元ゲームオタク転生悪役令嬢は推しを幸せにするためにあらゆる死亡フラグをチート機能で叩きおります!

蓮斗♀(活動停止/再開の予定なし)

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2節[第一章]

第四十三話『どうして…』

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飲み物を取り終えエイム様の元へ向かう。

私の飲みたい飲み物だけなぜかなくなってたから、補充するようにスタッフさんに言ってエイム様の分だけ取ってきた。

座っていた場所へ行くと、エイム様は外を眺めながら少し微笑んでいた。

何かいい事でもあったのかな?

「何かいい事でもあったのですか?」

「あぁ、でも君には内緒だ。」

エイム様は私の方に振り返りながら人差し指を口元へ当てた。その時のエイム様の顔はいたずらっ子な子供のように無邪気だった。

「ところでレイン、君の分の飲み物はどうしたんだ?」

「あっ!ちょうどなくなっていたみたいで、スタッフの方に補充をお願いしました。」

「そうか…。」

少し考える素振りを見せてエイム様は私からのドリンクを受け取る。

「よく私の好きなドリンクを覚えていたな。君と来たのは前のパーティー以来だろう?」

そりゃ推しの好きな飲み物くらい覚えてますよ!エイム様は甘党だから紅茶にもよくたっぷり砂糖を入れるんだけど、その度に入れすぎだってフィブア様に怒られるシーンはプレイヤー内では有名だし!

何より転生前のレインがエイム様について詳しく調べてたからね。好きな食べ物からよく行くお店まで、全部調べてあった。

好きすぎるのは困りものだけど、こういう形で知識を使えばエイム様に喜んで貰える。

「エイム様のことですから、当然です。それより私の好きな飲み物を覚えてくださっているエイム様に私は驚いてますよ?」

「そりゃ、す…婚約者の好きな飲み物くらい覚えて当然だろ?」

“す”??

「エイム様、今なんて言いかけたのですか?」

「えっ?」

今絶対“す”って言ったよね?“す”って言って止まったってことは、何か言いかけたって事だよね?エイム様が何を言いかけたのか凄く気になる!

「“す”から始まる何かを言いかけましたよね?」

「いやそんな事は…」

「なんて言おうとしたのですか?」

「なっなんでもない!」

「嘘!言ってくれないと離しませんからね!」

私はエイム様を逃がさないように両手をしっかりと握り顔を近づける。

「ちょっちょっとレイン!ちかっ近い///!!」

「さぁ!素直に白状してください!!」

どもりながら決心したように顔を上げたエイム様の顔は少し紅く、その目はまっすぐ私を見つめていた。思わずドキッとして私まで顔が紅くなる。

「レイン、言いかけていた言葉なんだが…」

「はっはい///」

「私は、君のことを…」

この一瞬の時間が永遠に感じるほど、私はエイム様から目が離せなくなっていた。ドキドキが止まらない…心臓が張り裂けそう!

思わずエイム様を見ないように目をつぶる。自分の鼓動だけが聞こえ緊張していたその時、

「お取り込み中すみません。レイン様、お飲み物をお持ちしました。」

スタッフのひとりが飲み物を持って来た。

「あっありがとう…。」

スタッフがくれた飲み物を受け取ると、スタッフは一礼して会場の中へと消えていった。

「レイン、持ってくるように頼んでいたのか?」

用意するように頼んではいたけど、持ってくるようには言ってなかったような…。まっいっか!

「持ってくるようには言ってなかったんですが、多分気にして持ってきてくれたんだと思います!」

かなりヤバめの状況だったから喉カラッカラ!飲み物くれたスタッフに感謝しかない!

私の大好きな飲み物、それは「ブルームーンライト」!

綺麗な青色の飲み物で、海を写したみたいに綺麗なんだ~。

転生前の世界でもあって、「ブルームーン」っていうアルコール度数高めのカクテルをアルコール無しでジュースに改良したやつの商品名だったの。

普通なら飲めないんだけど、あるイベントをこなすと好きな飲み物ひとつゲーム内に持ち込めるの!その時に持ち込んだのが「ブルームーンライト」ってわけ!

スッキリとした甘さと程よい酸味がクセになる私が出会った中で最高の飲み物!

てわけで、いただきまーす!

「美味しそうだな。」

「あっ…」

飲もうと近づけていたコップを横からエイム様が取ってきた。そのまま一気に飲んでしまいこちらを向いて美味しそうに笑った。

「もう!人のを取らないでください!いるなら同じやつ取ってきますから!」

「いや君のやつが美味しく見えてな?つい…」

「まったく…たまにそういうヤンチャなところがありますよねエイム様って…」

下から耳を下げた子犬みたいな顔されたら許すしかないじゃん…。

「エイム様、私また取ってきますから少し待って…」

「ゴホッ…」

「!?」

その時、私の頭は真っ白になった。

音のした方を見るとエイム様は真っ青な顔色で、口元からは生暖かい赤い液体が零れている。

かろうじて名前を呼ぶ。

「エイム様…?」

「あぁ、やはりか。君が無事で、よかっ…た…」

ゆっくりゆっくり地面へと力なく倒れていくエイム様を私は咄嗟に支えた。

状況がまだ理解出来ていない。一体何が起きた?なぜエイム様が?今までなんともなかったのに…。

目の前で倒れているエイム様の姿が滲んで認識できない。視界がぼやけている。

あぁ私、泣いてるんだ。

「エイム!レイン!!」

フィブア様?

「エイム!?レイン、何があったんや!?」

あっ…そうだ。

エイム様が血を吐いて…。

倒れて。

エイム様が危ない。

助けなきゃ…。

死なせちゃいけない!!

私に渡された飲み物でエイム様が倒れた。

狙いは私だったはず…。

私のせいでエイム様を死なせるなんて、あっちゃいけないんだ…。

彼はこれから幸せになる為に生きなきゃいけないんだから…。

私のせいで…

私の…

せいで…

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