ブラック社畜の俺、部屋でアニメを見ていたら説明もなしにドラゴンの跋扈する異世界に強制転移される。でも今は≪盾の聖女≫と元気に勇者やってます!
マナシロカナタ✨ねこたま✨GCN文庫
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第45話『夜明けの斬首作戦』
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「いよいよ最終決戦だな」
お城の外壁の上で遠く北の方角を見ながら、俺はそばにいるリュスターナに語り掛けた。
「はい、ついにここまで来ました」
同じく北の遠い先を見つめながら、リュスターナがこくんとうなずく。
さすがにここからは見えはしないが、視線のはるか先、山岳地帯を越えた北の大地にドラゴンたちの本拠地『ドラゴンズ・ハイランド』がある。
既に主力部隊は陽動作戦を行うために何日も前に出撃していて、城の中は閑散としていた。
残っているのは最低限の守備兵力と、俺、リュスターナ、ミストルティアの3人くらいだ。
普段は後方で指示を出したり、他の抵抗勢力との連携に腐心している軍師メイリンも今回ばかりは最前線で直接、全軍の指揮をとるのだという。
さらにはメンデル司令官も兵の士気を高めるため、総大将として出撃していた。
お城は文字通りもぬけの殻だ。
そして俺たちはというと。
陽動部隊とは全くの別行動を取って、ドラゴンの姿に戻ったミストルティアの背中に隠れて、一気に空からドラゴンズ・ハイランドの中央にあるドラグバーン城に乗り込む手はずになっていた。
そのタイミングを合わせるために、こうしてまだお城に残っているのだ。
「陽動作戦は上手くいっているでしょうか? もう距離が離れすぎて≪念話≫も通じませんし……」
「大丈夫、上手くいっているさ。兵士の士気はものすごく高いし、なにせ今回は天才軍師メイリンが直接指揮をとるんだぜ? あいつが立案して指揮までとるんだ。失敗しようがないよ」
「ふふっ、そうですよね」
「あんまり心配し過ぎると、『信用していないのかい?』ってメイリンに怒られるぞ?」
「それは困りますね。ああ見えてメイリンは直接戦闘も得意なので、怒らせると大変なんです。3メートル近いクマを素手で殴り倒したこともあるんですから」
「げっ、メイリンって典型的な頭脳派かと思ってたのに、戦闘もいけるタイプなのかよ」
文武両道じゃないけど、なにやらせても上手な天才っているよなぁ。
どんなことでもコツとか本質を見抜くのが上手いんだろうな、きっと。
怒らせないようにしよ……。
「でも怒ることは滅多にない優しくてスマートな人なので、ほとんどの人はメイリンが頭脳専門だって思っているはずですよ」
「美人だし頭もいいし戦闘もできるし、本当にすごい女の人なんだなぁ……」
前から薄々と思っていたんだけど、軍師メイリンのチートっぷりがヤバすぎないか?
ぶっちゃけわざわざ異世界から俺を送り込んで勇者にしなくても、メイリンを勇者にしたら速攻でドラゴンとの戦争も終わってたんじゃね?
もちろん異世界転移者じゃないと勇者になれないとか、そういう制約があるのかもしれないけどさ。
「あとは私たちが上手くやれるかですね。『ドラゴンズ・ハイランド』のほぼ中央にあるというドラグバーン城に乗り込むまでに、バレないといいんですけど」
「大丈夫だって、それもバレようがないさ。臆することなく正面から堂々と乗り込んでやろうぜ」
リュスターナが言った「バレないといい」というのは、ミストルティアがドラゴンを裏切って人間の味方をしていることだ。
しかしミストルティアが人間サイドについたことを知っているドラゴンは、ギガントドラゴンだけ。
そのギガントドラゴンはもうこの世にはいない。
つまりドラゴンたちは、ミストルティアをまだ味方だと思っているはずなのだ。
『夜明けの斬首作戦』の最大の肝は、その勘違いを利用してドラゴンたちの警戒網を一気にすり抜けることだった。
もちろんこれも軍師メイリンの立案だ。
ほんとメイリンはいろんな策をポンポンと思い付くもんだよな。
1つのことが10にも20にも、まるで木々の枝葉のように次々と広がっていくのだ。
俺とは頭の出来が段違いだよ。
「だから後は乗り込んで、大魔竜ドラグバーンとの直接対決でサクッと勝つだけだ」
「ですね!」
「絶対に勝とうな。いや絶対に勝って帰るぞ!」
「もちろんです!」
俺とリュスターナは改めて最終決戦での勝利を誓い合った。
そのキリリとしたリュスターナの顔は、初めて出会った時のことを俺に思い起こさせる。
それはリュスターナも同じようだった。
「それもこれも全て勇者様のおかげです。あの時あの場所で勇者様に出会わなければ、私は生きていなかったでしょう。なにより人類は今だなお、滅びの危機から脱することができないでいたはずです」
「俺もあの時リュスターナに出会えてよかったよ。あの頃はいろいろ分からないことだらけでさ」
「あ、そういえば勇者様に聞きたいことがあったんでした」
と、突然リュスターナがポンと軽く手のひらを合わせた。
「ん? なんだ?」
「勇者様が前にいた世界って、どういう世界だったんですか?」
お城の外壁の上で遠く北の方角を見ながら、俺はそばにいるリュスターナに語り掛けた。
「はい、ついにここまで来ました」
同じく北の遠い先を見つめながら、リュスターナがこくんとうなずく。
さすがにここからは見えはしないが、視線のはるか先、山岳地帯を越えた北の大地にドラゴンたちの本拠地『ドラゴンズ・ハイランド』がある。
既に主力部隊は陽動作戦を行うために何日も前に出撃していて、城の中は閑散としていた。
残っているのは最低限の守備兵力と、俺、リュスターナ、ミストルティアの3人くらいだ。
普段は後方で指示を出したり、他の抵抗勢力との連携に腐心している軍師メイリンも今回ばかりは最前線で直接、全軍の指揮をとるのだという。
さらにはメンデル司令官も兵の士気を高めるため、総大将として出撃していた。
お城は文字通りもぬけの殻だ。
そして俺たちはというと。
陽動部隊とは全くの別行動を取って、ドラゴンの姿に戻ったミストルティアの背中に隠れて、一気に空からドラゴンズ・ハイランドの中央にあるドラグバーン城に乗り込む手はずになっていた。
そのタイミングを合わせるために、こうしてまだお城に残っているのだ。
「陽動作戦は上手くいっているでしょうか? もう距離が離れすぎて≪念話≫も通じませんし……」
「大丈夫、上手くいっているさ。兵士の士気はものすごく高いし、なにせ今回は天才軍師メイリンが直接指揮をとるんだぜ? あいつが立案して指揮までとるんだ。失敗しようがないよ」
「ふふっ、そうですよね」
「あんまり心配し過ぎると、『信用していないのかい?』ってメイリンに怒られるぞ?」
「それは困りますね。ああ見えてメイリンは直接戦闘も得意なので、怒らせると大変なんです。3メートル近いクマを素手で殴り倒したこともあるんですから」
「げっ、メイリンって典型的な頭脳派かと思ってたのに、戦闘もいけるタイプなのかよ」
文武両道じゃないけど、なにやらせても上手な天才っているよなぁ。
どんなことでもコツとか本質を見抜くのが上手いんだろうな、きっと。
怒らせないようにしよ……。
「でも怒ることは滅多にない優しくてスマートな人なので、ほとんどの人はメイリンが頭脳専門だって思っているはずですよ」
「美人だし頭もいいし戦闘もできるし、本当にすごい女の人なんだなぁ……」
前から薄々と思っていたんだけど、軍師メイリンのチートっぷりがヤバすぎないか?
ぶっちゃけわざわざ異世界から俺を送り込んで勇者にしなくても、メイリンを勇者にしたら速攻でドラゴンとの戦争も終わってたんじゃね?
もちろん異世界転移者じゃないと勇者になれないとか、そういう制約があるのかもしれないけどさ。
「あとは私たちが上手くやれるかですね。『ドラゴンズ・ハイランド』のほぼ中央にあるというドラグバーン城に乗り込むまでに、バレないといいんですけど」
「大丈夫だって、それもバレようがないさ。臆することなく正面から堂々と乗り込んでやろうぜ」
リュスターナが言った「バレないといい」というのは、ミストルティアがドラゴンを裏切って人間の味方をしていることだ。
しかしミストルティアが人間サイドについたことを知っているドラゴンは、ギガントドラゴンだけ。
そのギガントドラゴンはもうこの世にはいない。
つまりドラゴンたちは、ミストルティアをまだ味方だと思っているはずなのだ。
『夜明けの斬首作戦』の最大の肝は、その勘違いを利用してドラゴンたちの警戒網を一気にすり抜けることだった。
もちろんこれも軍師メイリンの立案だ。
ほんとメイリンはいろんな策をポンポンと思い付くもんだよな。
1つのことが10にも20にも、まるで木々の枝葉のように次々と広がっていくのだ。
俺とは頭の出来が段違いだよ。
「だから後は乗り込んで、大魔竜ドラグバーンとの直接対決でサクッと勝つだけだ」
「ですね!」
「絶対に勝とうな。いや絶対に勝って帰るぞ!」
「もちろんです!」
俺とリュスターナは改めて最終決戦での勝利を誓い合った。
そのキリリとしたリュスターナの顔は、初めて出会った時のことを俺に思い起こさせる。
それはリュスターナも同じようだった。
「それもこれも全て勇者様のおかげです。あの時あの場所で勇者様に出会わなければ、私は生きていなかったでしょう。なにより人類は今だなお、滅びの危機から脱することができないでいたはずです」
「俺もあの時リュスターナに出会えてよかったよ。あの頃はいろいろ分からないことだらけでさ」
「あ、そういえば勇者様に聞きたいことがあったんでした」
と、突然リュスターナがポンと軽く手のひらを合わせた。
「ん? なんだ?」
「勇者様が前にいた世界って、どういう世界だったんですか?」
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