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インフルエンサー 1
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SNSフォロワー数が五万人を超えるインフルエンサー、Takaの素性は都内在住の男子高校生ということ意外は一切不明で、その正体は謎に包まれている。
何故こんな正体不明のアカウントのフォロワーが多いかというと、それは彼のファッションセンスによる。彼が度々載せるコーディネートの写真、そのどれもがオシャレで口コミをきっかけにフォロワーが爆増したのだ。彼が着ているのは高校生でも手が出しやすいファストファッションが中心で、参考のしやすさが人気の一因でもある。顔出しはしておらず、その素顔は誰も見たことがないのだが、シルエットからでも想像がつくイケメンぶりとスタイルの良さで男女ともに人気があった。何でもSNSに載せたがる昨今、そのミステリアスさもまた彼の魅力のひとつだ。
かくいう俺も彼をフォローしていた。ただし基本的には眺めたり、いいねをつけたりするくらいで、畏れ多くてコメントなんてしたことがない。彼のファッションを真似してみても身長と足の長さが違いすぎて絶望するけれど、それはともかく彼に憧れていた。
彼はファッション以外にも、最近行ったカフェの写真や風景の写真を載せることもあり、しかもそれがまた全てオシャレで、俺もデートするならこういう場所がいいなと思って参考にしている。彼女いたことないけど。
今日も今日とて昼休みにTakaくんのSNSをチェックしていた。昨日の夜に載せられたコーディネートもやっぱりオシャレだ。適度に流行を取り入れ、でも頑張りすぎていない感じがかっこいい。きっとめちゃくちゃモテるんだろうな……と思っていた時、突然背中に誰かがぶつかった。振り返った先には同級生の大衡が立っていた。
「……大衡、痛いんだけど」
「ああ、悪かったな。小さすぎて見えなかったわ」
大衡は悪びれずにそう言う。確かに俺は背が低くて160センチにギリギリ到達するかどうかってくらいだけど、座っている俺の姿が見えないなんておかしいだろ。絶対にわざとだ。
「今スマホ見ながらニヤニヤしてたよな。エロ動画でも見てたのか?」
「見るわけねーだろ!」
マジでウザい。いい加減にしてくれ。毎日毎日この調子だ。
そう、俺は大衡に目をつけられて事あるごとに絡まれていたのだ。
大衡は一年の頃から有名人だった。180センチ近くある身長にすらりと伸びた手足、顔は全てのパーツが完璧な位置にあり、モデルか何かやっているのかというほど整っている。いつもみんなの中心にいて、成績優秀スポーツ万能という超人並のスペックの男だ。他のクラスだった俺の耳にもその噂は届いていたが、地味で目立たなくて所謂その他大勢の一人である俺には当然接点などなかった。
大衡とは二年で同じクラスになり、たまたま隣の席だった。挨拶もろくに交わさないまま一ヶ月ほど過ぎたある日のこと。
授業中、隣の席の奴と相談して答えを出さないといけない課題があり、俺は初めて大衡と言葉を交わした。大衡は頭がいいだけあってすぐに課題は終わり、時間が余ったので俺はふと日頃から頭に浮かんでいた疑問を投げかけた。
「大衡ってさ、何でいつも微妙につまんなそうな顔してんの」
「……は?」
「なんか、いつもみんなに囲まれてるけど、愛想笑いっぽいというか……俺の気のせいかもだけど」
それは大衡と同じクラスになってすぐに気づいたことだった。大衡は社交的で友達が多いけれど、人に囲まれている様子を眺めていたらなんとなく心から笑っていないように見えたのだ。何故そう思ったのかはよく分からない。でもこの容姿端麗、頭脳明晰な男にも人並みに悩みがあるんじゃないかと思ったら、つい口に出してしまった。
大衡は一瞬驚いた顔をした後、小さくため息をついた。
「……なんなんだよ、お前」
「……え」
「そういうのウザい」
それからだ。大衡が俺に対してだけ異常なほど塩対応になったのは……。
確かに俺ももう少しオブラートに包んだ言い方をすれば良かったのかもしれない。でもそんなに嫌われるほどのことしたか?納得いかない。
「小山、また牛乳飲んでんのかよ。チビは大変だな」
「うるせーな、無駄にデカい奴よりマシだろ」
最初はいくらなんでも嫌われすぎだろうと動揺したが、何ヶ月もこんなやり取りをしているうちに俺も慣れてしまって今では自然に言い返せるようになった。全然嬉しくない。いちいち人のコンプレックスを刺激しやがって……めちゃくちゃムカつく。それに俺はきっとこれから成長期が来るんだ。そうなったら大衡の身長なんてあっと言う間に越えてやる。後で吠え面かくなよ。
俺が睨み返すと大衡は鼻で笑って教室を出て行った。こんなに性格が悪いのに何でちやほやされるんだろう……。みんなこいつの本性に気づいていないのか?イケメンって人生イージーモードだな。
何故こんな正体不明のアカウントのフォロワーが多いかというと、それは彼のファッションセンスによる。彼が度々載せるコーディネートの写真、そのどれもがオシャレで口コミをきっかけにフォロワーが爆増したのだ。彼が着ているのは高校生でも手が出しやすいファストファッションが中心で、参考のしやすさが人気の一因でもある。顔出しはしておらず、その素顔は誰も見たことがないのだが、シルエットからでも想像がつくイケメンぶりとスタイルの良さで男女ともに人気があった。何でもSNSに載せたがる昨今、そのミステリアスさもまた彼の魅力のひとつだ。
かくいう俺も彼をフォローしていた。ただし基本的には眺めたり、いいねをつけたりするくらいで、畏れ多くてコメントなんてしたことがない。彼のファッションを真似してみても身長と足の長さが違いすぎて絶望するけれど、それはともかく彼に憧れていた。
彼はファッション以外にも、最近行ったカフェの写真や風景の写真を載せることもあり、しかもそれがまた全てオシャレで、俺もデートするならこういう場所がいいなと思って参考にしている。彼女いたことないけど。
今日も今日とて昼休みにTakaくんのSNSをチェックしていた。昨日の夜に載せられたコーディネートもやっぱりオシャレだ。適度に流行を取り入れ、でも頑張りすぎていない感じがかっこいい。きっとめちゃくちゃモテるんだろうな……と思っていた時、突然背中に誰かがぶつかった。振り返った先には同級生の大衡が立っていた。
「……大衡、痛いんだけど」
「ああ、悪かったな。小さすぎて見えなかったわ」
大衡は悪びれずにそう言う。確かに俺は背が低くて160センチにギリギリ到達するかどうかってくらいだけど、座っている俺の姿が見えないなんておかしいだろ。絶対にわざとだ。
「今スマホ見ながらニヤニヤしてたよな。エロ動画でも見てたのか?」
「見るわけねーだろ!」
マジでウザい。いい加減にしてくれ。毎日毎日この調子だ。
そう、俺は大衡に目をつけられて事あるごとに絡まれていたのだ。
大衡は一年の頃から有名人だった。180センチ近くある身長にすらりと伸びた手足、顔は全てのパーツが完璧な位置にあり、モデルか何かやっているのかというほど整っている。いつもみんなの中心にいて、成績優秀スポーツ万能という超人並のスペックの男だ。他のクラスだった俺の耳にもその噂は届いていたが、地味で目立たなくて所謂その他大勢の一人である俺には当然接点などなかった。
大衡とは二年で同じクラスになり、たまたま隣の席だった。挨拶もろくに交わさないまま一ヶ月ほど過ぎたある日のこと。
授業中、隣の席の奴と相談して答えを出さないといけない課題があり、俺は初めて大衡と言葉を交わした。大衡は頭がいいだけあってすぐに課題は終わり、時間が余ったので俺はふと日頃から頭に浮かんでいた疑問を投げかけた。
「大衡ってさ、何でいつも微妙につまんなそうな顔してんの」
「……は?」
「なんか、いつもみんなに囲まれてるけど、愛想笑いっぽいというか……俺の気のせいかもだけど」
それは大衡と同じクラスになってすぐに気づいたことだった。大衡は社交的で友達が多いけれど、人に囲まれている様子を眺めていたらなんとなく心から笑っていないように見えたのだ。何故そう思ったのかはよく分からない。でもこの容姿端麗、頭脳明晰な男にも人並みに悩みがあるんじゃないかと思ったら、つい口に出してしまった。
大衡は一瞬驚いた顔をした後、小さくため息をついた。
「……なんなんだよ、お前」
「……え」
「そういうのウザい」
それからだ。大衡が俺に対してだけ異常なほど塩対応になったのは……。
確かに俺ももう少しオブラートに包んだ言い方をすれば良かったのかもしれない。でもそんなに嫌われるほどのことしたか?納得いかない。
「小山、また牛乳飲んでんのかよ。チビは大変だな」
「うるせーな、無駄にデカい奴よりマシだろ」
最初はいくらなんでも嫌われすぎだろうと動揺したが、何ヶ月もこんなやり取りをしているうちに俺も慣れてしまって今では自然に言い返せるようになった。全然嬉しくない。いちいち人のコンプレックスを刺激しやがって……めちゃくちゃムカつく。それに俺はきっとこれから成長期が来るんだ。そうなったら大衡の身長なんてあっと言う間に越えてやる。後で吠え面かくなよ。
俺が睨み返すと大衡は鼻で笑って教室を出て行った。こんなに性格が悪いのに何でちやほやされるんだろう……。みんなこいつの本性に気づいていないのか?イケメンって人生イージーモードだな。
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