177 / 566
異世界転生 9日目
第157話 問われたからには、答えなければならないな――!
しおりを挟む
別行動のナイア以外の女の子たち&数名の《聖処女騎士団》の女の子騎士たちとで、スコット=マシソン商会の保養所へと踏み込んだ俺たちは――、
「抵抗はないだろうってナイアは言ってたけどさ。すごいな、あっけないほどに完全に無抵抗だ」
使用人の一人によって、スティール・スコット=マシソンがいるという奥の部屋へと案内されていた。
「騎士の子が《聖処女騎士団》の強制捜査だって告げた途端、使用人一同もろ手を挙げて全面降伏の勢いだったもんな……」
「《聖処女騎士団》は皇帝陛下直属の特務騎士団、つまり近衛騎士と同格ですの。しかも団長であるナイアは勲功高き爵位持ちとして、広く民に知られておりますわ。となれば一般市民にとってその妨害は皇帝陛下に弓を引くも同じなのですわ」
「そっか。分かってたつもりだったんだけど、ナイアって本当の本当に偉い人だったんだなぁ……」
ただ、俺としてはもっと暴れん坊将軍的なチャンバラがあると思ってたので、ちょっとだけ拍子抜けしてしまっていた。
でもよくよく考えれば、日本でも警察が強制捜査に入った時に抵抗されて撃ち合いになった、なんて話はまず聞かないもんな……。
そんな感じで、俺たちはいたって平和に屋敷の中を進んでいった。
どれくらい平和だったかというと、《神焉竜》なんて全く興味無さげに最後尾で髪の毛の先をいじりながら、時おりあくびまでかましてるくらいである。
そして、
「ここか――」
俺たちは一番奥の部屋、扉からして高そうな丁度がほどこされた部屋へと案内されたのだった。
その扉をわずかにそっと開けて中を覗き見ると、
「いた、あいつだ……!」
中にはスティール・スコット=マシソンがいて。
さらにその前には小さなオオカミが2匹、鎖に繋がれて転がされていた。
「妹たちなのだ! むぐむぐ……ガブリ」
「いててっ……ごめんシロガネ。でも大きな声は出さないでくれないか? 妹たちを無事に助けるために、な?」
「むぅ……わかったのだ」
「よし、いい子だ」
軽く頭を撫でてシロガネを落ち着かせると、俺は中の様子をうかがっていく。
すると、
「まったくなぜだ!? まさか《シュプリームウルフ》を撃退したとでもいうのか? SS級だぞ、ありえないじゃないか! それともまさか懐柔されたのか? くそっ、どちらにせよ使えない犬め……!」
いら立ちが最高潮に達したのか、スティール・スコット=マシソンは机の上にあった書類を力任せに手で払いのけると、それを床へとぶちまけた。
「あと一歩で、もう少しで東の辺境からの、A5地鶏の帝都納入権を奪取できたというのに……! 今までの策略が――ゆくゆくは東の辺境の経済圏も全て手に入れるという壮大なボクの計画が、これで完全におじゃんじゃないか! ごろつきに荷馬車を襲わせるのも《シュプリームウルフ》を誘拐するのも、他にも手間と金を費やしてありとあらゆる妨害工作をやったってのに……! あと一歩だったのに、くそっ! くそっ! くそっ!」
怒りに染まったスティール・スコット=マシソンの視線が、幼いオオカミ姉妹に向けられた。
「全てはおまえらのせいだぞ! おまえらが、お前らの姉が荷馬車襲撃をしくじらなければ……! どれ、お前らには少し痛い目を見せてやるとするか……! 恨むなら使えない姉を恨むんだな!」
拘束されて抵抗できない2匹へ、怒りとともに嗜虐的な笑みを浮かべたスティール・スコット=マシソンが近づいていく。
うん、これ以上は危険だな。
幼い姉妹たちの危機を前にしたシロガネが、俺の隣で猛烈な怒りを発しているし。
それ以前に、俺だってこいつの勝手な言い分に正直怒り心頭なのだから――!
「おっけー、行くか――!」
バァン!!!!
俺は注意を引くように、高そうなドアをわざと大きな音を立てて派手に蹴り開けた!
そして、
「話はすべて聞かせてもらったぞ!」
大音声とともに部屋の中へと突入した――!
「っ! 何者だ!」
驚いた顔で振り返るスティール・スコット=マシソン。
やれやれ。
問われたからには、答えなければならないな……!
「東の辺境に黄金の太陽が昇る時、三つ葉葵の風が吹く――!」
「こいつ、いきなりなにを言っているんだ……!? 意味不明なのだ」
「しっ。シロガネ、今はセーヤ様の一番の見せ場なのですわ。だからちょっとだけ見守ってあげてくださいですの」
「うむうむ、主様はなかなかの千両役者じゃのぅ」
「これは千両役者というよりかは、傾奇者とでも言った方がよろしいのでは」
「これは……! 間違いありません! 早朝の裏山で一番時間をかけて何度も練習していた、『悪事を働く悪者の屋敷に踏み込んだ時』の決めゼリフです! こういう時のためにこっそり練習していたんですね! さすがです、セーヤさん!」
「うにゅ?」
「……こほん」
い、今の半分は褒め言葉だったはず……。
き、気を取り直して――、
「俺の名は麻奈志漏誠也! 《神滅覇王》にして《王竜を退けし者》の麻奈志漏誠也だ――!」
俺は高らかに名乗りを上げた――!
「抵抗はないだろうってナイアは言ってたけどさ。すごいな、あっけないほどに完全に無抵抗だ」
使用人の一人によって、スティール・スコット=マシソンがいるという奥の部屋へと案内されていた。
「騎士の子が《聖処女騎士団》の強制捜査だって告げた途端、使用人一同もろ手を挙げて全面降伏の勢いだったもんな……」
「《聖処女騎士団》は皇帝陛下直属の特務騎士団、つまり近衛騎士と同格ですの。しかも団長であるナイアは勲功高き爵位持ちとして、広く民に知られておりますわ。となれば一般市民にとってその妨害は皇帝陛下に弓を引くも同じなのですわ」
「そっか。分かってたつもりだったんだけど、ナイアって本当の本当に偉い人だったんだなぁ……」
ただ、俺としてはもっと暴れん坊将軍的なチャンバラがあると思ってたので、ちょっとだけ拍子抜けしてしまっていた。
でもよくよく考えれば、日本でも警察が強制捜査に入った時に抵抗されて撃ち合いになった、なんて話はまず聞かないもんな……。
そんな感じで、俺たちはいたって平和に屋敷の中を進んでいった。
どれくらい平和だったかというと、《神焉竜》なんて全く興味無さげに最後尾で髪の毛の先をいじりながら、時おりあくびまでかましてるくらいである。
そして、
「ここか――」
俺たちは一番奥の部屋、扉からして高そうな丁度がほどこされた部屋へと案内されたのだった。
その扉をわずかにそっと開けて中を覗き見ると、
「いた、あいつだ……!」
中にはスティール・スコット=マシソンがいて。
さらにその前には小さなオオカミが2匹、鎖に繋がれて転がされていた。
「妹たちなのだ! むぐむぐ……ガブリ」
「いててっ……ごめんシロガネ。でも大きな声は出さないでくれないか? 妹たちを無事に助けるために、な?」
「むぅ……わかったのだ」
「よし、いい子だ」
軽く頭を撫でてシロガネを落ち着かせると、俺は中の様子をうかがっていく。
すると、
「まったくなぜだ!? まさか《シュプリームウルフ》を撃退したとでもいうのか? SS級だぞ、ありえないじゃないか! それともまさか懐柔されたのか? くそっ、どちらにせよ使えない犬め……!」
いら立ちが最高潮に達したのか、スティール・スコット=マシソンは机の上にあった書類を力任せに手で払いのけると、それを床へとぶちまけた。
「あと一歩で、もう少しで東の辺境からの、A5地鶏の帝都納入権を奪取できたというのに……! 今までの策略が――ゆくゆくは東の辺境の経済圏も全て手に入れるという壮大なボクの計画が、これで完全におじゃんじゃないか! ごろつきに荷馬車を襲わせるのも《シュプリームウルフ》を誘拐するのも、他にも手間と金を費やしてありとあらゆる妨害工作をやったってのに……! あと一歩だったのに、くそっ! くそっ! くそっ!」
怒りに染まったスティール・スコット=マシソンの視線が、幼いオオカミ姉妹に向けられた。
「全てはおまえらのせいだぞ! おまえらが、お前らの姉が荷馬車襲撃をしくじらなければ……! どれ、お前らには少し痛い目を見せてやるとするか……! 恨むなら使えない姉を恨むんだな!」
拘束されて抵抗できない2匹へ、怒りとともに嗜虐的な笑みを浮かべたスティール・スコット=マシソンが近づいていく。
うん、これ以上は危険だな。
幼い姉妹たちの危機を前にしたシロガネが、俺の隣で猛烈な怒りを発しているし。
それ以前に、俺だってこいつの勝手な言い分に正直怒り心頭なのだから――!
「おっけー、行くか――!」
バァン!!!!
俺は注意を引くように、高そうなドアをわざと大きな音を立てて派手に蹴り開けた!
そして、
「話はすべて聞かせてもらったぞ!」
大音声とともに部屋の中へと突入した――!
「っ! 何者だ!」
驚いた顔で振り返るスティール・スコット=マシソン。
やれやれ。
問われたからには、答えなければならないな……!
「東の辺境に黄金の太陽が昇る時、三つ葉葵の風が吹く――!」
「こいつ、いきなりなにを言っているんだ……!? 意味不明なのだ」
「しっ。シロガネ、今はセーヤ様の一番の見せ場なのですわ。だからちょっとだけ見守ってあげてくださいですの」
「うむうむ、主様はなかなかの千両役者じゃのぅ」
「これは千両役者というよりかは、傾奇者とでも言った方がよろしいのでは」
「これは……! 間違いありません! 早朝の裏山で一番時間をかけて何度も練習していた、『悪事を働く悪者の屋敷に踏み込んだ時』の決めゼリフです! こういう時のためにこっそり練習していたんですね! さすがです、セーヤさん!」
「うにゅ?」
「……こほん」
い、今の半分は褒め言葉だったはず……。
き、気を取り直して――、
「俺の名は麻奈志漏誠也! 《神滅覇王》にして《王竜を退けし者》の麻奈志漏誠也だ――!」
俺は高らかに名乗りを上げた――!
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
初期スキルが便利すぎて異世界生活が楽しすぎる!
霜月雹花
ファンタジー
神の悪戯により死んでしまった主人公は、別の神の手により3つの便利なスキルを貰い異世界に転生する事になった。転生し、普通の人生を歩む筈が、又しても神の悪戯によってトラブルが起こり目が覚めると異世界で10歳の〝家無し名無し〟の状態になっていた。転生を勧めてくれた神からの手紙に代償として、希少な力を受け取った。
神によって人生を狂わされた主人公は、異世界で便利なスキルを使って生きて行くそんな物語。
書籍8巻11月24日発売します。
漫画版2巻まで発売中。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
『スローライフどこ行った?!』追放された最強凡人は望まぬハーレムに困惑する?!
たらふくごん
ファンタジー
最強の凡人――追放され、転生した蘇我頼人。
新たな世界で、彼は『ライト・ガルデス』として再び生を受ける。
※※※※※
1億年の試練。
そして、神をもしのぐ力。
それでも俺の望みは――ただのスローライフだった。
すべての試練を終え、創世神にすら認められた俺。
だが、もはや生きることに飽きていた。
『違う選択肢もあるぞ?』
創世神の言葉に乗り気でなかった俺は、
その“策略”にまんまと引っかかる。
――『神しか飲めぬ最高級のお茶』。
確かに神は嘘をついていない。
けれど、あの流れは勘違いするだろうがっ!!
そして俺は、あまりにも非道な仕打ちの末、
神の娘ティアリーナが治める世界へと“追放転生”させられた。
記憶を失い、『ライト・ガルデス』として迎えた新しい日々。
それは、久しく感じたことのない“安心”と“愛”に満ちていた。
だが――5歳の洗礼の儀式を境に、運命は動き出す。
くどいようだが、俺の望みはスローライフ。
……のはずだったのに。
呪いのような“女難の相”が炸裂し、
気づけば婚約者たちに囲まれる毎日。
どうしてこうなった!?
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
天才女薬学者 聖徳晴子の異世界転生
西洋司
ファンタジー
妙齢の薬学者 聖徳晴子(せいとく・はるこ)は、絶世の美貌の持ち主だ。
彼女は思考の並列化作業を得意とする、いわゆる天才。
精力的にフィールドワークをこなし、ついにエリクサーの開発間際というところで、放火で殺されてしまった。
晴子は、権力者達から、その地位を脅かす存在、「敵」と見做されてしまったのだ。
死後、晴子は天界で女神様からこう提案された。
「あなたは生前7人分の活躍をしましたので、異世界行きのチケットが7枚もあるんですよ。もしよろしければ、一度に使い切ってみては如何ですか?」
晴子はその提案を受け容れ、異世界へと旅立った。
ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者
哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。
何も成し遂げることなく35年……
ついに前世の年齢を超えた。
※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。
※この小説は他サイトにも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる