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2.1 始まりは終わりとともに
3.約束
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そんなこんなで、大きな情報を得ることが出来た僕は少しだけだが状況がわかった。だがだからといって、この状況を打破するまでには至らない。結局は使いみちの分からないアレを取り出さざるを得なかった。
というよりも、最初から使用するつもりではあったものの、なんとなく使いたくなかったというのが正しいだろう。――もっと正確に言うのであれば、正しく確実な言い方をするのであれば、なぜだかはわからないが、使えないことが恥ずかしいように感じたといえばなんとかなるだろう。それは、今になってもそうだ。
うまく操作出来ずに、謎の機械音声が流れる。『もう一度言ってください』と。
「ふ、ふふ。お前まともに使えてないじゃないか? 電話一つまともにかけられないのか?」
悪魔が僕の手際の悪さに思わず吹き出した。だが、こいつに僕を笑う権利などあるのだろうか?
「じゃあ、お前が教えてくれよ!」
「馬鹿だなお前は、俺はその端末の使い方なんて知らねぇって言ってるだろ? 言葉すらわからなくなったのか?」
僕の願いに開き直る悪魔。開き直るどころかむしろ馬鹿にされた。自分の馬鹿さ加減を棚に上げて僕を馬鹿にした。
「…………」
「……次、俺のことを馬鹿といったら、お前事消滅してやるからな?」
「………………」
僕は彼の馬鹿さ加減に何も口にだすことができなかった。口を減らすことも増やすことも彼に本当のことを言うことすら無意味に感じられた。
「よし、心中するか……」
「ちょっとまて!」
こいつは本気で僕と一緒に死ぬつもりだ。さすがに僕はまだ死にたくないし、やりたくもないフォローを入れる羽目になる。まあ、全て僕の責任でもあるわけだから、やぶさかではあるが、やぶさかではない。
「なんだ? 最後に遺言でも残しておくか?」
「いや、そうじゃない。死神も早とちりはするが、悪魔は違うだろう?」
「……勘違いも何も俺はお前の心が読めるんだから、間違えてノートに名前を書くことはない。しかもあれはコラだろ?」
「そうだ。だけど、お前はあの日本で一番有名な死神と同じような状況であることをもっと楽しまなくていいのか?」
「そんなくだらない遺言でよかったのか?」
「……ちょっとまてって! なんだ金か? 金がほしいのか?」
「お前は間抜けか? 俺が金を使えるわけないだろう? 俺に持ってくるんなら、知識だな……知識をくれるというのであれば許してやらんこともない」
一体どうやって、知識をやればいいのだろうか……というか、僕の頭の中をのぞき放題なこいつに今更与えられる知識など一つたりともありはしないわけだが、何を考えているのだろうか――その答えはすぐに分かった。
「そうだ。簡単だろう? 今お前が考えたとおり、お前が見たこと聞いたことはお前の思考を通して見える。だが、だからこそ俺が知りたい情報が入ってこないことが歯がゆいというべきだろう。ならばこそ、だからこそ、お前からが一番知識をもらいやすいんだ。つまり、俺の代わりに俺の知りたい事を勉強しろってことだ」
「正直に言っていいか? それはどう考えたって僕には得にしかならないことだと思う」
「そりゃそうだろう。お前が徳を積めば積むほど俺に得があるように、俺がお前が勉強すれば勉強するほど、俺にとっての勉強になる。ただ、それをもっと効率よくしてほしいというだけなんだから。お前に取っては損にならない。むしろ効率よく状況の判断が出来るというわけだ。それに、お前に損をさせるという事は実質的に俺にとっても損にしかならない。お前に無駄なことをさせたところでその時間は俺にとっても無駄なんだから」
確かに的を射た意見だ。お互いに損するよりかはお互いに得したほうがいいに決まって言う。どちらにとってもそのほうが徳を詰めることだろう。
お互いに蹴落とし会うことには徳も得もないのだから。だが反対にそれは悪魔らしからぬ意見だとも取れる。それだけにこの悪魔らしいと言えばそうだろう。この悪魔は初めてあった時からすでに悪魔でありながら、悪魔とは思うことが出来なかったのだから。――だから僕は彼を体に封印することを許容できたのだから。
「ほう、まあそれは褒め言葉として受け取っておこう。だけどお前。俺はお前に封印されることを許容した覚えはないがな」
「それは僕のセリフだ。こんな事になるのなら絶対にお前を自分の体に封印するなんて、そんな無茶苦茶なことを考えるわけ無いだろう? ただ、お前の力なら受け入れてもいいと思えただけだ」
「……まあ良いだろう。それよりもこの状況をどう打ち破るかのほうが、今のお前にとってはそっちのほうが重要なんだろう? どうしてそうなったのかは知らんが、お前から見えなくなったさっきまでの覚悟がなくなったと思うとしよう」
さっきの覚悟とはなんのことか分からないが、それでも僕はここを脱出しなければならないのだから、それを聞いている暇はない。それよりも――
「――――そうだ。さっさとここを出よう!」
一向に進まなかった話がようやく一歩前進したというところだろう。とにかく、さっさとここから出る方法を探さなくちゃ。
というよりも、最初から使用するつもりではあったものの、なんとなく使いたくなかったというのが正しいだろう。――もっと正確に言うのであれば、正しく確実な言い方をするのであれば、なぜだかはわからないが、使えないことが恥ずかしいように感じたといえばなんとかなるだろう。それは、今になってもそうだ。
うまく操作出来ずに、謎の機械音声が流れる。『もう一度言ってください』と。
「ふ、ふふ。お前まともに使えてないじゃないか? 電話一つまともにかけられないのか?」
悪魔が僕の手際の悪さに思わず吹き出した。だが、こいつに僕を笑う権利などあるのだろうか?
「じゃあ、お前が教えてくれよ!」
「馬鹿だなお前は、俺はその端末の使い方なんて知らねぇって言ってるだろ? 言葉すらわからなくなったのか?」
僕の願いに開き直る悪魔。開き直るどころかむしろ馬鹿にされた。自分の馬鹿さ加減を棚に上げて僕を馬鹿にした。
「…………」
「……次、俺のことを馬鹿といったら、お前事消滅してやるからな?」
「………………」
僕は彼の馬鹿さ加減に何も口にだすことができなかった。口を減らすことも増やすことも彼に本当のことを言うことすら無意味に感じられた。
「よし、心中するか……」
「ちょっとまて!」
こいつは本気で僕と一緒に死ぬつもりだ。さすがに僕はまだ死にたくないし、やりたくもないフォローを入れる羽目になる。まあ、全て僕の責任でもあるわけだから、やぶさかではあるが、やぶさかではない。
「なんだ? 最後に遺言でも残しておくか?」
「いや、そうじゃない。死神も早とちりはするが、悪魔は違うだろう?」
「……勘違いも何も俺はお前の心が読めるんだから、間違えてノートに名前を書くことはない。しかもあれはコラだろ?」
「そうだ。だけど、お前はあの日本で一番有名な死神と同じような状況であることをもっと楽しまなくていいのか?」
「そんなくだらない遺言でよかったのか?」
「……ちょっとまてって! なんだ金か? 金がほしいのか?」
「お前は間抜けか? 俺が金を使えるわけないだろう? 俺に持ってくるんなら、知識だな……知識をくれるというのであれば許してやらんこともない」
一体どうやって、知識をやればいいのだろうか……というか、僕の頭の中をのぞき放題なこいつに今更与えられる知識など一つたりともありはしないわけだが、何を考えているのだろうか――その答えはすぐに分かった。
「そうだ。簡単だろう? 今お前が考えたとおり、お前が見たこと聞いたことはお前の思考を通して見える。だが、だからこそ俺が知りたい情報が入ってこないことが歯がゆいというべきだろう。ならばこそ、だからこそ、お前からが一番知識をもらいやすいんだ。つまり、俺の代わりに俺の知りたい事を勉強しろってことだ」
「正直に言っていいか? それはどう考えたって僕には得にしかならないことだと思う」
「そりゃそうだろう。お前が徳を積めば積むほど俺に得があるように、俺がお前が勉強すれば勉強するほど、俺にとっての勉強になる。ただ、それをもっと効率よくしてほしいというだけなんだから。お前に取っては損にならない。むしろ効率よく状況の判断が出来るというわけだ。それに、お前に損をさせるという事は実質的に俺にとっても損にしかならない。お前に無駄なことをさせたところでその時間は俺にとっても無駄なんだから」
確かに的を射た意見だ。お互いに損するよりかはお互いに得したほうがいいに決まって言う。どちらにとってもそのほうが徳を詰めることだろう。
お互いに蹴落とし会うことには徳も得もないのだから。だが反対にそれは悪魔らしからぬ意見だとも取れる。それだけにこの悪魔らしいと言えばそうだろう。この悪魔は初めてあった時からすでに悪魔でありながら、悪魔とは思うことが出来なかったのだから。――だから僕は彼を体に封印することを許容できたのだから。
「ほう、まあそれは褒め言葉として受け取っておこう。だけどお前。俺はお前に封印されることを許容した覚えはないがな」
「それは僕のセリフだ。こんな事になるのなら絶対にお前を自分の体に封印するなんて、そんな無茶苦茶なことを考えるわけ無いだろう? ただ、お前の力なら受け入れてもいいと思えただけだ」
「……まあ良いだろう。それよりもこの状況をどう打ち破るかのほうが、今のお前にとってはそっちのほうが重要なんだろう? どうしてそうなったのかは知らんが、お前から見えなくなったさっきまでの覚悟がなくなったと思うとしよう」
さっきの覚悟とはなんのことか分からないが、それでも僕はここを脱出しなければならないのだから、それを聞いている暇はない。それよりも――
「――――そうだ。さっさとここを出よう!」
一向に進まなかった話がようやく一歩前進したというところだろう。とにかく、さっさとここから出る方法を探さなくちゃ。
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