魔法使いの弟子

しらたき

文字の大きさ
2 / 2

アランの正体

しおりを挟む
「僕の正体…?なんの事を言ってるんですか?」

 急に訪れてきた老人にお主の正体を教えてやろうと言われたけど、僕は僕だし訳がわかんない。

「では、心して聞くが良い。お主はワシの弟子だ!!ワシは魔法使いのダイアンと言ってな?とても、有名な魔法使いなのじゃよ。」

 ダイアン…。聞いた事も無い名前だった。だけど、何故だろうか。懐かしい感じがする…。

「ダイアン?聞いた事無いです。まず、弟子ってどういうことですか?」

「お主は弟子の意味も知らんのか?弟子とはだな…。」

「いや!!弟子の意味は知ってるよ!?ただ、弟子と言われても僕は何の弟子なんですか!?」

「お主は、この魔法使いダイアンの一番弟子で魔法の修行をしているのじゃよ。」

「僕が魔法の修行!?そんな、僕は生まれてこの方魔法について修行なんてした事ないんですけど!!」

 やっぱり、この老人は人違いをしてるだけだ!!僕は、魔法なんて信じて無いし興味すらないし!!

「お主は心の中でワシの事を酷く言いよるの~?お主は、魔法を信じておらんのか?興味も無いとは、昔はあんなに熱心だったはずなのじゃがな~?」

「(この老人!?心の中を読み取ってる!?)熱心だったと言われても、僕自身に記憶もないし身に覚えもないし…。」

 そうだ。身に覚えなんて無いんだ…。僕は魔法使いなんて…。
あれ?何でだ?なんでこんな事考えてるんだろう?考えなくていいはずなのに…?

「お主、やはり記憶を消されておるか。まさか、あやつは本当にやりおったのだな…。」

「何の話だよ…?僕は本当に何も知らないんだって!!頼むから辞めてくれよ!!」

 あれ?さっきから可笑しいな?頭の中に変なモヤモヤが…。なんだこの感じ…?

「思い出すのじゃ。あの時、お主がどんな目にあったのか!!そして、目の前で何が起きたのかを…!!」

「……っ!!あ、頭がっ!凄く痛い…!!う、うあぁぁぁ!!」

 な、なんだ!?あ、頭の中に変な記憶がっ!!流れ込んで…!!ぼ、僕の名前は…!!あ、アラン…!!

「知らない!!知らない!!そんな、辞めろよ!!僕はっ!!あ、アランなんだ!!」

「思い出すのじゃ!!お主の真の名を!!お主の本当の真名を!!」

 そ、そうだ…。僕の本当の名前は…!!アラン=シュバイン!!

「うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 僕は、叫ぶと同時に目の前が急に暗転した…。いったい何が起こったんだろう…。でも、少し不思議な気持ちになった。自分の本当の名前…。アラン=シュバイン。
いったいなんの事なのだろう…。

僕の新しい人生はここから始まったのだ…。

(ふふふふ…。なるほどな…。一部の記憶を取り戻したか…。あの死に損ないのボケ老人もなかなかやるな…?やはり、あの場で2人を仕留めておくべきだったか…。まあいい。これからじっくりと潰していくとするか…。)

こうして、アランの真の名前:アラン=シュバインの物語が始まる。そう。これはまだ序章にも至らないゼロの話…。果たしてアランが目覚めた時何が起こるというのか…。

つづく
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

【完結】アル中の俺、転生して断酒したのに毒杯を賜る

堀 和三盆
ファンタジー
 前世、俺はいわゆるアル中だった。色んな言い訳はあるが、ただ単に俺の心が弱かった。酒に逃げた。朝も昼も夜も酒を飲み、周囲や家族に迷惑をかけた。だから。転生した俺は決意した。今世では決して酒は飲まない、と。  それなのに、まさか無実の罪で毒杯を賜るなんて。

【完結】精霊に選ばれなかった私は…

まりぃべる
ファンタジー
ここダロックフェイ国では、5歳になると精霊の森へ行く。精霊に選んでもらえれば、将来有望だ。 しかし、キャロル=マフェソン辺境伯爵令嬢は、精霊に選んでもらえなかった。 選ばれた者は、王立学院で将来国の為になるべく通う。 選ばれなかった者は、教会の学校で一般教養を学ぶ。 貴族なら、より高い地位を狙うのがステータスであるが…? ☆世界観は、緩いですのでそこのところご理解のうえ、お読み下さるとありがたいです。

もしかして寝てる間にざまぁしました?

ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。 内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。 しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。 私、寝てる間に何かしました?

魅了の対価

しがついつか
ファンタジー
家庭事情により給金の高い職場を求めて転職したリンリーは、縁あってブラウンロード伯爵家の使用人になった。 彼女は伯爵家の第二子アッシュ・ブラウンロードの侍女を任された。 ブラウンロード伯爵家では、なぜか一家のみならず屋敷で働く使用人達のすべてがアッシュのことを嫌悪していた。 アッシュと顔を合わせてすぐにリンリーも「あ、私コイツ嫌いだわ」と感じたのだが、上級使用人を目指す彼女は私情を挟まずに職務に専念することにした。 淡々と世話をしてくれるリンリーに、アッシュは次第に心を開いていった。

【完結】あなたに知られたくなかった

ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。 5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。 そんなセレナに起きた奇跡とは?

ちゃんと忠告をしましたよ?

柚木ゆず
ファンタジー
 ある日の、放課後のことでした。王立リザエンドワール学院に籍を置く私フィーナは、生徒会長を務められているジュリアルス侯爵令嬢アゼット様に呼び出されました。 「生徒会の仲間である貴方様に、婚約祝いをお渡したくてこうしておりますの」  アゼット様はそのように仰られていますが、そちらは嘘ですよね? 私は最愛の方に護っていただいているので、貴方様に悪意があると気付けるのですよ。  アゼット様。まだ間に合います。  今なら、引き返せますよ? ※現在体調の影響により、感想欄を一時的に閉じさせていただいております。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

勇者パーティーを追放されました。国から莫大な契約違反金を請求されると思いますが、払えますよね?

猿喰 森繁
ファンタジー
「パーティーを抜けてほしい」 「え?なんて?」 私がパーティーメンバーにいることが国の条件のはず。 彼らは、そんなことも忘れてしまったようだ。 私が聖女であることが、どれほど重要なことか。 聖女という存在が、どれほど多くの国にとって貴重なものか。 ―まぁ、賠償金を支払う羽目になっても、私には関係ないんだけど…。 前の話はテンポが悪かったので、全文書き直しました。

処理中です...