22 / 77
第三章 ゲーゲンパレス・スローライフ(前編)
第21話 ぺったんぺったんもちぺったん
しおりを挟む
「……なぁ、確か【聖魔王】の命日にその偉大な業績に思いをはせるんじゃなかったのか?」
隣にいる幼女魔王さまに俺は小さな声で尋ねてみた。
「ちゃんと餅つき大会とも言っていたのじゃ?」
「気のせいかな。故人を偲ぶどころか、みんな超ノリノリで餅をついているんだけど……」
「大会が盛り上がった方が良いじゃろう?」
「これはそんなレベルじゃねーよ、完全なお遊びイベントじゃないか!?」
今はちょうど、餅をつく速さ&その出来栄えを競う懸賞金付きの餅つきコンテストの真っ最中だった。
「おおっとここで新記録が出たぁ! さらに素晴らしい餅の伸びだ! きめ細やかな質感もグレイト! 出来栄え点はここまでで最高の9点の評価ァ! スピードも出来栄えも文句なし! ここにきてついにトップが入れ替わったぞ! ではどうぞ、一位の席へ!」
司会の巧みな話術によって会場中が大いに湧き上がる。
「この盛り上がりを見てみよ。【聖魔王】もきっと草葉の陰で泣いて喜んでおるじゃろうて」
「俺のいた帝国でこんなことやったら、皇室に対する不敬罪で打ち首確定だぞ……」
「何を言っておるのじゃ、そういうハルトも皆に負けぬくらいにいい笑顔をしておるのじゃぞ?」
「まぁそうだな。楽しいよ……みんな笑顔だしぶっちゃけ俺も楽しい」
「なら良いではないか。ほれ、次はハルトの番じゃ。主催者たる妾の名代として参加するのじゃから、良い結果を期待しておるからの」
「そうは言っても俺、餅つきしたことないんだよな」
主催者の名代を務めるには荷が重いような……。
「ハルト様、楽しいイベントなんですから気楽にがんばです!」
そこへミスティがゆるーい励ましをくれる。
「まぁそうだよな。気楽に行ってくるか」
「ちなみに昨年はミスティが3位に入ったのじゃ」
「だから変にプレッシャーをかけないでくれ……」
俺は魔王さまの名代と言うこともあって、皆の視線を一身に浴びながら舞台へと上がっていった。
その途中で、
「ん……あれって──」
俺はある精霊がこの会場に来ていることに気がついた。
こいつは確か――。
「さて次が最後のチャレンジャーだ! 魔王さまの名代を務めるはハルト・カミカゼ! なんと元【勇者パーティ】で激レアジョブの【精霊騎士】だって話だぜ! これは期待せざるを得ないな! それではいざ尋常に、スタート!」
司会の開始の合図とともに、俺は精霊術を行使した!
「餅つき精霊【モッチー】、一時契約! 餅つき精霊術【ぺったんこ】発動!」
――もっちもちにしてやんよ――
俺の身体に、餅つき精霊のモチモチした力がみなぎってゆく――!
舞台に上がる際、俺はこの餅つき精霊が餅つきコンテストの色香に引き寄せられて集まってきていたのを見つけていたのだ。
そして【精霊騎士】の最大の強みは様々な精霊と契約することで、まるで反則のようにその精霊の持つ特殊能力を使用できることにある――!
「つまり今の俺は、餅をつくスペシャリストってわけだ――!」
「なっ!? 息を吐くように野良精霊と一時契約を行ったじゃと!?」
「ま、魔王さま! お気を確かに!」
視界の隅っこで、卒倒した魔王さまをミスティが慌てて支えていた。
「あれ? また俺なにかやっちゃったか……?」
いやいや。
今はそれよりも、俺に与えられた使命を果たさねば――!
「いくぞ【モッチー】!」
ぺったんぺったんぺったんぺったん……!
俺は素早く、そして強すぎず弱すぎずの絶妙の力加減でもちをぺったんしてゆく――!
ぺったんぺったんぺったんぺったん……!
こうして。
餅つき精霊【モッチー】の力を借りて究極かつ至高の餅をついてみせた俺は、
「優勝はハルト・カミカゼ!」
見事コンテストで優勝し、幼女魔王さまの名代としての責務を果たしたのだった。
その後、ついたお餅をみんなで食べたんだけど、
「こ、これは……!」
「美味しいです……」
「自分がついた餅に言うのはなんだけどさ、うん、めっちゃ美味いな」
さすがは餅つき精霊【モッチー】だな、来年も機会があれば頼んだぜ?
隣にいる幼女魔王さまに俺は小さな声で尋ねてみた。
「ちゃんと餅つき大会とも言っていたのじゃ?」
「気のせいかな。故人を偲ぶどころか、みんな超ノリノリで餅をついているんだけど……」
「大会が盛り上がった方が良いじゃろう?」
「これはそんなレベルじゃねーよ、完全なお遊びイベントじゃないか!?」
今はちょうど、餅をつく速さ&その出来栄えを競う懸賞金付きの餅つきコンテストの真っ最中だった。
「おおっとここで新記録が出たぁ! さらに素晴らしい餅の伸びだ! きめ細やかな質感もグレイト! 出来栄え点はここまでで最高の9点の評価ァ! スピードも出来栄えも文句なし! ここにきてついにトップが入れ替わったぞ! ではどうぞ、一位の席へ!」
司会の巧みな話術によって会場中が大いに湧き上がる。
「この盛り上がりを見てみよ。【聖魔王】もきっと草葉の陰で泣いて喜んでおるじゃろうて」
「俺のいた帝国でこんなことやったら、皇室に対する不敬罪で打ち首確定だぞ……」
「何を言っておるのじゃ、そういうハルトも皆に負けぬくらいにいい笑顔をしておるのじゃぞ?」
「まぁそうだな。楽しいよ……みんな笑顔だしぶっちゃけ俺も楽しい」
「なら良いではないか。ほれ、次はハルトの番じゃ。主催者たる妾の名代として参加するのじゃから、良い結果を期待しておるからの」
「そうは言っても俺、餅つきしたことないんだよな」
主催者の名代を務めるには荷が重いような……。
「ハルト様、楽しいイベントなんですから気楽にがんばです!」
そこへミスティがゆるーい励ましをくれる。
「まぁそうだよな。気楽に行ってくるか」
「ちなみに昨年はミスティが3位に入ったのじゃ」
「だから変にプレッシャーをかけないでくれ……」
俺は魔王さまの名代と言うこともあって、皆の視線を一身に浴びながら舞台へと上がっていった。
その途中で、
「ん……あれって──」
俺はある精霊がこの会場に来ていることに気がついた。
こいつは確か――。
「さて次が最後のチャレンジャーだ! 魔王さまの名代を務めるはハルト・カミカゼ! なんと元【勇者パーティ】で激レアジョブの【精霊騎士】だって話だぜ! これは期待せざるを得ないな! それではいざ尋常に、スタート!」
司会の開始の合図とともに、俺は精霊術を行使した!
「餅つき精霊【モッチー】、一時契約! 餅つき精霊術【ぺったんこ】発動!」
――もっちもちにしてやんよ――
俺の身体に、餅つき精霊のモチモチした力がみなぎってゆく――!
舞台に上がる際、俺はこの餅つき精霊が餅つきコンテストの色香に引き寄せられて集まってきていたのを見つけていたのだ。
そして【精霊騎士】の最大の強みは様々な精霊と契約することで、まるで反則のようにその精霊の持つ特殊能力を使用できることにある――!
「つまり今の俺は、餅をつくスペシャリストってわけだ――!」
「なっ!? 息を吐くように野良精霊と一時契約を行ったじゃと!?」
「ま、魔王さま! お気を確かに!」
視界の隅っこで、卒倒した魔王さまをミスティが慌てて支えていた。
「あれ? また俺なにかやっちゃったか……?」
いやいや。
今はそれよりも、俺に与えられた使命を果たさねば――!
「いくぞ【モッチー】!」
ぺったんぺったんぺったんぺったん……!
俺は素早く、そして強すぎず弱すぎずの絶妙の力加減でもちをぺったんしてゆく――!
ぺったんぺったんぺったんぺったん……!
こうして。
餅つき精霊【モッチー】の力を借りて究極かつ至高の餅をついてみせた俺は、
「優勝はハルト・カミカゼ!」
見事コンテストで優勝し、幼女魔王さまの名代としての責務を果たしたのだった。
その後、ついたお餅をみんなで食べたんだけど、
「こ、これは……!」
「美味しいです……」
「自分がついた餅に言うのはなんだけどさ、うん、めっちゃ美味いな」
さすがは餅つき精霊【モッチー】だな、来年も機会があれば頼んだぜ?
0
あなたにおすすめの小説
【完結】帝国から追放された最強のチーム、リミッター外して無双する
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】
スペイゴール大陸最強の帝国、ユハ帝国。
帝国に仕え、最強の戦力を誇っていたチーム、『デイブレイク』は、突然議会から追放を言い渡される。
しかし帝国は気づいていなかった。彼らの力が帝国を拡大し、恐るべき戦力を誇示していたことに。
自由になった『デイブレイク』のメンバー、エルフのクリス、バランス型のアキラ、強大な魔力を宿すジャック、杖さばきの達人ランラン、絶世の美女シエナは、今まで抑えていた実力を完全開放し、ゼロからユハ帝国を超える国を建国していく。
※この世界では、杖と魔法を使って戦闘を行います。しかし、あの稲妻型の傷を持つメガネの少年のように戦うわけではありません。どうやって戦うのかは、本文を読んでのお楽しみです。杖で戦う戦士のことを、本文では杖士(ブレイカー)と描写しています。
※舞台の雰囲気は中世ヨーロッパ〜近世ヨーロッパに近いです。
〜『デイブレイク』のメンバー紹介〜
・クリス(男・エルフ・570歳)
チームのリーダー。もともとはエルフの貴族の家系だったため、上品で高潔。白く透明感のある肌に、整った顔立ちである。エルフ特有のとがった耳も特徴的。メンバーからも信頼されているが……
・アキラ(男・人間・29歳)
杖術、身体能力、頭脳、魔力など、あらゆる面のバランスが取れたチームの主力。独特なユーモアのセンスがあり、ムードメーカーでもある。唯一の弱点が……
・ジャック(男・人間・34歳)
怪物級の魔力を持つ杖士。その魔力が強大すぎるがゆえに、普段はその魔力を抑え込んでいるため、感情をあまり出さない。チームで唯一の黒人で、ドレッドヘアが特徴的。戦闘で右腕を失って以来義手を装着しているが……
・ランラン(女・人間・25歳)
優れた杖の腕前を持ち、チームを支える杖士。陽気でチャレンジャーな一面もあり、可愛さも武器である。性格の共通点から、アキラと親しく、親友である。しかし実は……
・シエナ(女・人間・28歳)
絶世の美女。とはいっても杖士としての実力も高く、アキラと同じくバランス型である。誰もが羨む美貌をもっているが、本人はあまり自信がないらしく、相手の反応を確認しながら静かに話す。あるメンバーのことが……
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
「お前の代わりはいる」と追放された俺の【万物鑑定】は、実は世界の真実を見抜く【真理の瞳】でした。最高の仲間と辺境で理想郷を創ります
黒崎隼人
ファンタジー
「お前の代わりはいくらでもいる。もう用済みだ」――勇者パーティーで【万物鑑定】のスキルを持つリアムは、戦闘に役立たないという理由で装備も金もすべて奪われ追放された。
しかし仲間たちは知らなかった。彼のスキルが、物の価値から人の秘めたる才能、土地の未来までも見通す超絶チート能力【真理の瞳】であったことを。
絶望の淵で己の力の真価に気づいたリアムは、辺境の寂れた街で再起を決意する。気弱なヒーラー、臆病な獣人の射手……世間から「無能」の烙印を押された者たちに眠る才能の原石を次々と見出し、最高の仲間たちと共にギルド「方舟(アーク)」を設立。彼らが輝ける理想郷をその手で創り上げていく。
一方、有能な鑑定士を失った元パーティーは急速に凋落の一途を辿り……。
これは不遇職と蔑まれた一人の男が最高の仲間と出会い、世界で一番幸福な場所を創り上げる、爽快な逆転成り上がりファンタジー!
追放された俺のスキル【整理整頓】が覚醒!もふもふフェンリルと訳あり令嬢と辺境で最強ギルドはじめます
黒崎隼人
ファンタジー
「お前の【整理整頓】なんてゴミスキル、もういらない」――勇者パーティーの雑用係だったカイは、ダンジョンの最深部で無一文で追放された。死を覚悟したその時、彼のスキルは真の能力に覚醒する。鑑定、無限収納、状態異常回復、スキル強化……森羅万象を“整理”するその力は、まさに規格外の万能チートだった! 呪われたもふもふ聖獣と、没落寸前の騎士令嬢。心優しき仲間と出会ったカイは、辺境の街で小さなギルド『クローゼット』を立ち上げる。一方、カイという“本当の勇者”を失ったパーティーは崩壊寸前に。これは、地味なスキル一つで世界を“整理整頓”していく、一人の青年の爽快成り上がり英雄譚!
S級パーティを追放された無能扱いの魔法戦士は気ままにギルド職員としてスローライフを送る
神谷ミコト
ファンタジー
【祝!4/6HOTランキング2位獲得】
元貴族の魔法剣士カイン=ポーンは、「誰よりも強くなる。」その決意から最上階と言われる100Fを目指していた。
ついにパーティ「イグニスの槍」は全人未達の90階に迫ろうとしていたが、
理不尽なパーティ追放を機に、思いがけずギルドの職員としての生活を送ることに。
今までのS級パーティとして牽引していた経験を活かし、ギルド業務。ダンジョン攻略。新人育成。そして、学園の臨時講師までそつなくこなす。
様々な経験を糧にカインはどう成長するのか。彼にとっての最強とはなんなのか。
カインが無自覚にモテながら冒険者ギルド職員としてスローライフを送るである。
ハーレム要素多め。
※隔日更新予定です。10話前後での完結予定で構成していましたが、多くの方に見られているため10話以降も製作中です。
よければ、良いね。評価、コメントお願いします。励みになりますorz
他メディアでも掲載中。他サイトにて開始一週間でジャンル別ランキング15位。HOTランキング4位達成。応援ありがとうございます。
たくさんの誤字脱字報告ありがとうございます。すべて適応させていただきます。
物語を楽しむ邪魔をしてしまい申し訳ないですorz
今後とも応援よろしくお願い致します。
収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?
木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。
追放される理由はよく分からなかった。
彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。
結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。
しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。
たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。
ケイトは彼らを失いたくなかった。
勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。
しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。
「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」
これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。
迷宮に捨てられた俺、魔導ガチャを駆使して世界最強の大賢者へと至る〜
サイダーボウイ
ファンタジー
アスター王国ハワード伯爵家の次男ルイス・ハワードは、10歳の【魔力固定の儀】において魔法適性ゼロを言い渡され、実家を追放されてしまう。
父親の命令により、生還率が恐ろしく低い迷宮へと廃棄されたルイスは、そこで魔獣に襲われて絶体絶命のピンチに陥る。
そんなルイスの危機を救ってくれたのが、400年の時を生きる魔女エメラルドであった。
彼女が操るのは、ルイスがこれまでに目にしたことのない未発見の魔法。
その煌めく魔法の数々を目撃したルイスは、深い感動を覚える。
「今の自分が悔しいなら、生まれ変わるしかないよ」
そう告げるエメラルドのもとで、ルイスは努力によって人生を劇的に変化させていくことになる。
これは、未発見魔法の列挙に挑んだ少年が、仲間たちとの出会いを通じて成長し、やがて世界の命運を動かす最強の大賢者へと至る物語である。
追放された無能鑑定士、実は世界最強の万物解析スキル持ち。パーティーと国が泣きついてももう遅い。辺境で美少女とスローライフ(?)を送る
夏見ナイ
ファンタジー
貴族の三男に転生したカイトは、【鑑定】スキルしか持てず家からも勇者パーティーからも無能扱いされ、ついには追放されてしまう。全てを失い辺境に流れ着いた彼だが、そこで自身のスキルが万物の情報を読み解く最強スキル【万物解析】だと覚醒する! 隠された才能を見抜いて助けた美少女エルフや獣人と共に、カイトは辺境の村を豊かにし、古代遺跡の謎を解き明かし、強力な魔物を従え、着実に力をつけていく。一方、カイトを切り捨てた元パーティーと王国は凋落の一途を辿り、彼の築いた豊かさに気づくが……もう遅い! 不遇から成り上がる、痛快な逆転劇と辺境スローライフ(?)が今、始まる!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる