【完結】悪役令嬢に仕立てあげられそうですが、私は絵を描きたいだけなんです。

ぴえろん

文字の大きさ
52 / 62

ヒロインの最期1

しおりを挟む
まだ、城で魔物が暴れ出してからはそこまで時間は経っていないはずなのに。

ローラの婚約パーティーでの華やかさが、何十年も前のことのように感じてしまうほど、城は無惨に破壊されていた。

崩れた瓦礫に歩みを阻まれながらも、なんとか入り口にたどり着いた私たちは、辺りを警戒しながら見渡した。


「とりあえず、近くに魔物はいないわね。」

私がそう言うと、レインが頷いた。


「ああ、たぶん城の中にいるんだろうね。ローラはきっと、君が来ることを分かっているんだ。」


レインの言葉に、心臓が音を立てて反応した。


もしそうなら、怖い。

ローラが私をどれだけ恨んでいるのか、今なら手に取るように分かるから。


だけど、行かなきゃ。


目の前の大きな扉は、すっかり外れてしまっていて僅かに入れそうな隙間から潜り込むしかない。

意を決して、城の中に足を踏み入れた。


城の中は、不気味なほど静かだった。

魔物がいそうな気配はするが、姿はどこにも見えなかった。


気付かれても面倒なので、音を立てないように進んでいく。


一体、ローラはどこにいるのだろうか。


まず最初に向かったのは、2人きりで話をしたローラの部屋だった。

レインが扉を蹴破ったので、すっかり開け放たれてしまっている扉から部屋を覗いたが、誰もいない。


「ローラはここにはいないわ。」


レインとテオにそう声を掛ける。

残念なことに、この場所以外に見当が付く部屋は思い浮かばない。

「手分けして探そう。僕とユリア、妖精たちと殿下の二手に別れるんだ。」

レインが名案のように人差し指を立てながら言った。


「それなら、私とテオが一緒の方がいいかもしれない・・・。」


ローラの目的は、私とアレクのはず。
だから私たちが2人一緒にいたら、ローラはすぐにでも姿を現すような予感がした。

しかし、レインがそれを断固拒否した。



「だめ、絶対にダメだ。ユリアは絶対に僕と共に行動しよう。」

今までレインの言葉をほぼ無視して行動し、結局レインに助けられてきている私は、さすがに折れるしかなかった。


レインと私、妖精たちとテオの二手に別れて城の中を歩いていく。

誰かに見られているような視線を感じるたびに周囲を見るが、誰一人として見当たらない。

神経が高ぶっているせいかもしれない。しかし、警戒心をほどくわけにはいかない。

なぜなら、魔物も生存者の影も見当たらないが、代わりに招待客の死体なら転がっているからだ。


死体を見るたびに、罪悪感がこみ上げてくる。


本当にごめんなさい・・・・。私のせいで。


レインがそんな私に気が付いたのか、手を握ってくれた。


「また自分を責めているの?ユリアの悪いところだよ。」



レインの言葉に、私は顔を俯かせるしかなかった。

レインだって、前世で私が何をしたか知れば、こんな悠長な言葉は出てこないはずだ。
むしろ、軽蔑されるかもしれない。


どんなに綺麗に考えようとしても、ポジティブに考えようとしても。

所詮私は、人の男を寝取った女。


レインと城の至る場所にある部屋を覗くが、ローラどころか魔物すら見当たらない。


一体、どこにいるっていうのよ・・・。

そう思った時、唯一探していない場所がまだある事に気が付いた。


この城の最上階にある、王の玉座。

それは昔、私とアレクが座っていた部屋。

そして、それは。

「レイン・・・。私、ローラのいる部屋が分かったかもしれない。」


本来なら彼女の座る部屋だった場所だから。


長い階段を登り、最上階へ着いた時、そこにはテオと妖精たちも居た。

どうやらアレクも、同じ考えに至ったのかもしれない。


アレクを見て、お互いうなずき合う。

たぶん、間違いない。


ローラは、この部屋にいる。





しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

ヒロインしか愛さないはずの公爵様が、なぜか悪女の私を手放さない

魚谷
恋愛
伯爵令嬢イザベラは多くの男性と浮名を流す悪女。 そんな彼女に公爵家当主のジークベルトとの縁談が持ち上がった。 ジークベルトと対面した瞬間、前世の記憶がよみがえり、この世界が乙女ゲームであることを自覚する。 イザベラは、主要攻略キャラのジークベルトの裏の顔を知ってしまったがために、冒頭で殺されてしまうモブキャラ。 ゲーム知識を頼りに、どうにか冒頭死を回避したイザベラは最弱魔法と言われる付与魔法と前世の知識を頼りに便利グッズを発明し、離婚にそなえて資金を確保する。 いよいよジークベルトが、乙女ゲームのヒロインと出会う。 離婚を切り出されることを待っていたイザベラだったが、ジークベルトは平然としていて。 「どうして俺がお前以外の女を愛さなければならないんだ?」 予想外の溺愛が始まってしまう! (世界の平和のためにも)ヒロインに惚れてください、公爵様!!

完璧(変態)王子は悪役(天然)令嬢を今日も愛でたい

咲桜りおな
恋愛
 オルプルート王国第一王子アルスト殿下の婚約者である公爵令嬢のティアナ・ローゼンは、自分の事を何故か初対面から溺愛してくる殿下が苦手。 見た目は完璧な美少年王子様なのに匂いをクンカクンカ嗅がれたり、ティアナの使用済み食器を欲しがったりと何だか変態ちっく!  殿下を好きだというピンク髪の男爵令嬢から恋のキューピッド役を頼まれてしまい、自分も殿下をお慕いしていたと気付くが時既に遅し。不本意ながらも婚約破棄を目指す事となってしまう。 ※糖度甘め。イチャコラしております。  第一章は完結しております。只今第二章を更新中。 本作のスピンオフ作品「モブ令嬢はシスコン騎士様にロックオンされたようです~妹が悪役令嬢なんて困ります~」も公開しています。宜しければご一緒にどうぞ。 本作とスピンオフ作品の番外編集も別にUPしてます。 「小説家になろう」でも公開しています。

転生しましたが悪役令嬢な気がするんですけど⁉︎

水月華
恋愛
ヘンリエッタ・スタンホープは8歳の時に前世の記憶を思い出す。最初は混乱したが、じきに貴族生活に順応し始める。・・・が、ある時気づく。 もしかして‘’私‘’って悪役令嬢ポジションでは?整った容姿。申し分ない身分。・・・だけなら疑わなかったが、ある時ふと言われたのである。「昔のヘンリエッタは我儘だったのにこんなに立派になって」と。 振り返れば記憶が戻る前は嫌いな食べ物が出ると癇癪を起こし、着たいドレスがないと癇癪を起こし…。私めっちゃ性格悪かった!! え?記憶戻らなかったらそのままだった=悪役令嬢!?いやいや確かに前世では転生して悪役令嬢とか流行ってたけどまさか自分が!? でもヘンリエッタ・スタンホープなんて知らないし、私どうすればいいのー!? と、とにかく攻略対象者候補たちには必要以上に近づかない様にしよう! 前世の記憶のせいで恋愛なんて面倒くさいし、政略結婚じゃないなら出来れば避けたい! だからこっちに熱い眼差しを送らないで! 答えられないんです! これは悪役令嬢(?)の侯爵令嬢があるかもしれない破滅フラグを手探りで回避しようとするお話。 または前世の記憶から臆病になっている彼女が再び大切な人を見つけるお話。 小説家になろうでも投稿してます。 こちらは全話投稿してますので、先を読みたいと思ってくださればそちらからもよろしくお願いします。

転生賢妻は最高のスパダリ辺境伯の愛を独占し、やがて王国を救う〜現代知識で悪女と王都の陰謀を打ち砕く溺愛新婚記〜

紅葉山参
恋愛
ブラック企業から辺境伯夫人アナスタシアとして転生した私は、愛する完璧な夫マクナル様と溺愛の新婚生活を送っていた。私は前世の「合理的常識」と「科学知識」を駆使し、元公爵令嬢ローナのあらゆる悪意を打ち破り、彼女を辺境の落ちぶれた貴族の元へ追放した。 第一の試練を乗り越えた辺境伯領は、私の導入した投資戦略とシンプルな経営手法により、瞬く間に王国一の経済力を確立する。この成功は、王都の中央貴族、特に王弟公爵とその腹心である奸猾な財務大臣の強烈な嫉妬と警戒を引き寄せる。彼らは、辺境伯領の富を「危険な独立勢力」と見なし、マクナル様を王都へ召喚し、アナスタシアを孤立させる第二の試練を仕掛けてきた。 夫が不在となる中、アナスタシアは辺境領の全ての重責を一人で背負うことになる。王都からの横暴な監査団の干渉、領地の資源を狙う裏切り者、そして辺境ならではの飢饉と疫病の発生。アナスタシアは「現代のインフラ技術」と「危機管理広報」を駆使し、夫の留守を完璧に守り抜くだけでなく、王都の監査団を論破し、辺境領の半独立的な経済圏を確立する。 第三の試練として、隣国との緊張が高まり、王国全体が未曽有の財政危機に瀕する。マクナル様は王国の窮地を救うため王都へ戻るが、保守派の貴族に阻まれ無力化される。この時、アナスタシアは辺境伯夫人として王都へ乗り込むことを決意する。彼女は前世の「国家予算の再建理論」や「国際金融の知識」を武器に、王国の経済再建計画を提案する。 最終的に、アナスタシアとマクナル様は、王国の腐敗した権力構造と対峙し、愛と知恵、そして辺境の強大な経済力を背景に、全ての敵対勢力を打ち砕く。王国の危機を救った二人は、辺境伯としての地位を王国の基盤として確立し、二人の愛の結晶と共に、永遠に続く溺愛と繁栄の歴史を築き上げる。 予定です……

悪役令嬢ですが、当て馬なんて奉仕活動はいたしませんので、どうぞあしからず!

たぬきち25番
恋愛
 気が付くと私は、ゲームの中の悪役令嬢フォルトナに転生していた。自分は、婚約者のルジェク王子殿下と、ヒロインのクレアを邪魔する悪役令嬢。そして、ふと気が付いた。私は今、強大な権力と、惚れ惚れするほどの美貌と身体、そして、かなり出来の良い頭を持っていた。王子も確かにカッコイイけど、この世界には他にもカッコイイ男性はいる、王子はヒロインにお任せします。え? 当て馬がいないと物語が進まない? ごめんなさい、王子殿下、私、自分のことを優先させて頂きまぁ~す♡ ※マルチエンディングです!! コルネリウス(兄)&ルジェク(王子)好きなエンディングをお迎えください m(_ _)m 2024.11.14アイク(誰?)ルートをスタートいたしました。 楽しんで頂けると幸いです。 ※他サイト様にも掲載中です

バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました

美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?

虚弱体質?の脇役令嬢に転生したので、食事療法を始めました

たくわん
恋愛
「跡継ぎを産めない貴女とは結婚できない」婚約者である公爵嫡男アレクシスから、冷酷に告げられた婚約破棄。その場で新しい婚約者まで紹介される屈辱。病弱な侯爵令嬢セラフィーナは、社交界の哀れみと嘲笑の的となった。

学園では婚約者に冷遇されていますが、有能なので全く気になりません。〜学園でお山の大将されてても、王宮では私の方が有能ですから〜

織り子
恋愛
王都カラディナにある国立魔術学園では、満十六歳の生徒たちの社交界デビューを兼ねた盛大なパーティーが開かれていた。 侯爵令嬢タレイア・オルトランは、婚約者である第二王子アスラン・オグセリアの迎えを待つも、結局ひとりで会場へ向かうことになる。 学園では身分の差がないとはいえ、アスランが公然とタレイアを侮辱し続けてきたことで、彼女は生徒たちから冷笑と蔑視の的となっていた。しかしタレイアは、王城で政務を担ってきた聡明さと矜持を失わず、毅然と振る舞う。

処理中です...