【完結】それは、覚めて欲しくない夢だった

ぴえろん

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2 タイムスリップ

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目が覚めた時、私はベッドの上だった。

自殺が失敗したかと焦ったが、よく見るとベッドも部屋も病院のものでは無い。

自殺が失敗して、病院に運ばれた、とかではなさそうだ。

花柄のカーテンに、好きなキャラクターが描かれた布団。

窓からは優しい光が差し込んでいて、なんだか懐かしい気持ちに襲われた。

なんだろう、なんだか見覚えのあるような光景だ。

その時、部屋のドアが開いてよく知る顔の人物が遠慮無しに入ってきた。


「咲良!起きなさい、今日から新学期でしょう?」


「…お母さん?!」


部屋に入ってきたのは、母だった。
でも、なんだか私の記憶より随分若くなっているような。

いや、それよりなぜ母がこんなところにいるのだろう。
私はいま実家を出て一人暮らししているし、そもそも母は今、認知症で精神科に入院している。


それに、新学期??


「新学期って、そんな高校生みたいな。」

「何馬鹿なこと言ってるの。高校生でしょ、あんた。」


その言葉に、思わず身体が固まった。

「…高校生?わたしが?」

そんなはずない。高校なんて卒業してもう10年以上経っている。


「いつまで寝ぼけてるの、遅刻するわよ。」




母はそう言って不機嫌そうに部屋から出て行った。

理解が追いつかない。

咄嗟にスマホを探すと、ベッドの端で充電器に繋がれていた。

夢を見ているのだろうか。

そのスマホは、私が高校生の頃に使っていたスマホだった。

分厚くて小さい、初期の頃のスマートフォンだ。
 

震える手でスマホを触る。


画面に表示されていたのは、13年前の4月7日だった。


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