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廃村で出会った少年②
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この世界にDomは存在しない。何度か紹介されて会った人間は、ただの加虐趣味の人間ばかりだった。違うのだ、ヨウスケも決して被虐趣味では無い。そしてDomとSubは趣味嗜好ではない。好き嫌いという概念から外れた一つの性別であり、食事や睡眠と同じくらい大切な本能なのだ。
「Dom……」
ヨウスケは、フラフラと少年の元に座り込む。命令はされていない。ただ腰が抜けたのだ。一生一人だと思っていた、そんな自分の元にDomが現われたのだから。
Domだから、Subだからといって恋愛になるとは思っていない。
だけどお互い解消しなければならない欲求を抱えていて、それを解消できる唯一と出会えたのだ。ヨウスケは胸のつかえが下りる気持ちだった。
「教えて……名前」
「エダール」
エダール、エダール、エダール。ヨウスケは少年の名前を口の中で反芻する。良い名だと思った。どうしてここにいるのかは聞くまい。例え自分への刺客であっても、最期にDomと出会えたのだからそれも良いだろう。
それくらい、ヨウスケのSubとしての性は飢えに乾き、求めていた。
「エダール。なあエダール。俺はヨウスケだ。なあ、お前の命令通りに静かにしただろ? ちゃんと……褒めてくれよ?」
プレイは、命令されて褒める所までがワンセットだ。従い、褒められ、そしてお互いが必要だと実感できる――これはヨウスケが知識として知っているDomとSubの在り方であり、ヨウスケ自身はまだ知らない未知の領域でもある。
期待で胸がざわめき、心が浮かれて跳ね上がりそうになる。
小さな唇は、ほんの僅かに開かれる。
「ヨウスケ、『えらいな』……?」
「っ、あ、あ」
身体にピリピリとした電流が走る。体中が多幸感に包まれ、このために生きてきたと思わせられる位に、ヨウスケは満たされた。世界が薔薇色に変わる――それくらい、魔法で抑えていたのが馬鹿らしくなるくらい嬉しくて、幸せで。
少年の指先が、ヨウスケの頬に触れた。銀色の瞳が、痛ましげに細められる。
「ヨウスケ、泣くな」
言われて、何を言っているのかと思った。
だがヨウスケは自身の目元を擦ると、確かにぬるい液体が零れていた。
「え……俺、え、嘘、なんで――」
涙は感情の代わりだ。この涙は一体、ヨウスケのどんな感情を代弁しているのか、本人にもまだ分かっていない。
少年の手のひらが、ヨウスケの頭を柔らかく撫でた。なんだかそれが無性に涙腺を刺激して、ヨウスケはこの世界に来て以来、初めて泣いたのだった。
「Dom……」
ヨウスケは、フラフラと少年の元に座り込む。命令はされていない。ただ腰が抜けたのだ。一生一人だと思っていた、そんな自分の元にDomが現われたのだから。
Domだから、Subだからといって恋愛になるとは思っていない。
だけどお互い解消しなければならない欲求を抱えていて、それを解消できる唯一と出会えたのだ。ヨウスケは胸のつかえが下りる気持ちだった。
「教えて……名前」
「エダール」
エダール、エダール、エダール。ヨウスケは少年の名前を口の中で反芻する。良い名だと思った。どうしてここにいるのかは聞くまい。例え自分への刺客であっても、最期にDomと出会えたのだからそれも良いだろう。
それくらい、ヨウスケのSubとしての性は飢えに乾き、求めていた。
「エダール。なあエダール。俺はヨウスケだ。なあ、お前の命令通りに静かにしただろ? ちゃんと……褒めてくれよ?」
プレイは、命令されて褒める所までがワンセットだ。従い、褒められ、そしてお互いが必要だと実感できる――これはヨウスケが知識として知っているDomとSubの在り方であり、ヨウスケ自身はまだ知らない未知の領域でもある。
期待で胸がざわめき、心が浮かれて跳ね上がりそうになる。
小さな唇は、ほんの僅かに開かれる。
「ヨウスケ、『えらいな』……?」
「っ、あ、あ」
身体にピリピリとした電流が走る。体中が多幸感に包まれ、このために生きてきたと思わせられる位に、ヨウスケは満たされた。世界が薔薇色に変わる――それくらい、魔法で抑えていたのが馬鹿らしくなるくらい嬉しくて、幸せで。
少年の指先が、ヨウスケの頬に触れた。銀色の瞳が、痛ましげに細められる。
「ヨウスケ、泣くな」
言われて、何を言っているのかと思った。
だがヨウスケは自身の目元を擦ると、確かにぬるい液体が零れていた。
「え……俺、え、嘘、なんで――」
涙は感情の代わりだ。この涙は一体、ヨウスケのどんな感情を代弁しているのか、本人にもまだ分かっていない。
少年の手のひらが、ヨウスケの頭を柔らかく撫でた。なんだかそれが無性に涙腺を刺激して、ヨウスケはこの世界に来て以来、初めて泣いたのだった。
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