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手紙
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手紙には詳細は記されていなかった。とにかく来いと書かれた内容に、ヨウスケは違和感を感じた。何故ならヴィーはむしろ常にこの森に来たがったからだ。城を出て瘴気を封印したあの旅は、例え重い使命を背負っていたとしても、王族の彼にとって得がたい体験だったのだろう。無邪気に笑う彼にとって、ヨウスケとの時間はしがらみから解放される息抜きだ。
いまだかつて一度も、こんな風に一方的に呼びつけた事はない。日本から召喚されたヨウスケにとって、あの城はあまり良い思い出が無い。
それはヨウスケも望んでいなかった事でもあるし、ヴィーもその願いを尊重していただけと言えばそうかもしれないが。
「……っ」
ブルリと身震いする。大魔法使いとそう呼ばれていたあの時ですら、蔑んだ人々の視線を忘れることができない。身分第一主義なあの王城で、いかにも平民だと分かるヨウスケを、貴族達は口で褒めながらも目は笑っていなかった。
もっと鈍感であれば、賞賛の言葉を額面通りに受け取れたかもしれないのに。
ヨウスケは首を振った。今はそんな事を考える時じゃない。そんなヨウスケの気持ちを知っているヴィーが、呼びつけてきたのだ。
「俺たちを城に呼ばなきゃいけない理由が、あるんだな」
同封されていた特大サイズの羊皮紙には、入念に刻まれた魔法陣があった。膨大な魔力を感じるそれは、あの双子が作ったものにちがいない。普通の紙では魔法の発動時に魔力に耐えらずに破れる、そのために用意されたこの羊皮紙は、色んな意味で貴重なものだ。
「作ったばかりなんだろーな。あいつらこんなん作らされて、ヘバってんだろうなあ」
ツンケンした態度の双子がぐったりしている場面を想像すると、苦笑いが浮かんでくる。
瘴気を封印した後のヨウスケの魔力量を考え、城に直接移動できる転移の魔法陣を渡してくれたのだろう。なんというタイミングなのか、理由は分からずとも魔力が回復した今のヨウスケなら、難なく城へと自力で転移できる。
「ま、でもせっかく作ってくれたしな。この魔力も、一時的なもんだったら困るし使わせてもーらお」
先ほど突然増えた魔力は、まだ理由が分かっていない。
だがエダールとのプレイがきっかけになったのは間違いないのだ。一体何が原因なのかは、これからじっくり調べていく必要がある。
「ヨウスケ、用意ができたが……これでいいのか」
「おう。手土産はそれでいいだろ。あいつ、このジャム好きだったし」
着飾る服があるわけでもなし、城に行く用意と言えば手土産くらいだ。それすら自家製の木イチゴのジャムで、国王に献上するにはいささか貧相ではあったが、この家に来たときにヴィーは必ず紅茶にこれを入れて飲んでいた。
少し酸味のあるそれは、この森でしか採れないと聞いている。
「うっし。じゃー行くか。こっち来い」
「ん」
差し伸べた手を、エダールが握る。その感触は、ふいにヨウスケの記憶を呼び起こした。あの日、エダールと出会った時を。繋いだ手のあたたかさを。
いまだかつて一度も、こんな風に一方的に呼びつけた事はない。日本から召喚されたヨウスケにとって、あの城はあまり良い思い出が無い。
それはヨウスケも望んでいなかった事でもあるし、ヴィーもその願いを尊重していただけと言えばそうかもしれないが。
「……っ」
ブルリと身震いする。大魔法使いとそう呼ばれていたあの時ですら、蔑んだ人々の視線を忘れることができない。身分第一主義なあの王城で、いかにも平民だと分かるヨウスケを、貴族達は口で褒めながらも目は笑っていなかった。
もっと鈍感であれば、賞賛の言葉を額面通りに受け取れたかもしれないのに。
ヨウスケは首を振った。今はそんな事を考える時じゃない。そんなヨウスケの気持ちを知っているヴィーが、呼びつけてきたのだ。
「俺たちを城に呼ばなきゃいけない理由が、あるんだな」
同封されていた特大サイズの羊皮紙には、入念に刻まれた魔法陣があった。膨大な魔力を感じるそれは、あの双子が作ったものにちがいない。普通の紙では魔法の発動時に魔力に耐えらずに破れる、そのために用意されたこの羊皮紙は、色んな意味で貴重なものだ。
「作ったばかりなんだろーな。あいつらこんなん作らされて、ヘバってんだろうなあ」
ツンケンした態度の双子がぐったりしている場面を想像すると、苦笑いが浮かんでくる。
瘴気を封印した後のヨウスケの魔力量を考え、城に直接移動できる転移の魔法陣を渡してくれたのだろう。なんというタイミングなのか、理由は分からずとも魔力が回復した今のヨウスケなら、難なく城へと自力で転移できる。
「ま、でもせっかく作ってくれたしな。この魔力も、一時的なもんだったら困るし使わせてもーらお」
先ほど突然増えた魔力は、まだ理由が分かっていない。
だがエダールとのプレイがきっかけになったのは間違いないのだ。一体何が原因なのかは、これからじっくり調べていく必要がある。
「ヨウスケ、用意ができたが……これでいいのか」
「おう。手土産はそれでいいだろ。あいつ、このジャム好きだったし」
着飾る服があるわけでもなし、城に行く用意と言えば手土産くらいだ。それすら自家製の木イチゴのジャムで、国王に献上するにはいささか貧相ではあったが、この家に来たときにヴィーは必ず紅茶にこれを入れて飲んでいた。
少し酸味のあるそれは、この森でしか採れないと聞いている。
「うっし。じゃー行くか。こっち来い」
「ん」
差し伸べた手を、エダールが握る。その感触は、ふいにヨウスケの記憶を呼び起こした。あの日、エダールと出会った時を。繋いだ手のあたたかさを。
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