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異世界転生 12日目(後編)
第262話 乱用はやめましょう。必ず用量・用法を守って使用してください。
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「ねぇ――」
俺は耳打ちするかのような、しっとりと落ち着いた小さな声で、意図的に《神焉竜》にだけ届くようにささやきかけた。
しかしこれはただのささやき声ではない。
常時発動させている、カッコいい声になるラブコメ系A級チート『イケボ』。
それに加えて、脳をぞわぞわっとさせてふわふわ~ひゃっ!な気分にさせちゃう自律感覚絶頂反応系S級チート『ASMR』を発動させたのだ。
「ねぇ、《神焉竜》――」
それによって俺の声は、女の子の心をぐっと掴んで離さない、女の子を身体の奥からとろけさせて身もだえさせる――そんな甘い魔性の魅力を帯び始めたのだ……!
事実、たったそれだけ。
ほんの短いフレーズだけで、
「う、な、なんなのじゃ……?」
既に《神焉竜》は、明らかに普段とは異なるドギマギとした反応を示していた。
「もし君が空に連れて行ってくれるのなら、俺も戦うことができるんだけどな」
俺はさらに、たらし系S級チート『すけこまし』を発動させる。
これはちょっとした動作や言葉、雰囲気などもろもろ全ての要素があざとく女心をくすぐってキュンキュンさせちゃうという、犯罪すれすれのチートだった。
ただし。
非常に大きなデメリットとして、多用しすぎると深入りさせ過ぎた相手がヤンデレ化してしまう可能性があるという、危険に過ぎるチートでもあった。
『乱用はやめましょう。
必ず用量・用法を守って使用してください。
結果は全て自己責任となります。
刺されても撃たれても、異世界転生局は一切の責めを負いません』
なんてわざわざ但し書きがしてあるチートとか、正直怖すぎて普段使いには使えないよ……。
せっかくモテても、死んじゃったら意味ないじゃん!
なによりこれらのチートは、紳士の中の紳士たる俺、麻奈志漏誠也の人間性からはかけ離れているあまりにチャラいチート群であり、速攻で封印指定して使わないようにしていたんだけれど――、
「俺には、君の力が必要なんだ」
――それを今、一時的に解禁したのだ!
「う、うむ……」
そしてその効果は抜群だった!
《神焉竜》が見せた予想以上に初心な乙女のような反応(ドラゴンモードだけど)に手ごたえを感じながら、俺は愛し合う二人がベッドの中でそっとささやくように、しっとりと語り聞かせるように言葉を紡いでいく。
――いやその、もちろん「そういう行為」は未経験なので、あくまで想像なんだけどね?
「《神焉竜》――いや、アレキサンドライト。これは君にしかできないことなんだ。他の誰にもできないこと。君だけが俺を、助けることができるんだよ」
「ぬ、主様……? どうしたのじゃ? その……なにやらいつもと雰囲気が違うようなのじゃ……」
恥ずかしさと戸惑いが同居したような《神焉竜》に、
「そりゃあそうさ。だってこれは君だけへの特別なお願いなんだから。だったら相応の誠意を見せるってのは、これは当然のことじゃないかな?」
「う、うむ……で、あるか……なのじゃ……」
言いたいことを好き勝手言って、やりたいことを好き放題やる《神焉竜》が、こんな風にもごもご言いよどむ姿は凄く新鮮で、そして――、
うん、すごく怖いです!
だって今は巨大なドラゴンなんだもん!
でももし可愛いお姉さんモードの《神焉竜》だったら、この姿はめっちゃ可愛いはずだから!
だから俺は、《神焉竜》の可愛い心に語りかけるように、愛をこめて言葉を紡いでいく――。
「俺にいいところを見させてくれないかな? 俺もさ、そろそろみんなに――君にいい格好をしたいんだよ。君が俺を空に連れていってくれるのなら、俺は戦うことができる。でも君がいないと、俺はここでずっと見てるままなんだ。だからさ、俺を君の背中に乗せてはもらえないかな?」
「け、けれど、妾は一人でもあやつに勝てるのじゃ――主様の手助けはいらないのじゃ……」
「うん、そうなんだよ。まさにそれなんだ、俺が言いたいのは! 君はもう一人じゃないんだよ、今は――」
俺は耳打ちするかのような、しっとりと落ち着いた小さな声で、意図的に《神焉竜》にだけ届くようにささやきかけた。
しかしこれはただのささやき声ではない。
常時発動させている、カッコいい声になるラブコメ系A級チート『イケボ』。
それに加えて、脳をぞわぞわっとさせてふわふわ~ひゃっ!な気分にさせちゃう自律感覚絶頂反応系S級チート『ASMR』を発動させたのだ。
「ねぇ、《神焉竜》――」
それによって俺の声は、女の子の心をぐっと掴んで離さない、女の子を身体の奥からとろけさせて身もだえさせる――そんな甘い魔性の魅力を帯び始めたのだ……!
事実、たったそれだけ。
ほんの短いフレーズだけで、
「う、な、なんなのじゃ……?」
既に《神焉竜》は、明らかに普段とは異なるドギマギとした反応を示していた。
「もし君が空に連れて行ってくれるのなら、俺も戦うことができるんだけどな」
俺はさらに、たらし系S級チート『すけこまし』を発動させる。
これはちょっとした動作や言葉、雰囲気などもろもろ全ての要素があざとく女心をくすぐってキュンキュンさせちゃうという、犯罪すれすれのチートだった。
ただし。
非常に大きなデメリットとして、多用しすぎると深入りさせ過ぎた相手がヤンデレ化してしまう可能性があるという、危険に過ぎるチートでもあった。
『乱用はやめましょう。
必ず用量・用法を守って使用してください。
結果は全て自己責任となります。
刺されても撃たれても、異世界転生局は一切の責めを負いません』
なんてわざわざ但し書きがしてあるチートとか、正直怖すぎて普段使いには使えないよ……。
せっかくモテても、死んじゃったら意味ないじゃん!
なによりこれらのチートは、紳士の中の紳士たる俺、麻奈志漏誠也の人間性からはかけ離れているあまりにチャラいチート群であり、速攻で封印指定して使わないようにしていたんだけれど――、
「俺には、君の力が必要なんだ」
――それを今、一時的に解禁したのだ!
「う、うむ……」
そしてその効果は抜群だった!
《神焉竜》が見せた予想以上に初心な乙女のような反応(ドラゴンモードだけど)に手ごたえを感じながら、俺は愛し合う二人がベッドの中でそっとささやくように、しっとりと語り聞かせるように言葉を紡いでいく。
――いやその、もちろん「そういう行為」は未経験なので、あくまで想像なんだけどね?
「《神焉竜》――いや、アレキサンドライト。これは君にしかできないことなんだ。他の誰にもできないこと。君だけが俺を、助けることができるんだよ」
「ぬ、主様……? どうしたのじゃ? その……なにやらいつもと雰囲気が違うようなのじゃ……」
恥ずかしさと戸惑いが同居したような《神焉竜》に、
「そりゃあそうさ。だってこれは君だけへの特別なお願いなんだから。だったら相応の誠意を見せるってのは、これは当然のことじゃないかな?」
「う、うむ……で、あるか……なのじゃ……」
言いたいことを好き勝手言って、やりたいことを好き放題やる《神焉竜》が、こんな風にもごもご言いよどむ姿は凄く新鮮で、そして――、
うん、すごく怖いです!
だって今は巨大なドラゴンなんだもん!
でももし可愛いお姉さんモードの《神焉竜》だったら、この姿はめっちゃ可愛いはずだから!
だから俺は、《神焉竜》の可愛い心に語りかけるように、愛をこめて言葉を紡いでいく――。
「俺にいいところを見させてくれないかな? 俺もさ、そろそろみんなに――君にいい格好をしたいんだよ。君が俺を空に連れていってくれるのなら、俺は戦うことができる。でも君がいないと、俺はここでずっと見てるままなんだ。だからさ、俺を君の背中に乗せてはもらえないかな?」
「け、けれど、妾は一人でもあやつに勝てるのじゃ――主様の手助けはいらないのじゃ……」
「うん、そうなんだよ。まさにそれなんだ、俺が言いたいのは! 君はもう一人じゃないんだよ、今は――」
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