198 / 566
異世界転生 10日目

第176話 ちがいのわかる、ようじょ

しおりを挟む
「うにゅ、じゃあ、ぬいで」

「……は?」「……え?」
 突然の言葉に、俺とウヅキの声が見事にハモった。

 意味が解らず、2人して首をかしげてしまう。

「あの、ハヅキ? 今から絵を描くんだよな? なんで服を脱ぐ必要が?」
 思わず俺がそう聞いてしまったのも、無理のないことではなかろうか。

「おとこと、おんな、ちがい、きょうみある」
「いや、あの……」

「おとこと、おんな、ちがいを、かく」
「別に服は着ててもいいんじゃないか……?」

「ありのまま、かく」
「えっと……」

「ありのー、ままのー」
「おっけーハヅキ! それはマジでヤバいからやめよう! ディ〇ニーでジャ〇ラックとかダブル役満だから!」

「――むぐっ」
 慌ててハヅキの口をふさいだことで、俺たちは無事に事なきを得た。

「ふぅ、やれやれ危ないところだったぜ……」
 玄関口に請求書を持った奴らの刺客が来てからでは遅いからな。

 彼らの取り立ては苛烈を極めるという。
 例えここが異世界であっても決して安心はできないのだ……!

「あのね、ハヅキ。そういうのはもう少し大人になってからに――」

「う、だめ……?」
 優しく諭すウヅキに、しょんぼりした顔を見せるハヅキ。

「ダメというかですね、お風呂でもないのにセーヤさんの前で裸になるのは、その恥ずかしいですし……」

「だいじょーぶ!」
 ハヅキが今度はえっへんと胸を張って言った。

「せーぶつがくてき、ちがいの、おべんきょう。だから、はずかしく、ない!」
「ええっ!?」

「おねぇ、おべんきょう、とくい」
「うーん、それはちょっと違うような……。あの、セーヤさんからも言ってあげてくれませんか? って、セーヤさん?」

「……そうだよな、これは生物学的見地を獲得するためのお勉強なんだよな。そして大切な情操教育の一環でもあるわけだ」
「……セーヤさん?」

「であるならば! ハヅキの知的な好奇心を正しく導くために、俺たちはここで裸になるべきなのではないか!?」
 俺は超真剣な顔をして言った。

「あのセーヤさん急に何を――、ってもうセーヤさん全裸になってますよ!?」

「当然じゃないか、ウヅキ! これはハヅキの成長のために必要不可欠なことなんだ! だから恥ずかしがっちゃいけないんだよ! さぁ脱いで! 今すぐ脱いで! さぁさぁ! もし脱がないのなら――」

 キラリン――!
 俺(全裸)の左目が妖しく金色に輝き始めた。
 知覚系S級チート『龍眼』が発動したのだ!

 ウヅキの着衣を分析し、ウヅキを裸にくための最適な手段が明示される――!

「あ、あのセーヤさん……?」

「ウヅキ、俺の故郷に孟母三遷もうぼさんせんということわざがある」
「えっと……」

「孟子の母は、我が子の教育環境を整えるために三度も居住地を変えたんだ。つまり教育には周りの環境こそが大切だということに他ならない!」
「あの……」

「ハヅキの環境とはなにか? そう、それは俺たちだ! 俺とウヅキだ! だから俺はハヅキの教育のために鬼になる、孟母のような全裸の教育鬼にな――!」

 俺(全裸)は今、溢れんばかりの使命感に満ち満ちていた!
 そしてそんな俺の熱意がウヅキにも伝わったのだろう。

「わ、分かりました! 脱ぎます! 自分で脱ぎますから! ぞうさん丸出しで迫ってくるのはその、えっちでだめなんです!」

「よしよし、分かってくれたか。さすがはウヅキだな!」
「はぅぅぅ……」

 ウヅキの教育的熱意を見事に引き出した俺(全裸)は、さらに――、

「モデル系S級チート『ミロのヴィーナス』発動!」
 その美しい立ち姿はあまねく全ての人を魅了してやまない、それは黄金比による美の極致――!
 モデルというカテゴリーにおいて、絶対不敗の最強チートを惜しげもなく発動する。

「たかがお絵描き、されどお絵描きだ……!」

 俺(全裸)はハヅキの教育のためならば、常に全力を尽くすのだ!
 俺(全裸)が、俺(全裸)たちがお絵かきだ……!

 その後。
 下着姿ということで自分を納得させたウヅキとともに、しばらく二人でハヅキの絵のモデルをした俺(全裸)たちだったんだけど――、

「まなしー、ちんちん、おおきくしちゃ、めっ。かきなおし」
 途中でハヅキ画伯に怒られてしまった。

「はぅ、セーヤさんのぞうさん……、ぱおーんして、えっちです……」
「いやその、下着姿のウヅキを見たら必然的にね……?」

 ちなみにハヅキの絵の出来栄えはというと、子供がクレヨンで描いたとは思えないほどに上手だった。
 ありかなしかで言えば、まず間違いなく芸術系の才能がある。

 そんなハヅキの才能を正しく伸ばしてあげられて、

「うんうん、俺は鼻が高いよ」
 したり顔でうなずく俺(全裸)だった。
しおりを挟む
感想 289

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

初期スキルが便利すぎて異世界生活が楽しすぎる!

霜月雹花
ファンタジー
 神の悪戯により死んでしまった主人公は、別の神の手により3つの便利なスキルを貰い異世界に転生する事になった。転生し、普通の人生を歩む筈が、又しても神の悪戯によってトラブルが起こり目が覚めると異世界で10歳の〝家無し名無し〟の状態になっていた。転生を勧めてくれた神からの手紙に代償として、希少な力を受け取った。  神によって人生を狂わされた主人公は、異世界で便利なスキルを使って生きて行くそんな物語。 書籍8巻11月24日発売します。 漫画版2巻まで発売中。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

『スローライフどこ行った?!』追放された最強凡人は望まぬハーレムに困惑する?!

たらふくごん
ファンタジー
最強の凡人――追放され、転生した蘇我頼人。 新たな世界で、彼は『ライト・ガルデス』として再び生を受ける。 ※※※※※ 1億年の試練。 そして、神をもしのぐ力。 それでも俺の望みは――ただのスローライフだった。 すべての試練を終え、創世神にすら認められた俺。 だが、もはや生きることに飽きていた。 『違う選択肢もあるぞ?』 創世神の言葉に乗り気でなかった俺は、 その“策略”にまんまと引っかかる。 ――『神しか飲めぬ最高級のお茶』。 確かに神は嘘をついていない。 けれど、あの流れは勘違いするだろうがっ!! そして俺は、あまりにも非道な仕打ちの末、 神の娘ティアリーナが治める世界へと“追放転生”させられた。 記憶を失い、『ライト・ガルデス』として迎えた新しい日々。 それは、久しく感じたことのない“安心”と“愛”に満ちていた。 だが――5歳の洗礼の儀式を境に、運命は動き出す。 くどいようだが、俺の望みはスローライフ。 ……のはずだったのに。 呪いのような“女難の相”が炸裂し、 気づけば婚約者たちに囲まれる毎日。 どうしてこうなった!?

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

天才女薬学者 聖徳晴子の異世界転生

西洋司
ファンタジー
妙齢の薬学者 聖徳晴子(せいとく・はるこ)は、絶世の美貌の持ち主だ。 彼女は思考の並列化作業を得意とする、いわゆる天才。 精力的にフィールドワークをこなし、ついにエリクサーの開発間際というところで、放火で殺されてしまった。 晴子は、権力者達から、その地位を脅かす存在、「敵」と見做されてしまったのだ。 死後、晴子は天界で女神様からこう提案された。 「あなたは生前7人分の活躍をしましたので、異世界行きのチケットが7枚もあるんですよ。もしよろしければ、一度に使い切ってみては如何ですか?」 晴子はその提案を受け容れ、異世界へと旅立った。

ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者

哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。 何も成し遂げることなく35年…… ついに前世の年齢を超えた。 ※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。 ※この小説は他サイトにも投稿しています。

処理中です...