383 / 566
異世界転生 16日目
第358話 ティモテと夜のお話(楽しい)
しおりを挟む
「それで、私が絵本を持っているって話に戻るんですけれど――」
そこでティモテは一瞬だけ逡巡するような間を見せた。
あれ?
なにか言いにくいこと、なのだろうか?
「えっと、言いたくないことだったら、別に無理に言う必要はないんだよ?」
無理やり女の子の秘密を聞き出すとか、俺の目指しているモテモテハーレムはそういうのじゃないからね。
女の子の笑顔が常に咲き誇る最高の明るく楽しいモテモテハーレム、俺が目指すのはその究極至高の一点のみだ!
「あ、いえ。むしろマナシロさんが私の話なんか聞いて、迷惑じゃないかなって思いまして」
「そんなまさか。ティモテみたいな可愛い女の子とお話するのに、迷惑なんてことがあろうか、いやない(反語)!」
32年間ろくに女の子とお話したことすらなかった俺にとっては、ただ普通に女の子と話すことすら、どれほど感動的で心躍ることか……!
「というわけで、どんな話でもウェルカムだよ?」
「マナシロさんは本当に素敵な人ですね。でも、そうですね。あまり人には話したことはないんですが、せっかくだから聞いてもらおうかなって思います。なんだかマナシロさんにはなんでも話せてしまいそうな、そんな不思議な気がしちゃうので」
「よしきた!」
「教会で引っ越し作業をした時にも説明したかとは思うんですが、この絵本の中に出てくるマリアは完璧ではないんですよ」
「そういやそんなこと言ってたっけな。子供向けに、面白おかしく脚色してあるって」
「はい。そしてそんな完璧でないマリアは、私に少しだけ生きる勇気をくれるんです」
「勇気? なんの?」
「ダメな私が生きていてもいいんだっていう勇気です」
「いやいやいや。そりゃまぁ完璧な人間なんていないだろうけどさ? 少なくともティモテはダメってことはないんじゃないか? お祈りだっていつも熱心にしてるし、他人にはすごく優しいし」
むしろいい子過ぎて、悪い奴に騙されないか心配なくらいなんだけど。
「逆なんです。ダメだから、一生懸命に祈っているんです。自分の中の悪い心を鎮めるために、私は祈っているんです。祈りを捧げている間は、すべてを忘れていられますから――」
「うーん、ティモテの心が邪悪なんてことはないと思うけどなぁ……だいたいそんなこと言ったら、俺はどうなるんだ……」
「たくさんの人に慕われているマナシロさんの心は、マナシロさんが思っている以上に綺麗だと思いますよ」
「いや、さすがにそれはない」
それはもう断言できる。
そもそもが女の子にちやほやされたいがためだけに、チートも転生も何もかもを隠している俺だ。
しかも頭の中はいつも桃色のキャンバスに裸の女の子を描いているときたもんだ。
あ、はい……ほんとろくでもないですね、俺。
そんな俺がティモテよりも心が綺麗なんて、それこそティモテの自己評価が低すぎってな話だろう?
「ティモテはもっと自信を持ってもいいんじゃないか? 未来の教皇候補だって言われてるんだろ? 俺もティモテが指導者になったら、世の中はきっと良くなるって思うぞ?」
俺の率直な感想に、
「ありがとうございますマナシロさん。でも私は……私の心の中には、悪魔が住みついていますから――」
しかしティモテからは予想もしなかった答えが返ってきたのだった――。
そこでティモテは一瞬だけ逡巡するような間を見せた。
あれ?
なにか言いにくいこと、なのだろうか?
「えっと、言いたくないことだったら、別に無理に言う必要はないんだよ?」
無理やり女の子の秘密を聞き出すとか、俺の目指しているモテモテハーレムはそういうのじゃないからね。
女の子の笑顔が常に咲き誇る最高の明るく楽しいモテモテハーレム、俺が目指すのはその究極至高の一点のみだ!
「あ、いえ。むしろマナシロさんが私の話なんか聞いて、迷惑じゃないかなって思いまして」
「そんなまさか。ティモテみたいな可愛い女の子とお話するのに、迷惑なんてことがあろうか、いやない(反語)!」
32年間ろくに女の子とお話したことすらなかった俺にとっては、ただ普通に女の子と話すことすら、どれほど感動的で心躍ることか……!
「というわけで、どんな話でもウェルカムだよ?」
「マナシロさんは本当に素敵な人ですね。でも、そうですね。あまり人には話したことはないんですが、せっかくだから聞いてもらおうかなって思います。なんだかマナシロさんにはなんでも話せてしまいそうな、そんな不思議な気がしちゃうので」
「よしきた!」
「教会で引っ越し作業をした時にも説明したかとは思うんですが、この絵本の中に出てくるマリアは完璧ではないんですよ」
「そういやそんなこと言ってたっけな。子供向けに、面白おかしく脚色してあるって」
「はい。そしてそんな完璧でないマリアは、私に少しだけ生きる勇気をくれるんです」
「勇気? なんの?」
「ダメな私が生きていてもいいんだっていう勇気です」
「いやいやいや。そりゃまぁ完璧な人間なんていないだろうけどさ? 少なくともティモテはダメってことはないんじゃないか? お祈りだっていつも熱心にしてるし、他人にはすごく優しいし」
むしろいい子過ぎて、悪い奴に騙されないか心配なくらいなんだけど。
「逆なんです。ダメだから、一生懸命に祈っているんです。自分の中の悪い心を鎮めるために、私は祈っているんです。祈りを捧げている間は、すべてを忘れていられますから――」
「うーん、ティモテの心が邪悪なんてことはないと思うけどなぁ……だいたいそんなこと言ったら、俺はどうなるんだ……」
「たくさんの人に慕われているマナシロさんの心は、マナシロさんが思っている以上に綺麗だと思いますよ」
「いや、さすがにそれはない」
それはもう断言できる。
そもそもが女の子にちやほやされたいがためだけに、チートも転生も何もかもを隠している俺だ。
しかも頭の中はいつも桃色のキャンバスに裸の女の子を描いているときたもんだ。
あ、はい……ほんとろくでもないですね、俺。
そんな俺がティモテよりも心が綺麗なんて、それこそティモテの自己評価が低すぎってな話だろう?
「ティモテはもっと自信を持ってもいいんじゃないか? 未来の教皇候補だって言われてるんだろ? 俺もティモテが指導者になったら、世の中はきっと良くなるって思うぞ?」
俺の率直な感想に、
「ありがとうございますマナシロさん。でも私は……私の心の中には、悪魔が住みついていますから――」
しかしティモテからは予想もしなかった答えが返ってきたのだった――。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
1,938
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる