記憶を無くした魔法使いと、彼を愛する一人の弟子

てんつぶ

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記憶を無くすまで

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 その村に立ち寄ったのは、本当に偶然だったんだ。

 たまたまその近くで討伐補佐の仕事があって、たまたま隊列が立ち寄った。いつもならすぐに転移をして僕だけ家に帰るんだけど、たままた何となく一緒についていったんだ。
 そしてたまたま、彼を見つけた。

 過酷な環境に置かれているのに、何も言わずただ自分の仕事をしている彼を。
 聞けばまだ10歳だというのに、頼る相手もおらず村で飼われているも同然の彼を。

 黙々と働く彼の瞳は意志の強さを感じさせる力強いもので、それはとても綺麗で透明な湖のようだった。闇夜を映した色にまるで星空が散ったようなその瞳に、僕は一瞬で惹きこまれた。

 だから、これはもう運命と名付けて良いと思うんだ。
 ボロきれを纏った彼を、村から提示された倍の金額を払って連れて帰った。
 それが、僕の可愛い弟子のナナオ。


 名目上、弟子として引き取った。きみには魔法の才能があるから、と。でもそれは方便でしかない。確かに魔法使いになれる要素はあったけど、それが無くても僕はナナオを引き取っていた。



―――――――――



 弱冠10歳のナナオはとても素直で頑張り屋さんだ。そしてその小さい身体で、いつだって自分を殺して僕を守ろうとする。
 知ってる?僕は多分世界中の誰よりも強い魔法使いなんだよ。僕を恐れる人間の方が多い世界で、君だけが僕を守ろうとしてくれるなんて、くすぐったくて幸せすぎる。


 11歳になったナナオは少しずつ身体がしっかりしてきた。劣悪な環境からようやく人並みの生活になっただけでぐんぐん身体が成長してきた。枝木の様だった手足に肉が付き、それが筋肉になって、君は「これで師匠を守れるようになったかな」なんて健気な事を言う。これ以上僕を夢中にさせてどうするんだろう。
 街で見かけた真鍮のおもちゃを、そっとプレゼントをしたら目が飛び出そうなくらい驚いていた。とても可愛くて、その目玉を舐めたいなあなんて思ってしまったのは、秘密。


 12歳になると、身長も伸びて大分しっかりした身体つきになってきた。身体も鍛えて少しずつ筋肉が増えていた。
 そして……精通を迎えたことも知っているよ。ナナオは必死に隠そうとしていたけど、言おうか言うまいか悩んで、結局見なかったフリをした。なんでかって?だってそんなナナオも可愛いから。そしてうっかり性の話をしちゃったら……僕は自分を抑えられる自信がないからね。

 13歳。一緒のベッドで眠る事を拒否されたのがこの頃。毎日ナナオを抱きしめて寝ていたけれど、確かに思春期の彼にしたら、毎朝同じベッドで夢精をしていたら気まずいよね?知らんぷりして見守っていたけど仕方ない。
 少しだけ距離を置いたら、ナナオは僕の事を意識してくれるかな?

 14歳。声変わりもして、少しずつ大人の男になってきた。まだしなやかな少年らしさと大人のように感じるそれに、僕はぞくぞくとするものを感じていた。夜、彼の部屋に盗聴の魔法を少しかければ、くぐもった声で僕の名前を呼んでいた。
 それを知った時。僕がナナオの性の対象であると知った時、どれほど嬉しかったか君にわかるかな?君をひきとってから、なんど君に欲望を抱いたかわからない浅ましい僕だ。
 ナナオのそれを聴きながら、僕も一人で自慰をしていたよ。離れて一緒に達してたなんて、君は知らないだろうけど。


 15歳のナナオは、本当にカッコよく育っていた。一気に僕に追いついて追い越した身長。毎日鍛えて厚くなってきた胸板。魔法使いというよりもまるで傭兵のようだねって笑ったら「師匠を守りたいから」だって。なにそれ、これ以上僕に惚れさせてどうするつもりなんだろう?
 ナナオが18歳になったら彼の全てを貰いたいと、そう思って我慢しているのに。
 ねえ、僕たち両想いだって知ってるの?湯上りの僕を盗み見る視線を、僕は知っていてタオル一枚で出てくるのに。僕は大人だから我慢するけど、君は我慢しなくてもいいのに。


16歳になると、家の事は殆ど彼がしていた。いや、元々彼が全てしていたけれど、街の買い出しまで全て自分でやると言っていた。僕に危険があったら大変だって。
 おもしろいね、そんな風に思う人間はこの世界で君だけだよナナオ。誰もかれも僕の持つこの力を畏怖しているのに。
 そしてナナオが僕を人目にさらしたくない独占欲を持っている事も、僕は知っている。好きな男に囚われるなら、なんて素敵だろう。ねえ、もっと僕を捕まえてよ。
 その鉄壁の自制心を、どうにかして崩したい。
 でも、揺れる君をみるのも楽しくて、今日もその胸に抱きついて困らせてしまうんだ。

 17歳の彼は、魔法も大分上達してきた。転移できたら便利そうだと頑張っているけど、ごめんね。それ多分世界中で僕しか使えない大魔法なんだ。多分無理なんだけど、僕の開発した魔法を一生懸命練り上げようとするナナオが可愛くて、今日も応援するしかできない。
 駄目な師匠でごめんね。
 そしてナナオの夜ごと繰り返される自慰と、切なげに僕を呼ぶ声を盗聴する日々は続いてる。成人まであと1年。僕もたまらなくなって自慰を繰り返す。
 後孔を触ることを覚えたのも、この頃だ。


―――――――――

 盗聴の魔法は使い勝手がいい。遠視もいいけど見てしまったら多分我慢できないからやめている。
 そして一応、こんな駄目な師匠だけど、ナナオの盗聴はこの夜の時間だけって決めてるんだ。全てを監視してるなんて知られたら嫌われちゃいそうだしね。

 今夜もナナオの自慰を聴きながら、硬くなった陰茎を扱いていた。ぬちぬちと聞こえるその音は、僕のものなのかそれともナナオのものなのか。

『師匠……っ、は……っ、イイ……、師匠の中に、入れたい……」

 ナナオのそんな音声を拾ったのは初めてだ。
 明確に、彼は僕と性交したいと感じている。僕を抱きたいと、その昂ぶりを押し込みたいと思っている!

 僕はそれに酷く興奮して、近くあるだろうナナオとの初夜の為に、この身体を最高の状態に仕上げようと誓った。僕の見た目はそれなりに良い自覚はあるけれど……この奥は誰にも明け渡した事がない。がっかりされたらどうしよう?こんなものかなんて言われたら、僕も立ち直れる自信がない。

 漠然とナナオが僕を求めるのを待っているだけじゃ駄目なんだ。いつ、ナナオがその気になってもいいように僕も用意していこう。


――――――

 そうして、あらぬ所を潤す魔法を開発したり、胎内を綺麗にするための魔法の研究を進めるうちに、ナナオは18歳の成人を迎えた。
 正直、ナナオは師匠の贔屓目なしにカッコイイ男に育った。本人は隆々とした身体つきに劣等感を抱いているようだったけど、とんでもないよ。キリリとしたナナオの男しい顔に、その美しい筋肉はとても合っているし、その瞳の透明感は出会って8年経っても変わらない魅力があった。
 ナナオは僕を外に出したくないみたいだけど、僕こそそんな君を外に出したくないよ。街を歩けばきっと女の子に囲まれてしまうんだろう。
 そんな君を見たくないから、僕は絶対に一緒に街を歩かない。寂しいけど、大人しく家で留守番をする。

 でもついに18歳を迎えたナナオを前に、僕はどうしていいのか分からなくなった。
 「僕を抱いて」?「好きだ」?なんだか僕とナナオの間でそんな事を言うにはなんだか違う気がして言い出せなかった。家族、師弟、その枠を越えられる何かが僕にはなかったんだ。
 ナナオに抱いて欲しい、そう思う気持ちは日々溢れていたのに。


『は……っ、ししょう、ししょう……っ』

「ナナオ……ナナオ、すき……っ、あ……っ」

 今夜も、ナナオの自慰を聴きながら僕自身を慰める。
 少しずつ自分で拡げてきた後孔は、指二本を易々と飲み込む。開発した湿潤の魔法を施しているから、ぐちゅぐちゅと淫靡な音が部屋中に響いた。
 まるでナナオのための女になった気分で、僕はその指を一心不乱に出し入れした。入り口の狭いところから指をどんなに奥に入れようとしても、きっとナナオのソレはもっと奥まで入るんだろう。想像するだけで僕の淫孔はきゅっと指を締め付けた。かりかりと弱い部分を鉤にした指でひっかけば、あっという間に絶頂に押し上げられる。

「あっ、あっ、ナナオ……っ駄目、そこぉ……!」

『師匠……、っ、う……』

「イく、駄目、イっちゃう……!」

 ピンと伸ばしたつま先がシーツを蹴り上げ、ナナオの声を感じながら簡単に弾ける。
 ドロリと手を伝う自分の欲望に舌を伸ばせば、それがまるでナナオへの愛情のようにも感じた。

「ナナオの……飲みたいな」

 苦くてまずい精液だって、ナナオのものなら美味しく飲めそうだ。
 ひくひくとまだ収縮する後孔を布で拭くと、ざっと魔法をかけて身体を清めた。




 19歳のナナオに異変が起こった。毎晩していた自慰をしなくなったのだ。僕を熱っぽく見つめていた瞳も落ち着き始め、僕はそれに焦った。
 家族として既に一緒に暮らしている事に胡坐をかいてしまったのか?もう僕に魅力なんてないんだろうか?元々空っぽだった僕を、成長したナナオは見抜いてそして想う価値がないと気付いてしまったんだろうか?

 焦りと不安、そしてそれでも自分の気持ちを言い出せないこの臆病さ。僕はナナオと暮らすと共に、すっかり彼に恋をしていた。彼の見た目やその精神だけじゃなく、彼の内面そのものに惹かれ愛していたんだ。

 恋する一人の男としての臆病さがナナオに何も言い出せず、かといってナナオから何かあるわけでもなく、ただただ表面上穏やかな日々を送っていた。

 

「ナナオぉ……っ、ひ、う……っいれて……!入れてよぉ……っ!」

 夜、ぐちゅぐちゅと自分の淫孔を激しく出入りさせる指はとっくに3本に増えていた。ナナオが自慰をしなくなってからでも、そこで感じる快感を僕は忘れられなかった。
 ナナオの事を考えて、ナナオのソレを入れて欲しくて、明け渡す目途もたたないソコをひたすらに自分で慰めていた。

「ん、あ……っ、むねも……っ吸って、ナナオ……!」

 疼くようになったのは後ろだけじゃない。気まぐれに手をだした乳首まで、今ではすっかり性感帯へと変わった。濡らした指でもったいぶるように表面を撫でれば、それはまるでナナオの舌の様にも思えて僕は一際高い声を上げた。

「ひ、……っあ……!ナナオ……、ナナオ、イく、イくから……見てぇ……っ!」

 大きく足を開いて、誰もいないそこにナナオを思い描く。

(師匠、ひくひくしてますね、イきそうですか)

「ん、イく……っイっちゃう……っ」

(そんなに指を沢山いれて……俺の、入れなくてもよさそうですね?)

「ちが……っ欲しいの、ナナオの……が欲しいのぉ……!」

 きつく目を閉じた先にはナナオが男っぽい笑いを浮かべて僕を見ている。
 きっと息がかかるほどに近くで、僕のこの痴態に食い入るように見ているに違いない。
 ひょっとしたら、僕を見ながらその陰茎を扱いているかも。ああ、やめて、そんなことをするなら、ソレを僕に入れて欲しいのに。

「ん……っ、あっ、駄目、自分の指で……っイっちゃう、イっちゃうよナナオ……っ」

(どうぞ師匠。俺しっかり見てますから)

「んっ駄目、だめだめぇっあ、ああっ!!」

 ひくっひくっと震える腹部に、自分の生暖かい白濁が飛び散る。ぎゅうぎゅうに指を締め付け、はしたなく開いた足元を見れば、勿論ナナオの姿はないのに。

「はあ……僕なにやってるのかな」

 清潔の魔法を掛けて、冷静になった頭には虚しさが残る。
 この現状を打破したい。なのに勇気がない。





 少ししてナナオが20歳になった頃。
 ナナオを知らなかった頃のまだ若い僕なら、この状態を打破してくれるかもしれないと思い立った。

 過去の自分が、いっそナナオを誘惑してくれる事を祈って忘却の魔法をかけてみる。
 きっと10年前の僕なら、成長したナナオを容赦なく食べてくれるかもしれない。運が良ければ、身体を繋げる前に僕を好きだと言ってくれるかもしれない。

 今も昔も素敵なナナオに、僕ならきっと何度でも恋をするから。
 何も残さず何も気付かせず、ただ祈るような気持ちでそっと魔法を掛けるんだ。

 おやすみナナオ、起きたら僕は君を初めて見ると思うけど、きっと何度でも君に恋をするよ。そして出来たら、君もまた僕に恋をしてくれますように。

 静かに眠った最後の夜に、そう祈りを込めて瞳を閉じた。




 思いのほかすぐに戻った記憶に、僕が歓喜したこと、君はしらないだろ。
 震えながら君を誘った僕に、どうか気付かれませんように。
 嬉しくて嬉しくて流した涙は、快楽のためだと思って欲しい。
 今までも、そしてこれからも、この体はナナオ、君の為にあるんだよ。




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