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第六部「チート学園」  異世界転生 ??日目

第429話 駆け引き

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 もちろんこれは俺が用意していたシナリオだった。

 衆目監視のスポーツチャンバラの舞台にケンセーを引きずり出し、剣技に特化した戦闘系最強S級チート『剣聖』のチート能力を見極めようという作戦である。

 体育館掃除が早くに終わって、空いた時間に何かしようってなるのは予想がついていたからな。
 こんなチャンスを逃す手はない。
 ここでシロクロはっきり勝負をつけようと思ったのだった。

「あ、私もスポーツチャンバラやりたいかも」
「セーヤくんがやりたいならわたしもやりたーい」
「はいはい、私も私もー!」
「私もせーやくんとスポチャンするー!」
「さんせー!」
「セーヤくんにブタれたい……」

 なんか最後に変なのが聞こえたけど、よし、計画通りに一気に流れを呼び込んだぞ――、

「えー、でもでも勝手に用具を使ったら怒られるでしょ? ボールくらいならいいだろうけどさ」
 ――だったんだけど、その流れを他でもないケンセーが止めにかかった。

「あ、そっかー」
「だよね……」
「勝手に使うのはまずいかぁ……」

 くっ、いい流れができかけたのを一瞬で止められてしまった。
 さすがケンセー、いきなりの不意打ち展開だったのに、さりげなく上手いこと言って逃げやがったな。

 でもこれでますます怪しくなったぞ。
 用具をちょっと使うくらい、そこまでして止めるほどのもんでもないはずだ。

 なによりケンセーが『剣聖』ならスポーツチャンバラは無双できる大得意分野、逃げる必要はないわけで。

 よし、どうにかしてもう一度流れを取り戻すんだ――!
 俺が決意を新たにしていると、

「ふっふーん、それなら抜かりなし。時間が余るのは分かってたから、ちゃんと用具の使用申請は出しておきました」

 そう言ってミロノヴィーナスちゃんは1枚のA4ペーパーを取り出すと、水戸の黄門様の印籠いんろうのごとく、ドヤッっとみんなに見せつけた。

 そこに書いてあったのは「体育館用具申請:スポーツチャンバラ一式」の一文!

「おおっ、さすがはミロノヴィーナスちゃん。手際の良さは文句なしにクラス一番だな!」

 まさに会心のアシスト。
 俺が頭をなでなでしてあげると、ミロノヴィーナスちゃんは嬉しそうに目を細めた。

「あ、一人だけずるーい!」
「わたしもわたしもー!」
「せーやくん撫でて撫でてー」

 それを見てわっと盛り上がるチートっ子たち。

「じゃあさ、優勝景品をセーヤくんのなでなでにしない?」
「えー? でもそれだとケンセーが絶対勝っちゃうじゃん。あの子、剣持ったら無敵でしょ?」

「じゃあ公平を期すために、私は不参加でいいよ――」
 ケンセーがまたもやうまくいこと言って逃げようとしたのを、俺はここが勝負どころと一気につぶしにかかった。

「勝ち負けじゃなく、一生懸命楽しくやった子みんなになでなでをするよ。それなら公平でしょ? どうかな?」

「「「「さんせー!」」」」

「あ……」
 ケンセーが一瞬「まずい」って顔をしたような気がした。
 多分それは俺の気のせいってわけじゃないはずだ。

 ふぅ……これで舞台は整った。
 今度こそ本当にケリをつけるとしようか。

「じゃあ決定だね。セーヤくんなでなで杯、2年S組スポーツチャンバラ大会スタート!」

 最後に、クラスを仕切るミロノヴィーナスちゃんがリーダーらしく議論を締めくくって。
 こうして。
 2年S組スポーツチャンバラ大会が――そしてケンセーの正体を暴くためのラストミッションが――幕を開けたのだった。
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