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ポメラニアンになった兄 20230714
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受けくんは今日も兄をワシャワシャと可愛がる。正確にはポメラニアンになった兄を、だ。
ストレスがたまると兄はポメ化してしまう体質で、大変そうだけど、受けくんはいつもそれをこっそり「いいなぁ」と思ってた。
少なくともポメ化したら皆に可愛がってもらてるのだ。
自分だって兄みたいに甘やかされて可愛がられたい。受けくんはこっそりそんな願望を抱いていたけれど、いい歳をしてそれを言うのははばかられた。だから今日もポメ化した兄を撫でて、そしてポンと人間に戻る兄をただ見つめていた。
「こんな体質もうヤダ」という兄にまさか自分がそうなりたいなんて言えるはずもない。
こっそり自分で自分の頭を撫でても満たされるはずもなく、ある日こっそりと隣の幼なじみくんの家に忍び込んだ。
別に何かしようという訳じゃない。隣のおばさん曰く、いま寝ている幼なじみくんの手を借りて、頭を撫でて貰うだけだ。親にも恥ずかしくて言えないが、ただ手を借りるだけなのだから問題ない。そうっと忍び込んだ幼なじみくんの自室は、そういえば久しぶりだった。中学から少しづつ距離ができて、高校では同じところに進学したのにすっかりつるまなくなったからだ。
寝ている彼が目覚めないように、そっと腕を持ち上げ頭に乗せた。
「……なにしてんの」
途端に幼なじみくんの声が。わたわたと慌てる受けくん。なんで、どうして、と言いたかったが、それは向こうのセリフだろう。勝手に受けくんが忍び込んできているのだから。
言い訳を許さないようなその視線に、受けくんは洗いざらい話した。ナイショだよ、と釘を刺して。
兄がポメ化すること、人に戻るには甘やかす必要があること、それはいつも自分の役目で、羨ましくて仕方ないこと。自分で自分を撫でても満たされなくて幼なじみくんの手だけこっそり借りて撫られようとしたこと。
全部吐き出すと幼なじみくんは大きな大きなため息をついた。
そりゃ不愉快だよね、勝手に利用されかけたんだもんね、と反省する受けくん。
「誰がどんなつもりで距離置いたと」
幼なじみくんがそう小さな声で絞り出すような呻いた。
それから受けくんを抱きしめた。びっくりする受けくんの頭をワシャワシャと撫でる。大きな手は意外にも優しくて、髪の毛を梳くようにして撫でられるのは心地よい。
次第にトロンとする受けくんを幼なじみくんは改めて抱きしめる。
「いつでも撫でるし、甘やかしてやるよ」
その代わり俺と付き合え。幼なじみくんは受けくんにそう言った。
なんと彼は昔から受けくんの事が好きだったらしい。だけど告白も出来ずに距離を置くしか無かったのだと。
「諦められない。やっぱ好きだ。俺ならお前を誰より可愛がってやる」
次々飛び出す甘い言葉に、受けくんの方が顔を赤くする。
とりあえずお試しで付き合う事になり、彼氏となった幼なじみくんはそれはもうトロトロに甘やかしてくれた。次第に心を通わせて、受けくんも本気の恋になるんだけど、それを知ったポメ兄(ブラコン)が、キャンキャンと幼なじみくんに噛み付くのはいたし方ないことなのかもしれない。
ポメにはなれない受けくんだけど、ポメよりも可愛がられる日々にふにゃっと笑みを崩すのだった。
終
ストレスがたまると兄はポメ化してしまう体質で、大変そうだけど、受けくんはいつもそれをこっそり「いいなぁ」と思ってた。
少なくともポメ化したら皆に可愛がってもらてるのだ。
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「こんな体質もうヤダ」という兄にまさか自分がそうなりたいなんて言えるはずもない。
こっそり自分で自分の頭を撫でても満たされるはずもなく、ある日こっそりと隣の幼なじみくんの家に忍び込んだ。
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寝ている彼が目覚めないように、そっと腕を持ち上げ頭に乗せた。
「……なにしてんの」
途端に幼なじみくんの声が。わたわたと慌てる受けくん。なんで、どうして、と言いたかったが、それは向こうのセリフだろう。勝手に受けくんが忍び込んできているのだから。
言い訳を許さないようなその視線に、受けくんは洗いざらい話した。ナイショだよ、と釘を刺して。
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全部吐き出すと幼なじみくんは大きな大きなため息をついた。
そりゃ不愉快だよね、勝手に利用されかけたんだもんね、と反省する受けくん。
「誰がどんなつもりで距離置いたと」
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それから受けくんを抱きしめた。びっくりする受けくんの頭をワシャワシャと撫でる。大きな手は意外にも優しくて、髪の毛を梳くようにして撫でられるのは心地よい。
次第にトロンとする受けくんを幼なじみくんは改めて抱きしめる。
「いつでも撫でるし、甘やかしてやるよ」
その代わり俺と付き合え。幼なじみくんは受けくんにそう言った。
なんと彼は昔から受けくんの事が好きだったらしい。だけど告白も出来ずに距離を置くしか無かったのだと。
「諦められない。やっぱ好きだ。俺ならお前を誰より可愛がってやる」
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ポメにはなれない受けくんだけど、ポメよりも可愛がられる日々にふにゃっと笑みを崩すのだった。
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