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ーインタールードー 2
第165話 『《神滅覇王》まん』
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「サーシャ、一体なんなんだ、その『《神滅覇王》まん』ってのは――!」
「それはもちろん――」
「もちろん――――ゴクリ」
言いかけたサーシャは、しかしそこで口をつぐむと、
「…………」
何事か考える素振りを見せてから、
「ふふっ、やっぱり内緒ですの。見てのお楽しみですわ♪」
小悪魔っぽく笑って誤魔化しやがるのだ。
「おいこらちょっと待て、内緒でお楽しみじゃなくて全然かまわないから、まずはその危険すぎるワードについて、今すぐここで洗いざらいしゃべるんだ……っ!」
「もう、セーヤ様ったらすぐがっつく、せ・っ・か・ち、さん――なのですわ! 例えば優雅に泳ぐハクチョウも、水の下では必死に足をこいでおりますの。殿方には決して見せない秘密というものが、女の子にはつきものでしてよ?」
「いかにもそれっぽいこと言っても俺は誤魔化されないからな?」
「ご安心くださいませ、マナシロ様」
埒が明かない不毛なやりとりを引き取ったのはクリスさんだった。
しかしだ。
「この状況で一体なにをどう安心しろと!?」
内緒でお楽しみの『《神滅覇王》まん』に、俺は不安以外の何も感じないんだけど!?
そしてこういう時のサーシャは、例外なく想像の斜め上を突っ走っている……!
「ご安心くださいませ、マナシロ様」
そんな俺を諭すように、クリスさんは全てを癒して包み込む大地母神のごとき笑みを浮かべながら繰り返す。
「『《神滅覇王》まん』は、マナシロ様が心配されるようなクレイジーな代物では決してございません。ただの《神滅覇王》っぽく作られたお饅頭にございます」
「……おいこらちょっと待てや」
なんだ《神滅覇王》っぽいお饅頭って。
さも当たり前みたいに言ってるけど、のっけからクレイジーな領域に一歩踏み込んじゃってるからね?
「話は最後までお聞きくださいませ。この『《神滅覇王》まん』ですが、もしマナシロ様に公認アイテムとして使用許諾をいただけるのであれば、ロイヤリティとして売り上げの5%をお支払いいたします」
ピク――ッ!
「なに……? 5%の、ロイヤリティだと……!?」
「はい。当然、実売数ではなく出荷数をベースに算出いたしますので、販売価格×出荷数×0.05の金額を毎月末にお支払いいたします」
ピクッ、ピクピク――ッ!
「お止めなさいクリス! そのような話の進め方はセーヤ様に失礼ですわ。それではまるでセーヤ様がお金のためなら主義主張も曲げる、底の知れた拝金主義の唾棄すべき俗物のように聞こえてしまうではありませんか!」
サーシャが珍しく強い口調でクリスさんを注意した。
そして怒られたクリスさんはというと――、
「あっ! これはなんという失態でしょうか!」
――めっちゃわざとらしく言った。
本当にわざとらしく言った。
それはもう文化祭のクラス演劇の大根役者かよ、ってくらいにわざとらしく言いよった。
これ、どう考えても俺にロイヤリティの話を聞かせるために、怒られるのも織り込み済みで故意に言ったよね?
「本当になんという失態……! トラヴィス家の筆頭格メイドたるクリス・ビヤヌエヴァとしたことが、そのようなことにも気づかず……この罪万死に値します!」
「あ、いえ、なんというか、そこまででもないのでは……」
「マナシロ様におかれましても、先ほどの礼を失した物言い、大変申し訳ありませんでした。どうか平にご容赦いただきたく。また今の話はなにとぞ、寛容な御心で聞かなかったことに――」
「あ、いえ……別に謝られるようなことでもないですから……あの、ところでなんですけど」
「はい?」
キラーンと、クリスさんの目が光ったような気がした。
「それはもちろん――」
「もちろん――――ゴクリ」
言いかけたサーシャは、しかしそこで口をつぐむと、
「…………」
何事か考える素振りを見せてから、
「ふふっ、やっぱり内緒ですの。見てのお楽しみですわ♪」
小悪魔っぽく笑って誤魔化しやがるのだ。
「おいこらちょっと待て、内緒でお楽しみじゃなくて全然かまわないから、まずはその危険すぎるワードについて、今すぐここで洗いざらいしゃべるんだ……っ!」
「もう、セーヤ様ったらすぐがっつく、せ・っ・か・ち、さん――なのですわ! 例えば優雅に泳ぐハクチョウも、水の下では必死に足をこいでおりますの。殿方には決して見せない秘密というものが、女の子にはつきものでしてよ?」
「いかにもそれっぽいこと言っても俺は誤魔化されないからな?」
「ご安心くださいませ、マナシロ様」
埒が明かない不毛なやりとりを引き取ったのはクリスさんだった。
しかしだ。
「この状況で一体なにをどう安心しろと!?」
内緒でお楽しみの『《神滅覇王》まん』に、俺は不安以外の何も感じないんだけど!?
そしてこういう時のサーシャは、例外なく想像の斜め上を突っ走っている……!
「ご安心くださいませ、マナシロ様」
そんな俺を諭すように、クリスさんは全てを癒して包み込む大地母神のごとき笑みを浮かべながら繰り返す。
「『《神滅覇王》まん』は、マナシロ様が心配されるようなクレイジーな代物では決してございません。ただの《神滅覇王》っぽく作られたお饅頭にございます」
「……おいこらちょっと待てや」
なんだ《神滅覇王》っぽいお饅頭って。
さも当たり前みたいに言ってるけど、のっけからクレイジーな領域に一歩踏み込んじゃってるからね?
「話は最後までお聞きくださいませ。この『《神滅覇王》まん』ですが、もしマナシロ様に公認アイテムとして使用許諾をいただけるのであれば、ロイヤリティとして売り上げの5%をお支払いいたします」
ピク――ッ!
「なに……? 5%の、ロイヤリティだと……!?」
「はい。当然、実売数ではなく出荷数をベースに算出いたしますので、販売価格×出荷数×0.05の金額を毎月末にお支払いいたします」
ピクッ、ピクピク――ッ!
「お止めなさいクリス! そのような話の進め方はセーヤ様に失礼ですわ。それではまるでセーヤ様がお金のためなら主義主張も曲げる、底の知れた拝金主義の唾棄すべき俗物のように聞こえてしまうではありませんか!」
サーシャが珍しく強い口調でクリスさんを注意した。
そして怒られたクリスさんはというと――、
「あっ! これはなんという失態でしょうか!」
――めっちゃわざとらしく言った。
本当にわざとらしく言った。
それはもう文化祭のクラス演劇の大根役者かよ、ってくらいにわざとらしく言いよった。
これ、どう考えても俺にロイヤリティの話を聞かせるために、怒られるのも織り込み済みで故意に言ったよね?
「本当になんという失態……! トラヴィス家の筆頭格メイドたるクリス・ビヤヌエヴァとしたことが、そのようなことにも気づかず……この罪万死に値します!」
「あ、いえ、なんというか、そこまででもないのでは……」
「マナシロ様におかれましても、先ほどの礼を失した物言い、大変申し訳ありませんでした。どうか平にご容赦いただきたく。また今の話はなにとぞ、寛容な御心で聞かなかったことに――」
「あ、いえ……別に謝られるようなことでもないですから……あの、ところでなんですけど」
「はい?」
キラーンと、クリスさんの目が光ったような気がした。
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