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私の初恋。
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「ヒーローの登場だ!」
私はこの台詞を聞くと、どうしようもなく胸が高鳴って、これ以上ないぐらい安心する。
私がまだ幼稚園に通っていた頃、親も心配するぐらい引っ込み思案で周りに馴染めなくて、いつも部屋の隅で体育座りをして縮こまっていた。そのせいか、周りの女の子は私に近づこうとしないし、同じクラスの男の子もよく、おかっぱ頭とか言ってバカにしてきた。
そんな中、唯一私に話しかけてきてくれたのが、まだちっちゃくてかわいかった私の幼馴染、一ノ瀬 柊(しゅう)。
みんなが休み時間に家族ごっことか、ヒーローごっことかしている時、よく柊は「ヒーロー参上!」とか言って私を混ぜてくれた。
そんな些細なこと。だけど、私にとってそれは、高校生になった今でも忘れられない、大切な初恋の思い出。
----- 高校一年生の春。
今日は高校の入学式。
私は中学生の頃から真面目に勉強を頑張ってきたおかげで、県内トップの高校に入学することができた。そんな私に感化されたのか、地頭が良いわけではない柊も、中学三年生の冬休みから急に塾に通い始めて、同じ高校を共に目指した。
正直、私はそんなにこの高校に興味はなかった。けど、柊もここ目指すと聞いてから、モチベーションが格段に上がった。だって、好きな人と同じ学校に通えるなんて、夢みたいだもん。
私の家庭は転勤族で、父は海外赴任も多かったから、中学校は柊とは別の学校だった。校則が厳しくて、お洒落もメイクもできなかった。柊もいないからそんなやる気も起きないけど。
でも、高校は一緒。しかも、校則もゆるくて、お洒落もし放題。こんなチャンス、めったにない。
先生に真面目と思われたくてかけてた伊達メガネも、膝下までのスカート丈も、もうおさらばだ。
「ひまり!そろそろ家出ないと時間なくなるわよ!」
お母さんの声が一階から聞こえてくる。
家を出る前に、鏡の前で身だしなみをチェックする。今日はヘアアレンジも頑張っちゃう。編み込みをして、メイクもバッチリ。
「よし!バッチリ!行ってきまーす!」
入学式の時間が刻々と迫っていて、あわてて家を出る。
扉を開けると、ちょうど隣の家のドアも開いた。
「よっ!」
私の大好きな声が聞こえて、自然と口角がゆるんでしまう。
「なんだ、柊ちゃんと起きれたんだ。」
私はにやけてしまうのを隠すように、茶化す。
「おいおい、もう高校生だぞ。流石にひまりに起こしてもらうわけには行かないからな(笑)」
そう言って柊は爽やかに笑う。
私と柊は、10年来のお隣さん。朝一番にこの笑顔を独り占めできるのも、幼馴染の特権ってやつ。
中学の頃は部活で時間が合わなかったけど、これからは毎朝顔を合わせて、毎朝一緒に登校できる。なんて幸せ。
幸せを噛み締めるように、青空を見上げて、大きくなった柊の背中を追いかける。
「ちょっと待って、置いてかないでよ~!」
「チャンスの神様は前髪しかないんだぞ、捕まえてみろ!」
訳のわからないことを言う柊に、私は苦笑しながらも、柊のもとへと駆けていく。
そんな幸せに溢れた、春の訪れだった。
私はこの台詞を聞くと、どうしようもなく胸が高鳴って、これ以上ないぐらい安心する。
私がまだ幼稚園に通っていた頃、親も心配するぐらい引っ込み思案で周りに馴染めなくて、いつも部屋の隅で体育座りをして縮こまっていた。そのせいか、周りの女の子は私に近づこうとしないし、同じクラスの男の子もよく、おかっぱ頭とか言ってバカにしてきた。
そんな中、唯一私に話しかけてきてくれたのが、まだちっちゃくてかわいかった私の幼馴染、一ノ瀬 柊(しゅう)。
みんなが休み時間に家族ごっことか、ヒーローごっことかしている時、よく柊は「ヒーロー参上!」とか言って私を混ぜてくれた。
そんな些細なこと。だけど、私にとってそれは、高校生になった今でも忘れられない、大切な初恋の思い出。
----- 高校一年生の春。
今日は高校の入学式。
私は中学生の頃から真面目に勉強を頑張ってきたおかげで、県内トップの高校に入学することができた。そんな私に感化されたのか、地頭が良いわけではない柊も、中学三年生の冬休みから急に塾に通い始めて、同じ高校を共に目指した。
正直、私はそんなにこの高校に興味はなかった。けど、柊もここ目指すと聞いてから、モチベーションが格段に上がった。だって、好きな人と同じ学校に通えるなんて、夢みたいだもん。
私の家庭は転勤族で、父は海外赴任も多かったから、中学校は柊とは別の学校だった。校則が厳しくて、お洒落もメイクもできなかった。柊もいないからそんなやる気も起きないけど。
でも、高校は一緒。しかも、校則もゆるくて、お洒落もし放題。こんなチャンス、めったにない。
先生に真面目と思われたくてかけてた伊達メガネも、膝下までのスカート丈も、もうおさらばだ。
「ひまり!そろそろ家出ないと時間なくなるわよ!」
お母さんの声が一階から聞こえてくる。
家を出る前に、鏡の前で身だしなみをチェックする。今日はヘアアレンジも頑張っちゃう。編み込みをして、メイクもバッチリ。
「よし!バッチリ!行ってきまーす!」
入学式の時間が刻々と迫っていて、あわてて家を出る。
扉を開けると、ちょうど隣の家のドアも開いた。
「よっ!」
私の大好きな声が聞こえて、自然と口角がゆるんでしまう。
「なんだ、柊ちゃんと起きれたんだ。」
私はにやけてしまうのを隠すように、茶化す。
「おいおい、もう高校生だぞ。流石にひまりに起こしてもらうわけには行かないからな(笑)」
そう言って柊は爽やかに笑う。
私と柊は、10年来のお隣さん。朝一番にこの笑顔を独り占めできるのも、幼馴染の特権ってやつ。
中学の頃は部活で時間が合わなかったけど、これからは毎朝顔を合わせて、毎朝一緒に登校できる。なんて幸せ。
幸せを噛み締めるように、青空を見上げて、大きくなった柊の背中を追いかける。
「ちょっと待って、置いてかないでよ~!」
「チャンスの神様は前髪しかないんだぞ、捕まえてみろ!」
訳のわからないことを言う柊に、私は苦笑しながらも、柊のもとへと駆けていく。
そんな幸せに溢れた、春の訪れだった。
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