喫茶養生鬼

魅堂量哉

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移動前夜

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 美福市への引っ越し前夜。
「何で、予定日より一日早く退去しちゃったんですか?」
「最後の夜は、ここで優夜ゆうやさんと過ごしたかったんだも~ん」
 小夜さやさんと俺は、吸血鬼の警察官専用の寮となっているマンションの一階にある食堂で過ごしていた。
「ここ、二十四時間営業だし」
「一応、一般開放もしてるんですよね」
「お茶しか注文しない吸血鬼わたし達には、実質喫茶店だけどね~」
 そう言うと小夜さんは、ティーカップに口をつけた。

「…そういえば」
 俺は、あの日のことを思い出していた。
「小夜さんに初めて直接相談したのが、この席でしたよね」
「優夜さんが、セイシュン・テレホン・コーナーに電話してくれたのがきっかけだったんだよね~」
「けいしちょう先生、降臨!!」
「ちなみに『セイ』は青春の『青』と交尾の『性』、あと白濁液の『精』をかけてるから~」
「聞きたくなかった命名理由!」

「ごめんね、優夜さん」
 小夜さんが、急にしおらしくなった。
「…私が、優夜さんのお稲荷様に一目惚れしたために」
「顔じゃなかった上に、下半身だけ『様』づけ!」
「まあ、吸血鬼わたし達が気に入った人間を連れ込むのは日常茶飯事にちじょうさはんじだから」
「寮のラブホ化問題!」
「プレイ内容は、ほぼピンサロだけどね~」
「お陰様で吹っ切れましたけど」

「えっ!!」
 スマホの画面を眺めていた小夜さんが、突然驚いた。
「優夜さんの元カノさん、ついに復帰するんだ~」
「所属グループがデビュー直後、いきなり体調不良で休養してたんですよね~」
「…確か別れる直前に、交尾しまくったんだよね」
「ええ、NSのNNで」
「まさかね~」
「ですよね~」
「「…う~む」」
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