魔法使いの弟子

老人の訪問

　窓の外から鳥のさえずりが聞こえる…。陽が差し込み僕は目が覚めた。

｢ん…。朝か…。｣

　僕の名前はアラン。
この街で暮らしているごく普通の一般人。
元は田舎に住んでいてこの街には最近出てきたばかり。今の所はなんの問題もなく生活している。

｢ふぁー…。さて、服を着替えて買い物に行かなくちゃね…。｣

　僕の1日の始まりはいつも買い物から始まる。僕は、食材を買い溜めることをしない。毎日毎日、朝市に行き１日分の食材を買い生活をしている。

｢いらっしゃい、アラン!!今日も新鮮な野菜を取り揃えてるよ!!｣

｢おはよう!!おばさん!!今日も沢山買ってくよ!!｣

～この平凡な生活がまさかあの老人が来てから変わるなんて誰も思わなかった～
それは、朝食を食べ終わって片付けをしている時だった。

｢ごちそうさま。さて、片付けるか…。｣

コンコンコン…。
突然ノックが聞こえた。

｢誰だろ？はーい!!少し待ってくださーい!!｣

ガチャ…。

｢どなたですか？｣

扉を開け、そこに立っていたのは1人の老人だった。

｢やはり、お主はここにおったか…。久しいの、我が弟子よ…。｣

｢は、はい？すみませんけど、どなたですか？｣

｢お主、ワシのことを覚えておらぬのか？まさか、記憶が無いのか！？｣

｢すみません。僕は貴方と面識がありません…。｣

　何なんだ？この老人はたしか、僕の事を弟子とか言ってたな…。いったい誰と間違えてるんだろう。

｢お主の名前はアランであろう？｣

｢そ、そうです。何処で名前を知ったんですか？僕の親戚さんか何かですか？｣

｢ほっほっほ…!!ならば、また１から教えるしかないようじゃな～。｣

｢（この人話聞く気無いな…。）あの～、お名前だけでも教えてください…。｣

｢ワシの名は言う必要はない…。さあ、修行に戻るぞ!!｣

｢あ、あの!!勝手に話進めないでください!!本当に何ですか!!｣

　この老人は一体なんなんだ？さっきから話も聞いてくれないし、聞いた事の答えもまともに返してくれないし。

｢む～…。本当に何も覚えておらぬのか？｣

｢覚えてないもなにも、貴方とは面識ないですから!!帰ってください!!｣

バンッ!!

　一体なんなんだよ!!僕の名前を知ってるし何なの!!怖いんだけど!!

｢ほっほっほ!!教えてやろう。お主が誰なのかをな…。｣

｢ひっ！？な、何でアンタ家の中に居るの！？どっから!!｣

　何で！？窓も開けてないし鍵は閉めてたし!!しかも、扉を閉めた時は扉の前居たから入る事なんて不可能なのに!!なんなんだよこの人!!

｢なるほど…。どうやって入ったか気になるのか？教えてやろう。こういう事じゃ!!｣シュンッ!!

　僕は自分の目疑った…。ついさっきまで、目の前に立っていた老人が消えたのだ…。そして、ふと後ろを見るとそこに老人が立っていた…。

｢ま、まさか。そんな、ありえる訳ない!!瞬間移動なんて…!!｣

｢ほっほっほ…!!瞬間移動なんて…。とは、酷い言い草じゃの？お主も昔は出来ておったのにな？まあ良い。お主に教えてやろう。お主が何者なのかをな…？｣

　この老人の訪問によりアランの人生は大きく変わるのである…。アランの正体とは一体何なのか？

つづく