに言ったとしても与太話として鼻で笑われてしまうことだろう。
とまぁそういう成り行きで俺は幼女魔王さまとミスティに連れられ、王宮からそう離れていない地区にある【メイド喫茶】なる飲食店にやってきていた。
このメイド喫茶なる場所は、
「ここは妾の憩いの場であると同時に、情報収集の場なのじゃよ」
とのことである。
魔王さまの話ぶりを聞く限り、かなり頻繁に通っているみたいだな。
そして名前から察するにメイドさんが運営している喫茶店なのだろう。
魔王さまいわく、
「メイドと呼び捨てるのではなく『メイドさん』と親しみと敬意を込めて呼ぶのがここでの習わしなのじゃ」
だそうだ。
俺たちが入店するとすぐに受付係のメイドさんから、
「お帰りなさいませ魔王さま、お嬢さま、ご主人様」
まるで自分の屋敷に帰ってきたかのような不思議な挨拶をされて、俺はいきなりビックリさせられた。
「ふふん、出迎え一つで驚いておるようじゃの。じゃがしかしこれはまだまだ序の口じゃからの」
「なん……だと……!?」
これが序の口とかさすがは文化的最先端、おそるべし!
そうして案内された4人がけのボックス席に俺は一人で、幼女魔王さまとミスティは横に並んで俺と向かい合うようにして腰をおろした。
ミスティは王宮でも着ていたミニスカメイド服を着ているため、ここのメイドさんが同席しているように見えるかもしれない。
ミスティは幼女魔王さまの近衛兵で、普段は専属メイドを務めているそうだ。
生家であるアーレント家は、かつて武門で名をはせた中上流の貴族なのだという。
そしてタイミングを見計らっていたのだろう。
ちょうど全員が注文を決めた頃合いにホール担当のメイドさんが注文を取りにやってきた。
幼女魔王さまの行きつけの店というだけのことはある。
細かいところまで気配りのきいた良いお店だ。
「俺はコーヒーとホットケーキを」
俺はシンプルにベーシックセットを。
「妾は【チョコ増しわんわんミルフィーユ】と、【森のくまさんパフェ】、【ねこにゃーんラテアートカフェ】の甘々セットなのじゃ。砂糖マシマシで頼むのじゃ」
幼女魔王さまは一部よくわからない形容詞で飾り立てられた、聞いただけで口の中が甘ったるくなりそうなセットを、さらに砂糖増量で。
「私は【お絵かきオムライス】をお願いします。それと【一緒にランチ】サービスを追加で」
ミスティも謎の形容詞が付いたオムライスと、なにかのサービスを注文していた。
注文を終えるとすぐに、これまた慣れた様子でさっきとは別のメイドさんが一人やってくると、そのまま4人掛けの開いてる一席――つまり俺の隣へと腰を下ろした。
「【一緒にランチ】のご注文、ありがとうございまーす」
メイドさんは開口一番、愛嬌のある笑顔で朗らかにそう告げる。
どうやら最後にミスティが言った【一緒にランチ】とは、追加料金を払うことでメイドさんが相席してくれるというサービスらしい。
「帝都では夜のお店は別として、こんなサービスはなかったな」
「これも観光産業の一つなのじゃよ。おもてなし、というやつじゃ。ちなみにお触り・下ネタ・セクハラもろもろは厳禁&出禁じゃからの? ルールを守って楽しく喫茶なのじゃ」
「もちろんだとも」
そんな【一緒にランチ】をすることになったメイドさんはというと、
「それってネコ耳だよな……? ってことは獣人族か」
頭の上でネコ耳がピコピコと可愛らしく動いていた。
「当ったりー。私は獣人族ネコ耳科のナナミだよーん。そういうおにーさんは角もないし耳も丸いし、ドワーフみたいに小柄でもないし……もしかして人間族? ここじゃ珍しいね?」
隣に座ったネコ耳メイドさんが、興味津々って感じで尋ねてくる。
それに俺が答えるよりも先に、幼女魔王さまが口を開いた。
「こやつはハルト・カミカゼ、妾の客人なのじゃ。昨日、命を助けて貰うての。しばらく王宮に滞在する故、ナナミもよろしく頼むのじゃ」
「うわっ、すっごーい! 魔王さまの命の恩人だなんて! おにーさん、かっこいー! あっ、その腰に差した剣で、ばったばったと悪者を退治したんだね! 素っ敵~~!」
「そ、それほどでも、あったりなかったり……?」
「ねぇねぇ。ナナミ、おにーさんが活躍する素敵なお話をいろいろ聞きたいな~」
ネコ耳メイドさんが目をキラキラさせながら、俺のことをこれでもかと持ち上げてきた。
……いやわかっているよ、そういうお仕事なんだって。
相席したお客さんに、時間いっぱい気持ちよく会話を楽しんでもらうのが彼女のお仕事なんだってことくらい、子供にだって分かることだ。
でもそうと分かっていても、可愛いメイドさんにおだてられて嬉しいことに違いはないのである。
そんなこんなで話が盛り上がっているところに、注文した軽食が次々と運び込まれてきた。
そして俺はそこで、最先端文化都市【ゲーゲンパレス】における驚愕のおもてなしを目にすることになったのだ……!
「今日は街に出かけるのじゃが一緒にどうじゃ? 案内するぞ」
幼女魔王さまがそんな提案をしてきた。
俺に断る理由なんてものはなかったわけで、深く考えずに話に乗っかったんだけれど、
「よくよく考えてみれば一国の【魔王】に町案内をしてもらうなんて、普通ありえないよな……」
あまりに突拍子がなさ過ぎて、誰かに言ったとしても与太話として鼻で笑われてしまうことだろう。
とまぁそういう成り行きで俺は幼女魔王さまとミスティに連れられ、王宮からそう離れていない地区にある【メイド喫茶】なる飲食店にやってきていた。
このメイド喫茶なる場所は、
「ここは妾の憩いの場であると同時に、情報収集の場なのじゃよ」
とのことである。
魔王さまの話ぶりを聞く限り、かなり頻繁に通っているみたいだな。
そして名前から察するにメイドさんが運営している喫茶店なのだろう。
魔王さまいわく、
「メイドと呼び捨てるのではなく『メイドさん』と親しみと敬意を込めて呼ぶのがここでの習わしなのじゃ」
だそうだ。
俺たちが入店するとすぐに受付係のメイドさんから、
「お帰りなさいませ魔王さま、お嬢さま、ご主人様」
まるで自分の屋敷に帰ってきたかのような不思議な挨拶をされて、俺はいきなりビックリさせられた。
「ふふん、出迎え一つで驚いておるようじゃの。じゃがしかしこれはまだまだ序の口じゃからの」
「なん……だと……!?」
これが序の口とかさすがは文化的最先端、おそるべし!
そうして案内された4人がけのボックス席に俺は一人で、幼女魔王さまとミスティは横に並んで俺と向かい合うようにして腰をおろした。
ミスティは王宮でも着ていたミニスカメイド服を着ているため、ここのメイドさんが同席しているように見えるかもしれない。
ミスティは幼女魔王さまの近衛兵で、普段は専属メイドを務めているそうだ。
生家であるアーレント家は、かつて武門で名をはせた中上流の貴族なのだという。
そしてタイミングを見計らっていたのだろう。
ちょうど全員が注文を決めた頃合いにホール担当のメイドさんが注文を取りにやってきた。
幼女魔王さまの行きつけの店というだけのことはある。
細かいところまで気配りのきいた良いお店だ。
「俺はコーヒーとホットケーキを」
俺はシンプルにベーシックセットを。
「妾は【チョコ増しわんわんミルフィーユ】と、【森のくまさんパフェ】、【ねこにゃーんラテアートカフェ】の甘々セットなのじゃ。砂糖マシマシで頼むのじゃ」
幼女魔王さまは一部よくわからない形容詞で飾り立てられた、聞いただけで口の中が甘ったるくなりそうなセットを、さらに砂糖増量で。
「私は【お絵かきオムライス】をお願いします。それと【一緒にランチ】サービスを追加で」
ミスティも謎の形容詞が付いたオムライスと、なにかのサービスを注文していた。
注文を終えるとすぐに、これまた慣れた様子でさっきとは別のメイドさんが一人やってくると、そのまま4人掛けの開いてる一席――つまり俺の隣へと腰を下ろした。
「【一緒にランチ】のご注文、ありがとうございまーす」
メイドさんは開口一番、愛嬌のある笑顔で朗らかにそう告げる。
どうやら最後にミスティが言った【一緒にランチ】とは、追加料金を払うことでメイドさんが相席してくれるというサービスらしい。
「帝都では夜のお店は別として、こんなサービスはなかったな」
「これも観光産業の一つなのじゃよ。おもてなし、というやつじゃ。ちなみにお触り・下ネタ・セクハラもろもろは厳禁&出禁じゃからの? ルールを守って楽しく喫茶なのじゃ」
「もちろんだとも」
そんな【一緒にランチ】をすることになったメイドさんはというと、
「それってネコ耳だよな……? ってことは獣人族か」
頭の上でネコ耳がピコピコと可愛らしく動いていた。
「当ったりー。私は獣人族ネコ耳科のナナミだよーん。そういうおにーさんは角もないし耳も丸いし、ドワーフみたいに小柄でもないし……もしかして人間族? ここじゃ珍しいね?」
隣に座ったネコ耳メイドさんが、興味津々って感じで尋ねてくる。
それに俺が答えるよりも先に、幼女魔王さまが口を開いた。
「こやつはハルト・カミカゼ、妾の客人なのじゃ。昨日、命を助けて貰うての。しばらく王宮に滞在する故、ナナミもよろしく頼むのじゃ」
「うわっ、すっごーい! 魔王さまの命の恩人だなんて! おにーさん、かっこいー! あっ、その腰に差した剣で、ばったばったと悪者を退治したんだね! 素っ敵~~!」
「そ、それほどでも、あったりなかったり……?」
「ねぇねぇ。ナナミ、おにーさんが活躍する素敵なお話をいろいろ聞きたいな~」
ネコ耳メイドさんが目をキラキラさせながら、俺のことをこれでもかと持ち上げてきた。
……いやわかっているよ、そういうお仕事なんだって。
相席したお客さんに、時間いっぱい気持ちよく会話を楽しんでもらうのが彼女のお仕事なんだってことくらい、子供にだって分かることだ。
でもそうと分かっていても、可愛いメイドさんにおだてられて嬉しいことに違いはないのである。
そんなこんなで話が盛り上がっているところに、注文した軽食が次々と運び込まれてきた。
そして俺はそこで、最先端文化都市【ゲーゲンパレス】における驚愕のおもてなしを目にすることになったのだ……!
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