1 / 27
プロローグ
しおりを挟む
初夏のある日、『彼』は、街の中を歩いていた。
帽子を目深にかぶり、シャツにジーンズという軽装である。誰も彼に目をやらない。
成功だ、と彼は思った。目立つことがまずいからである。
顔は前方を向いたまま、視線を左右に動かす。
(なかなかいないな……)
これだけ人間がいるのに、彼のお眼鏡にかなう者はいない。思わず舌打ちしそうになり、あわてて口を閉じる。
自分は選ばれし者なのだ。品のないことはしたくない。
そう思ったその時、
「りこちゃん、待ってー」
背後から少女の声がした。
後ろを振り向くと、2人の少女たちが歩きながらはしゃいでいる。
ひとりは背中まで伸ばした髪、きつくて気の強そうな瞳、ノースリーブのワンピースを着ている。
もうひとりは、長い髪をふたつに分けてそれぞれ三つ編みにした神経質そうな少女。彼女もワンピース姿だが、露出は少ない。
彼女たちが姉妹であることや、清らかな魂を持っていることはすぐにわかった。
そして、自分が捜し求めていた人間であることも。
2人の少女たちは彼を追い越し、人混みの中に消えていった。
彼は頭の中で、一番の部下に連絡をとる。
『どうしました、ミカエル様』
『例の少女…いや少女たちを見つけた。姉妹だ。ガブリエル、コンタクトをとってくれるか』
『承知しました。どういった娘たちでしょう?』
『それは後で教える。ああ、名前だけ言っておこう。小鳥遊莉子(たかなし・りこ)、陽菜(ひな)のふたりだ』
『莉子、陽菜ですね。了解しました』
『私はそちらに戻り、神にお伝えする。君はラファエルとウリエルに言っておいてくれ』
『わかりました』
彼は頭の中の回線を切り、路地に入った。そして、その場から姿を消した。
帽子を目深にかぶり、シャツにジーンズという軽装である。誰も彼に目をやらない。
成功だ、と彼は思った。目立つことがまずいからである。
顔は前方を向いたまま、視線を左右に動かす。
(なかなかいないな……)
これだけ人間がいるのに、彼のお眼鏡にかなう者はいない。思わず舌打ちしそうになり、あわてて口を閉じる。
自分は選ばれし者なのだ。品のないことはしたくない。
そう思ったその時、
「りこちゃん、待ってー」
背後から少女の声がした。
後ろを振り向くと、2人の少女たちが歩きながらはしゃいでいる。
ひとりは背中まで伸ばした髪、きつくて気の強そうな瞳、ノースリーブのワンピースを着ている。
もうひとりは、長い髪をふたつに分けてそれぞれ三つ編みにした神経質そうな少女。彼女もワンピース姿だが、露出は少ない。
彼女たちが姉妹であることや、清らかな魂を持っていることはすぐにわかった。
そして、自分が捜し求めていた人間であることも。
2人の少女たちは彼を追い越し、人混みの中に消えていった。
彼は頭の中で、一番の部下に連絡をとる。
『どうしました、ミカエル様』
『例の少女…いや少女たちを見つけた。姉妹だ。ガブリエル、コンタクトをとってくれるか』
『承知しました。どういった娘たちでしょう?』
『それは後で教える。ああ、名前だけ言っておこう。小鳥遊莉子(たかなし・りこ)、陽菜(ひな)のふたりだ』
『莉子、陽菜ですね。了解しました』
『私はそちらに戻り、神にお伝えする。君はラファエルとウリエルに言っておいてくれ』
『わかりました』
彼は頭の中の回線を切り、路地に入った。そして、その場から姿を消した。
0
あなたにおすすめの小説
魅了が解けた貴男から私へ
砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。
彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。
そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。
しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。
男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。
元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。
しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。
三話完結です。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる