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異世界転生 9日目
第156.5話 きゅうに、ぎゅーが、きたので
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「お疲れさま。朝一で急な仕事を頼んじゃって、ごめんね?」
「とんでもありません! ナイア様は先日も、東の辺境で邪竜を討伐したと聞きおよんでおります! それに比べればこれしきのこと、大したことではありません!」
ピンと背筋を伸ばして答える女の子の表情は、尊敬の感情でいっぱいだった。
さすが実績抜群、皇帝からの信も厚いと言われるナイアであることよ。
「これ、そこな小娘、その若さではや死にたいのかえ? 何を勘違いしておるのか知らぬが、妾らは討伐なぞされてはおらぬぞ? この通りピンピンしておるのじゃ。そもそも妾を倒してみせたのは主様であって――」
『討伐された』という言葉を聞きとがめた《神焉竜》が、青筋を立ててガチ気味に絡みだしたので、
「あ、あくまで噂だよ噂! な? 尾ひれはひれがついてこその噂ってもんだろ? だからこんな普通のご飯屋さんで、超ガチな殺気を飛ばすのはやめてくれないかな!?」
慌ててハヅキを抱っこしたまま間に入ってとりなす俺だった。
だって下手したら殺気だけでこの子が気絶しちゃう可能性すらあったんじゃないかな……?
「うにゅ。きゅうに、ぎゅーが、きたので」
「ああ、ごめんごめん」
俺は《神焉竜》の絶対零度の殺意にハヅキが巻き込まれないようにと、守るようにぎゅっとハヅキを抱きしめていたのだった。
「とっても羨ましいですの……」
「はぅ、わたしも……」
なんて言っちゃうサーシャとウヅキが可愛かったので、手招きしてハヅキと一緒に3人まとめてぎゅーをしてあげた。
しながら、
「お前な、いちいち沸点が低すぎるんだよ。最上位のSS級だろ、もっと泰然自若に構えていろよ?」
「ずるいのじゃ、妾も主様にぎゅーをして欲しいのじゃ」
「俺の話を微塵も聞いちゃいねぇ!? ……あーもう、ほら、おまえもこっちこいよ」
俺はウヅキ、サーシャ、ハヅキ、《神焉竜》をまとめてぎゅーっとしてあげることにした。
まぁほら?
みんなとっても可愛い女の子だし、ぶっちゃけ超がつくほどの役得なわけで、もちろん文句なんてちっとももありませんです、はい。
なので、
「じゃあみんな気力を充電できたところで、今度こそ捕り物といこうか」
ナイアがそう言ってくれなければ、ずっとぎゅーっとしていたところだった。
「手はずどおりにアタイは別行動。セーヤ達は正面から頼むね。ま、特に抵抗はないと思うけど」
準備――とはつまり、こういうことだ。
これから行うことは、《聖処女騎士団》による正式な捜査なのだ。
相手は帝都有数の大商人。
俺たちが無闇勝手に突っこんだら、下手をしたら逆にこっちが不法侵入でお尋ね者になってしまう。
では、どうするか。
「《聖処女騎士団》には妖魔、および『幻想種』に関する犯罪を取り締まる権限が与えられてるのさ」
「そういや、そんなことを言ってたような……?」
確か《神焉竜》を召喚した辺境伯と対峙した時に、そんなことを言ってたはずだ。
「本来は、東の辺境伯モレノを捜査するために与えられた時限立法なんだけど、まだ事後処理中で効力は切れていないからね。せっかくだから有効活用させてもらおう」
にやり、と。
秘密基地で悪だくみをする子供みたいな顔をしてナイアが笑った――。
「とんでもありません! ナイア様は先日も、東の辺境で邪竜を討伐したと聞きおよんでおります! それに比べればこれしきのこと、大したことではありません!」
ピンと背筋を伸ばして答える女の子の表情は、尊敬の感情でいっぱいだった。
さすが実績抜群、皇帝からの信も厚いと言われるナイアであることよ。
「これ、そこな小娘、その若さではや死にたいのかえ? 何を勘違いしておるのか知らぬが、妾らは討伐なぞされてはおらぬぞ? この通りピンピンしておるのじゃ。そもそも妾を倒してみせたのは主様であって――」
『討伐された』という言葉を聞きとがめた《神焉竜》が、青筋を立ててガチ気味に絡みだしたので、
「あ、あくまで噂だよ噂! な? 尾ひれはひれがついてこその噂ってもんだろ? だからこんな普通のご飯屋さんで、超ガチな殺気を飛ばすのはやめてくれないかな!?」
慌ててハヅキを抱っこしたまま間に入ってとりなす俺だった。
だって下手したら殺気だけでこの子が気絶しちゃう可能性すらあったんじゃないかな……?
「うにゅ。きゅうに、ぎゅーが、きたので」
「ああ、ごめんごめん」
俺は《神焉竜》の絶対零度の殺意にハヅキが巻き込まれないようにと、守るようにぎゅっとハヅキを抱きしめていたのだった。
「とっても羨ましいですの……」
「はぅ、わたしも……」
なんて言っちゃうサーシャとウヅキが可愛かったので、手招きしてハヅキと一緒に3人まとめてぎゅーをしてあげた。
しながら、
「お前な、いちいち沸点が低すぎるんだよ。最上位のSS級だろ、もっと泰然自若に構えていろよ?」
「ずるいのじゃ、妾も主様にぎゅーをして欲しいのじゃ」
「俺の話を微塵も聞いちゃいねぇ!? ……あーもう、ほら、おまえもこっちこいよ」
俺はウヅキ、サーシャ、ハヅキ、《神焉竜》をまとめてぎゅーっとしてあげることにした。
まぁほら?
みんなとっても可愛い女の子だし、ぶっちゃけ超がつくほどの役得なわけで、もちろん文句なんてちっとももありませんです、はい。
なので、
「じゃあみんな気力を充電できたところで、今度こそ捕り物といこうか」
ナイアがそう言ってくれなければ、ずっとぎゅーっとしていたところだった。
「手はずどおりにアタイは別行動。セーヤ達は正面から頼むね。ま、特に抵抗はないと思うけど」
準備――とはつまり、こういうことだ。
これから行うことは、《聖処女騎士団》による正式な捜査なのだ。
相手は帝都有数の大商人。
俺たちが無闇勝手に突っこんだら、下手をしたら逆にこっちが不法侵入でお尋ね者になってしまう。
では、どうするか。
「《聖処女騎士団》には妖魔、および『幻想種』に関する犯罪を取り締まる権限が与えられてるのさ」
「そういや、そんなことを言ってたような……?」
確か《神焉竜》を召喚した辺境伯と対峙した時に、そんなことを言ってたはずだ。
「本来は、東の辺境伯モレノを捜査するために与えられた時限立法なんだけど、まだ事後処理中で効力は切れていないからね。せっかくだから有効活用させてもらおう」
にやり、と。
秘密基地で悪だくみをする子供みたいな顔をしてナイアが笑った――。
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