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第36話 最強剣士決定戦

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 キンキンキンキンキンキンキンキン!
 俺とミストルティアは最初から全力の全開で激しく打ち合った!

「おおおおおっ!!」
 激しく切り結ぶ中に生まれた一瞬の隙。
 その刹那の一瞬を突いて俺が繰りだした鋭い上段斬りを、

「はぁぁぁっっ!!」
 ミストルティアが下からの打ち上げで弾き返す!

 くっ、速い!
 いつの間に剣を引き戻してたんだ。

「まだまだっ!」
 しかし俺は再び激しい打ち合いに持ち込むと、幾度となく隙を突いて攻撃をしかけていく。

「わっ、とと!? やっぱりおにーさん、すっごく強いね! とっても素敵だよ♪」

「そう言いながら俺の攻撃を全部、平然と跳ね返しやがるじゃねーか!」

「そりゃボクだって強さには自信があるからね! そりゃっ!」
「ふん、甘い!」

 キンキンキンキンキンキンキンキン!
 俺たちはさらに激しく打ち合っていく。

 俺とミストルティアの戦闘力はほとんど互角だが、技術では俺が少しだけ勝っていた。
 だがパワーとスピードではやや負けているため、あと一歩のところでなかなか効果的な一撃を撃ち込むことができないでいた。

 あとこいつ、ものすごく勘がいい。
 どうも剣の技術ってよりは、元々持っている感性とかセンスをベースに、抜群の身体能力を前面に押し出して戦うスタイルみたいだな。

 だからわりと隙を見せてくるのに、俺の攻撃は寸前でかわされたり跳ね返されたり、超反応で防がれてしまうのだ。

 このままじゃ、ちょっとらちが明かないか。
 よし、少し誘いをかけてみるか。

「くっ――!?」

 激しい打ち合いの中で、俺はガクッと右ひざを折った。
 バランスを崩したことで攻撃の手が止まる。

「スキ有りだよっ!」

 そこにゲンブソードが目にも止まらぬ速さで突き出された。
 一片の容赦もない神速の突き。
 今日見た中で一番早く鋭い攻撃が、俺の顔をめがけて一直線に向かってくる。

 だがしかし!

「かかったな!」
「え――っ」

 俺は一瞬で体勢を立て直すと、顔をわずかに逸らすだけでその鋭い一撃をかわしてみせた。
 というのも。
 ミストルティアがチャンスに顔を突きで狙ってくることが多いことを、俺は戦いの中で既に把握していたからだ!
 来ると分かっている場所に予想通りに来た攻撃をかわすことなど、今の俺には児戯に等しい!

 そして聖剣≪クラウソラス≫には、既に膨大な聖なる力が貯め込んである――!

「もらった! 必殺! ≪アルティメット・ソード≫!!」

 数々のドラゴンたちを葬ってきた勇者最大の必殺技を横なぎの一閃で放つ!
 会心のタイミングでカウンターがさく裂した――!

 ――と思ったら、
「はあっ!」

 ミストルティアはリンボーダンスよろしく上半身をグイッと逸らすと、ブリッジするような姿勢で≪アルティメット・ソード≫をギリギリでかわしやがっただと!?

「嘘だろおい!? 今のをかわすのかよ!?」

「ちょっとおにーさん、今ズルしたでしょ! わざとこけるフリしたでしょ! ズルは禁止だよ!」

 そして体勢を立て直すやいなやプリプリと怒り出すミストルティア。

「ズルとか言うなズルとか。戦術と言え」

「どっちでも一緒だもん! ズール! ズール!」
「だからズルじゃねぇっての。っていうか今のを避けるのがおかしいだろ? 今のは絶対に決まるはずの一撃だぞ」

「ボクも『あ、これヤバいかも』って思ったんだけど。でも反射的に身体が動いてくれたんだよね♪ さすがボク♪ やるぅ!」

「くっ、さらっと言ってくれやがるぜ……!」
 やっぱこいつメチャクチャ強い……!

 その後も互いに決め手を欠いたまま激しい打ち合いは続き、勝負は長期戦の様相を見せ始めた。

 キンキンキンキンキンキンキンキン!

「ぜぇ、はぁ……くそ、想像以上にしぶといな……! いい加減やられろよ……!」
「はぁ、はぁ、はぁ……おにーさんこそ本当に強いね! やるぅ!」

 キンキンキンキンキンキンキンキン、キンキンキンキンキンキンキンキン!

 始まってもう数時間。
 俺とミストルティアは息を切らしながら打ち合っていた。

「ぜぇ、ぜぇ、はぁ、はぁ……」
 既に俺の体力は尽きつつある。

 身体が重い。
 ここまで疲労したのは勇者になってから初めての経験だ。

 しかしそれはミストルティアも同じようだった。

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……」
 完全に口が開いていて、心底へばりきっているのが見て取れる。

 あのさ、これもう引き分けでいいんじゃね?
 これもう勝敗つかないだろ?

 俺がそう提案しようと口を開きかけた時だった。

「ガハハハハハ! よくやったぞミストルティア! おかげで疲れ果ててヘトヘトの勇者と戦うことができるぜ!」

 野太い声がしたかと思うと、一匹の巨大なドラゴンが俺たちの戦いに割って入ってきたのだ――!
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