9 / 58

第8話 vsキングドラゴン(上位種ドラゴン)(1)

しおりを挟む
「この鱗の色……! まさかキングドラゴン!? ドラゴンの中でも上位種のキングドラゴンが、まさかこんなところに現れるなんて――!」

 なるほど、リュスターナが恐怖していたのはこれが原因だったのか。

「でもこのドラゴン――えっとキングドラゴンだっけ? こんな大きな図体でどうやって洞窟の中まで入ってきたんだ?」

 キングドラゴンはこの前戦ったドラゴンと同じ20メートルくらいのサイズで、少し赤みがかった黄色(黄土色って言うのか?)の鱗に覆われている。
 でもこれだけの巨体だと、俺たちが通ってきた通路はどう考えても通れないはずだ。

「おそらく通路を破壊して押し広げながら、強引にここまで入ってきたのでしょう。先ほどの連続して聞こえてきた破砕音は、キングドラゴンが洞窟を破壊しながら進む音だったんです」

「ほんとやることなすことメチャクチャだな……」

 通れなければ通れるようにすればいいってか。
 さすがドラゴン、ワイルドすぎる。
 しかもそんな強引な方法を取ったっていうのに、鱗には傷一つついていないときた。

 あと洞窟が崩落しなくてよかった。
 異世界に来てわずか2日で崩落に巻き込まれて圧死とか訴訟もんだからな?>駄女神。

「それがドラゴンという最強種なのです。人類の長きに渡る盟友であり、しかし今や人類の宿敵となってしまった恐ろしい存在……」

「なるほどな、よく分かったよ」

「そして今、私たちはその中でも上位種のキングドラゴンに、逃げ場のない洞窟の奥で追い込まれてしまいました……」

 リュスターナは絞り出すように言って、苦渋の表情を浮かべたのだが――、

『ほぅ、それはまさか聖剣≪クラウソラス≫か? 伝説に名高い聖剣≪クラウソラス≫を抜くとはな。なるほどなるほど、つまり貴様は聖剣に認められた勇者なのだな?』

 突然どこからともなくそんな言葉が聞こえてきた。
 声がした方向にいるのはキングドラゴンだけだ。
 ということは――!

「なぁなぁ、リュスターナ。今ドラゴンが人間の言葉をしゃべったぞ?」

「キングドラゴンはドラゴンの中でも上位種だけあって、人間の言葉もバッチリ理解するんです」
「ほんとドラゴンすげーな……」

 種族の壁を越えてバイリンガルかよ。

『くっくっく、昨日妙な力を感じたので気になってやって来てみれば、まさか勇者がいたとはな。勇者を倒したとなれば、我も大手柄よ。大魔竜ドラグバーン様もさぞやお喜びになることだろう』

「大魔竜ドラグバーン、やっぱり悪のドラゴン軍団の手下か」

『くくっ、悪だと? 何が正義で何が悪かを決めるのは脆弱な貴様ら人間ではない、最強種たる我らドラゴンなのだ」

「うわこいつ、うぜぇ……」
 何様だよ。
 あ、ドラゴン様か。
 でも強けりゃ何してもいいってのはやっぱダメだと思うんだよな。

「くくくく! さぁ勇者よ! この≪試練の洞窟≫が貴様の墓場となると知るがよい!』

「残念ながら、こんな狭っくるしい穴の中を墓場にはしたくないかな?」

『ふははは! もはや問答無用だ、死ねぃ勇者!!』
 咆哮を上げると同時にキングドラゴンはドラゴンブレスを吐きかけてきた!

「――っ! ドラゴンブレスは大量のマナを、凶悪な破壊エネルギーに変えるスキルです! キングドラゴンのブレスともなれば、その威力は普通のドラゴンの十倍以上! いけません、勇者様! 逃げて!」

 リュスターナが悲鳴を上げる。
 だがしかし、俺は全然ちっとも動じてはいなかった。

「いやこれくらい全然余裕で大丈夫だから」

 事実。
 俺が聖剣≪クラウソラス≫を軽く一振りしただけで、キングドラゴン・ブレスは跡形もなく霧散していた。

「≪プロテク――ふえっ…………?」

 俺を守るために慌てて光の盾≪プロテクション≫を発動しようと、カッコよく両手の平を前に突き出したリュスターナが、その体勢のまま口をポカーンと開けて固まる。

 大きく目を見開いていて、まさに絶句していた。

 そりゃそうだろうなぁ。
 俺だってまさかこれほどの圧倒的パワーだとは思わなかったもん。

 どうも聖剣≪クラウソラス≫はただでさえ強力な勇者の力を10倍、いや100倍近くまで引き上げてくれるみたいだな。

 しかもスキル『剣聖』――熟練の剣術スキルまで、使い手に付与されるようだった。
 だから剣術素人の俺でも最良のタイミングで聖剣を振ることができたのだ。

 さすが勇者専用の剣というだけのことはある。
 これなら負ける気がしないぜ!
しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

「え、俺なんかしました?」無自覚チート《概念編集》で石ころを魔石に、なまくらを聖剣に書き換えて、国を追われた聖女様と世界を救う

黒崎隼人
ファンタジー
◆◇◆完結保証◆◇◆ ◆◇◆毎日朝7時更新!◆◇◆ 「え、俺なんかしました?」 ごく普通の大学生、朝霧 海(あさぎり かい)が迷い込んだのは、剣と魔法が息づく異世界エーテルディア。右も左も分からぬままモンスターに襲われた彼を救ったのは、聖なる光を操る謎の美少女、ルミナだった。 彼女は言った。『あなた、一体何者なの?』と。 カイ自身も知らない、触れたモノの”理”を書き換えるチート能力《概念編集(リアライター)》。 「ただの石」が「爆ぜる魔石」に? 「なまくらの剣」が「伝説級の聖剣」に!? 無自覚に規格外の力を振るうカイは、やがて国を追われる訳ありの少女ルミナと共に、巨大な陰謀に立ち向かう運命に巻き込まれていく。 これは、一人の平凡な青年が、大切な人を守るために世界の理すら書き換えて最強へと至る、王道異世界ファンタジー!

痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~

ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。 食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。 最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。 それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。 ※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。 カクヨムで先行投稿中!

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

鑑定持ちの荷物番。英雄たちの「弱点」をこっそり塞いでいたら、彼女たちが俺から離れなくなった

仙道
ファンタジー
異世界の冒険者パーティで荷物番を務める俺は、名前もないようなMOBとして生きている。だが、俺には他者には扱えない「鑑定」スキルがあった。俺は自分の平穏な雇用を守るため、雇い主である女性冒険者たちの装備の致命的な欠陥や、本人すら気づかない体調の異変を「鑑定」で見抜き、誰にもバレずに密かに対処し続けていた。英雄になるつもりも、感謝されるつもりもない。あくまで業務の一環だ。しかし、致命的な危機を未然に回避され続けた彼女たちは、俺の完璧な管理なしでは生きていけないほどに依存し始めていた。剣聖、魔術師、聖女、ギルド職員。気付けば俺は、最強の美女たちに囲まれて逃げ場を失っていた。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

詠唱? それ、気合を入れるためのおまじないですよね? ~勘違い貴族の規格外魔法譚~

Gaku
ファンタジー
「次の人生は、自由に走り回れる丈夫な体が欲しい」 病室で短い生涯を終えた僕、ガクの切実な願いは、神様のちょっとした(?)サービスで、とんでもなく盛大な形で叶えられた。 気がつけば、そこは剣と魔法が息づく異世界。貴族の三男として、念願の健康な体と、ついでに規格外の魔力を手に入れていた! これでようやく、平和で自堕落なスローライフが送れる――はずだった。 だが、僕には一つ、致命的な欠点があった。それは、この世界の魔法に関する常識が、綺麗さっぱりゼロだったこと。 皆が必死に唱える「詠唱」を、僕は「気合を入れるためのおまじない」だと勘違い。僕の魔法理論は、いつだって「体内のエネルギーを、ぐわーっと集めて、どーん!」。 その結果、 うっかり放った火の玉で、屋敷の壁に風穴を開けてしまう。 慌てて土魔法で修復すれば、なぜか元の壁より遥かに豪華絢爛な『匠の壁』が爆誕し、屋敷の新たな観光名所に。 「友達が欲しいな」と軽い気持ちで召喚魔法を使えば、天変地異の末に伝説の魔獣フェンリル(ただし、手のひらサイズの超絶可愛い子犬)を呼び出してしまう始末。 僕はただ、健康な体でのんびり暮らしたいだけなのに! 行く先々で無自覚に「やりすぎ」てしまい、気づけば周囲からは「無詠唱の暴君」「歩く災害」など、実に不名誉なあだ名で呼ばれるようになっていた……。 そんな僕が、ついに魔法学園へ入学! 当然のように入学試験では的を“消滅”させて試験官を絶句させ、「関わってはいけないヤバい奴」として輝かしい孤立生活をスタート! しかし、そんな規格外な僕に興味を持つ、二人の変わり者が現れた。 魔法の真理を探求する理論オタクの「レオ」と、強者との戦いを求める猪突猛進な武闘派女子の「アンナ」。 この二人との出会いが、モノクロだった僕の世界を、一気に鮮やかな色に変えていく――! 勘違いと無自覚チートで、知らず知らずのうちに世界を震撼させる! 腹筋崩壊のドタバタコメディを軸に、個性的な仲間たちとの友情、そして、世界の謎に迫る大冒険が、今、始まる!

処理中です...