89 / 566
ーインタールードー
第84話 管理ナンバー000000000666異世界《アガニロム》
しおりを挟む
「まぁ知らなくても無理はない。むしろ知っていたら、私は今すぐに君を拘束して緊急の特別高等査問委員会を開かねばならなくなってしまう。管理ナンバー000000000666異世界《アガニロム》は、一般には伏せられた特殊な異世界だからね」
「僭越ながら、確か000666異世界は可愛い動物でいっぱいのメルヘン系の異世界だったと記憶しておりますが……」
私もいつか行ってみたいと思った、とってもファンシーでピースフルな異世界だ。
「ちがうちがう、そこじゃない。《アガニロム》は『000000』の『000666』だ。隠しナンバーによって管理されていて、ごく一部の人間しか知りえない、完全に情報が隔離された異世界なのさ」
「そんなものが……、にわかには信じられません」
情報公開法の適用範囲外、国家機密、いわゆる『特定秘密』ということなのだろうか?
「まぁそうだろうね。おっと言い忘れていたけど、この話は間違っても外でしちゃあいけないよ? 場合によっては機密漏えいで20年刑務所に入ることになる」
「にじゅう……、りょ、了解いたしました。肝に銘じておきます」
私は冷や汗を垂らしながら答えた。
だって20年の刑務所生活なんて、万が一にでもそんなことになってしまったら私の人生は終わったも同然だ。
偉い人も普通の人も、人生は等しく一度きり。
だったら他人がどう思ってもいい、私は自分が納得できる人生を送りたい。
「ところでなぜその世界に異世界転生させたことで、私はこのように、その、褒められることになったのでしょうか?」
まったくもって意味が解らない。
どうも単に珍しいから、というわけでは無さそうだけど……。
「それはね、《アガニロム》は異世界転生局が全く手を出せない、最強最悪の異世界だからだ」
「――え?」
「どこから説明したものかな? そうだね、S級チートが最強なのはもちろん知っているね? 基本的にS級チートを付与しておけば、たいがいの異世界で無双することが可能となる。しかしそのS級が最強たりえない、修羅の異世界が存在する」
「そんな、まさか――」
S級チートは異世界転生局の技術の粋を凝らして作られ、幾度のアップグレードを経てわずかな問題点すら存在しない、文字通り「最強」の存在だ。
なのに――、
「SS級と呼ばれるS級をはるかに超える上位チートが多数存在していて、非業の死を遂げた英雄たちが、もう一度の活躍の場を求めて転生すると言われる最高難度の異世界。それが管理ナンバー000000000666異世界《アガニロム》だ」
「英雄が転生する異世界って、なんですかそれ……!」
だって、麻奈志漏さんはいたって普通の一般人で――!
「しかも、だ。ここ200年間は相応しいと思われた英雄であっても、誰一人として《アガニロム》に転生することができなかった。どうやればこの異世界に転生できるのか、検証すら許さない異質すぎる異世界。その《アガニロム》への異世界転生を、初仕事でいきなり成し遂げたのが君だ! いや、私も生きているうちにまさか《アガニロム》への転生を見られるとは、正直思ってもみなかったよ」
はっはっはと、本部長は上機嫌に笑うんだけど――、
「じゃあつまり私は、麻奈志漏さんを、そんな大変な異世界に――」
異世界転生への熱い想いを抱いていたあの人を、そんな修羅と悪魔の世界に送り込んでしまったなんて――!
何も知らなかったとはいえ、
「私は、私はなんてことを――!」
「彼にはS級以下全てのチートを付与したみたいだね。普通はエラーが出てそんなことはできないはずなんだけれども。向こうの世界から何らかの干渉があったのか、それが通ってしまったということだけでも、《アガニロム》の異質さの傍証になるだろう」
「――――っ!」
「《アガニロム》では、おそらくS級チートを全部付与したとしても、何の保証にもなりはしない。万が一SS級と遭遇してしまえば、S級じゃ格が1枚落ちるだけの文字通り格下だからね。運が悪けりゃ、明日にでも死んでしまうかもしれないね」
「そ、そんな――! なんとか、なんとかできないんですか!? 麻奈志漏さんは、そんな世界でやっていけるような英雄なんかじゃありません! 誰よりも清らかで美しい心を持っている以外は、ただの普通の一般人なんです! なにか、なにか助ける方法はないんですか――!?」
どうにか彼を助けたいという一心で、思わず腰を浮かせて前のめりになった私にかけられたのは、
「それは――、あるよ。そしてそれこそが、今日ここに君を呼んだもう一つの理由でもある」
これまた思いもよらない言葉だった。
「僭越ながら、確か000666異世界は可愛い動物でいっぱいのメルヘン系の異世界だったと記憶しておりますが……」
私もいつか行ってみたいと思った、とってもファンシーでピースフルな異世界だ。
「ちがうちがう、そこじゃない。《アガニロム》は『000000』の『000666』だ。隠しナンバーによって管理されていて、ごく一部の人間しか知りえない、完全に情報が隔離された異世界なのさ」
「そんなものが……、にわかには信じられません」
情報公開法の適用範囲外、国家機密、いわゆる『特定秘密』ということなのだろうか?
「まぁそうだろうね。おっと言い忘れていたけど、この話は間違っても外でしちゃあいけないよ? 場合によっては機密漏えいで20年刑務所に入ることになる」
「にじゅう……、りょ、了解いたしました。肝に銘じておきます」
私は冷や汗を垂らしながら答えた。
だって20年の刑務所生活なんて、万が一にでもそんなことになってしまったら私の人生は終わったも同然だ。
偉い人も普通の人も、人生は等しく一度きり。
だったら他人がどう思ってもいい、私は自分が納得できる人生を送りたい。
「ところでなぜその世界に異世界転生させたことで、私はこのように、その、褒められることになったのでしょうか?」
まったくもって意味が解らない。
どうも単に珍しいから、というわけでは無さそうだけど……。
「それはね、《アガニロム》は異世界転生局が全く手を出せない、最強最悪の異世界だからだ」
「――え?」
「どこから説明したものかな? そうだね、S級チートが最強なのはもちろん知っているね? 基本的にS級チートを付与しておけば、たいがいの異世界で無双することが可能となる。しかしそのS級が最強たりえない、修羅の異世界が存在する」
「そんな、まさか――」
S級チートは異世界転生局の技術の粋を凝らして作られ、幾度のアップグレードを経てわずかな問題点すら存在しない、文字通り「最強」の存在だ。
なのに――、
「SS級と呼ばれるS級をはるかに超える上位チートが多数存在していて、非業の死を遂げた英雄たちが、もう一度の活躍の場を求めて転生すると言われる最高難度の異世界。それが管理ナンバー000000000666異世界《アガニロム》だ」
「英雄が転生する異世界って、なんですかそれ……!」
だって、麻奈志漏さんはいたって普通の一般人で――!
「しかも、だ。ここ200年間は相応しいと思われた英雄であっても、誰一人として《アガニロム》に転生することができなかった。どうやればこの異世界に転生できるのか、検証すら許さない異質すぎる異世界。その《アガニロム》への異世界転生を、初仕事でいきなり成し遂げたのが君だ! いや、私も生きているうちにまさか《アガニロム》への転生を見られるとは、正直思ってもみなかったよ」
はっはっはと、本部長は上機嫌に笑うんだけど――、
「じゃあつまり私は、麻奈志漏さんを、そんな大変な異世界に――」
異世界転生への熱い想いを抱いていたあの人を、そんな修羅と悪魔の世界に送り込んでしまったなんて――!
何も知らなかったとはいえ、
「私は、私はなんてことを――!」
「彼にはS級以下全てのチートを付与したみたいだね。普通はエラーが出てそんなことはできないはずなんだけれども。向こうの世界から何らかの干渉があったのか、それが通ってしまったということだけでも、《アガニロム》の異質さの傍証になるだろう」
「――――っ!」
「《アガニロム》では、おそらくS級チートを全部付与したとしても、何の保証にもなりはしない。万が一SS級と遭遇してしまえば、S級じゃ格が1枚落ちるだけの文字通り格下だからね。運が悪けりゃ、明日にでも死んでしまうかもしれないね」
「そ、そんな――! なんとか、なんとかできないんですか!? 麻奈志漏さんは、そんな世界でやっていけるような英雄なんかじゃありません! 誰よりも清らかで美しい心を持っている以外は、ただの普通の一般人なんです! なにか、なにか助ける方法はないんですか――!?」
どうにか彼を助けたいという一心で、思わず腰を浮かせて前のめりになった私にかけられたのは、
「それは――、あるよ。そしてそれこそが、今日ここに君を呼んだもう一つの理由でもある」
これまた思いもよらない言葉だった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
初期スキルが便利すぎて異世界生活が楽しすぎる!
霜月雹花
ファンタジー
神の悪戯により死んでしまった主人公は、別の神の手により3つの便利なスキルを貰い異世界に転生する事になった。転生し、普通の人生を歩む筈が、又しても神の悪戯によってトラブルが起こり目が覚めると異世界で10歳の〝家無し名無し〟の状態になっていた。転生を勧めてくれた神からの手紙に代償として、希少な力を受け取った。
神によって人生を狂わされた主人公は、異世界で便利なスキルを使って生きて行くそんな物語。
書籍8巻11月24日発売します。
漫画版2巻まで発売中。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
『スローライフどこ行った?!』追放された最強凡人は望まぬハーレムに困惑する?!
たらふくごん
ファンタジー
最強の凡人――追放され、転生した蘇我頼人。
新たな世界で、彼は『ライト・ガルデス』として再び生を受ける。
※※※※※
1億年の試練。
そして、神をもしのぐ力。
それでも俺の望みは――ただのスローライフだった。
すべての試練を終え、創世神にすら認められた俺。
だが、もはや生きることに飽きていた。
『違う選択肢もあるぞ?』
創世神の言葉に乗り気でなかった俺は、
その“策略”にまんまと引っかかる。
――『神しか飲めぬ最高級のお茶』。
確かに神は嘘をついていない。
けれど、あの流れは勘違いするだろうがっ!!
そして俺は、あまりにも非道な仕打ちの末、
神の娘ティアリーナが治める世界へと“追放転生”させられた。
記憶を失い、『ライト・ガルデス』として迎えた新しい日々。
それは、久しく感じたことのない“安心”と“愛”に満ちていた。
だが――5歳の洗礼の儀式を境に、運命は動き出す。
くどいようだが、俺の望みはスローライフ。
……のはずだったのに。
呪いのような“女難の相”が炸裂し、
気づけば婚約者たちに囲まれる毎日。
どうしてこうなった!?
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
天才女薬学者 聖徳晴子の異世界転生
西洋司
ファンタジー
妙齢の薬学者 聖徳晴子(せいとく・はるこ)は、絶世の美貌の持ち主だ。
彼女は思考の並列化作業を得意とする、いわゆる天才。
精力的にフィールドワークをこなし、ついにエリクサーの開発間際というところで、放火で殺されてしまった。
晴子は、権力者達から、その地位を脅かす存在、「敵」と見做されてしまったのだ。
死後、晴子は天界で女神様からこう提案された。
「あなたは生前7人分の活躍をしましたので、異世界行きのチケットが7枚もあるんですよ。もしよろしければ、一度に使い切ってみては如何ですか?」
晴子はその提案を受け容れ、異世界へと旅立った。
ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者
哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。
何も成し遂げることなく35年……
ついに前世の年齢を超えた。
※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。
※この小説は他サイトにも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる