永劫回帰の黙示録(レヴェレーション)

真白 悟

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5章 智の魔王

3.親友

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 アリサは俯き加減で黙り込んでいる。何かを話そうか話すまいか考えているようだ。
 意を決したようにアリサは口を開いた。
「実は……」
 それだけ言うとまた黙ってしまい、それからは長かった。ずっと喋らないアリサから話を引き出すだけでも、かなり苦労するルシフだ。

「アリサ、いつまで黙っているつもりだ……? おい、ハムート! ハムートもいるんだろう?」

 ルシフはアリサの代わりにハムートから話を聞き出そうと考えたのだ。だが、ハムートはルシフのことを嫌っている。もちろんハムートから聞き出すことには失敗する。
「なあ、アリサ……別に何があっても驚かないから話してくれないか……?」
 その言葉にようやく続きを話し始めた。
「実はね……この街にあのお方が来ているんですよ!」
「あのお方?」
 そう聞き返すルシフにアリサはビクビクしながら話し続ける。

「空の聖者であり、王国騎士団の団長であらせられるジゼル様だよ……知らないとは言わせないよ……」

 ルシフはジゼルという名前に懐かしみを感じている。
「そうか……ジズがこの街に来んだな…………」
 そのルシフの独り言とも取れる程小さな声だが、そこからは何故だかとても嬉しそうなようにも聞こえた。
「ジズ?」
 あまり聞きなれないその呼びなに首をかしげるアリサ。
「俺とジゼルは親友なんだよ……」
 ルシフの言葉にアリサはうしろずさる。

「あのジゼル様にルシフさんのような堕落した御友人がいるなんてありえないよ! もし、本当に親友なのだとしたならルシフさんはもう帰らぬ人になっていること間違いないね」

 ジゼルのことをよく知っているルシフにとって、そこまで近づき難い人物とは思えない。
「なにを言ってるんだ? ジゼルってジゼル=セラのことだよな?」
 そう質問するルシフだが、アリサはなにか急いでいるようでまくし立てるように言う。
「そんな事よりもっと重要なことがあるんだよ! ジゼル様がここに来た理由……」
「一体なにをそんなに慌てることがあるんだ?」

「ジゼル様は国王の勅命を受けてここまで来たらしいんだ!」

「それのなにが問題なんだ?」
「わからないの?」
 ルシフにとって、彼女の言葉とその意図することがよく分からず質問を繰り返すばかりであった。
「つまり、ダンダリオンの軍勢が襲来する時が近いということだよ……」

 突如、ドアを勢いよく開ける音がなった。どうやら懺悔者側のドアが無理やり開けられたようだった。
「お前にしては、すごい洞察力だと褒めてやりたいところではあるが、部外者に軍の機密情報を漏らすとは感心できないな……それにお前には、レヴィアを連れ戻す仕事を任せていたはずだが……いつまでも帰って来ないと思いきやこんなところにいたのか。」
 外からそんな声が聞こえてきた。ルシフはあわてて懺悔室を出る。
 そこにいたのは、先ほどの噂の主、聖者ジゼルだった。 
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