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竜騎士ジェイド編
メルト防衛線
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トルテア占拠から10日、街はガレスが滞在防衛しもう一人のエリザベートの軍が北伐する。
ガレスは名剣士で、極めて正統な両手剣の技の持ち主で特に
「防」に優れた冷静沈着な古参将 齢47
エリザベートはベルフ国の古い貴族の名門、エンデルト家の出で、鉾と斧の中間のような武器の使い手で「攻」 齢22
そのエリザベート軍と指揮に入った数人の将との混成軍が侵攻担当に成り更に7日程かけメルトと南の広大な平地と川を挟んだ南に姿を現す事となる
その間のメルトはたしかに慌しいかったが、混乱をしていなかった「その為の準備」をずっと続けていたからだ。またどのように戦うのかも比較的すんなり決まる
先に説明の通り、メルト自体、海、川、山、森に囲まれた天然の要塞であり城と城下街の周りに2重の壁があり南正面大門をベルフが取り メルトが守る、という戦なのは規定路線だからだ
メルトにしてみれば天然の盾があり、出撃して正面決戦する必要など微塵もなく、兵糧の類も非常に豊富で篭城し、敵を撤退させればそれでいいのである
立場上ジェイドもマリーも軍会議には出席したが、奇策の入り込む余地はほぼ無くその様な者が必要でもなかった
一応あるとしたら、という前置きして、北西隣国の岩代の「援軍に見せた」裏切りか、船を出して東側港からの進入、別働隊を出しての西山岳からの横突きによる包囲戦も可能性は低いがあるとマリーが軽く進言はし、更に情報収集はされたが、今回そのどれも気配は無かったようだ
ちなみに、クルストのおっさんは自分の育てた重装剣盾兵に加わって参戦しようとしたが止められた
ジェイドは「用心棒」の立場で軍戦そのものには関わる立場でもないが彼の武勇を知らぬ者はもはやおらず、それを活用したかった国は 軍ではなく「部隊」を率いて状況を見て自由参戦してはどうか?と持ちかけられ
彼の下で教えに関わったすでに城に上げた者で、更に希望優先で兵、騎士など50人程の少数部隊を預かった。当然皆若く主戦で行動する戦争では未熟でもあるので
「後学の為の見学」に近い立場でもありそれが投入される事も無いだろうと考えた
二人の愛弟子でもあるウェルチとセシルも参戦希望したが、ウェルチの場合まだこの時14歳だし、また卒倒されても困るのでマリーと共に後方観戦の立場で後ろへ
セシルは「師匠と共に戦うぜ!!」と頑として聞かなかったのでやむなく加えた。ただ、彼はウェルチと違い
剣と魔法合わせて全力で戦えば「ジェイドの足元には及ぶ」ほど総合戦闘力はかなり高いし、物事に動じない度胸もある、またこの時16歳だったので
「まあ、初陣には悪くないだろう」と認められ
更に「もしもの場合」で魔法の予備タンクにエンチャンターの石をマリーに授けられて、だいぶ大喜びしていた
この戦争は非常にありきたりで正統な戦いとなった
メルト軍は兵力五千、ベルフ軍は一万二千。
双方が南大門の前の橋。横10人並べて進めるくらいの狭い出入り口で、メルトは防ぎ、ベルフは突破を試みる、という面白みは無い戦闘が、間断なく続けられる
この際。エリザベートの下に付いたベルフの二将が指揮を執り、エリザベートは自身の100人騎馬隊を率いていたが後方に敷いた軍の陣で観戦するに留まった
それにはいくつか事情がある
彼女はいつも主力は誰かにまかせて、自身の百人騎馬のみで戦場を自由に駆け、常に相手の陣形の左右どちらかに周り込みながら突撃突破を繰り返すスタイルを用いる、又そのために自身が選抜した「個々の武の高い者」の集団であり驚異的な強さを誇る、その性質上この様な狭い場所での戦いで相手が引き篭もっている篭城戦、状態ではそもそもあまり用が無いのが一つ
2つにこの戦いでは彼女の下に居た将二人が
「我々に全軍指揮を!」と願った事にある
エリザベートの戦法による戦果と強さは凄まじい物で。当人にそのつもりは無いのだが。功績自体、百人騎馬隊の独り占め状態が殆ど、功をあせる2将がそう願い出て彼女も「まあ、よかろう」と任せた
更に言えば。メルトなど我々だけで、という思いが2将にあり前に出る事を望んだ。要はメルト国は「武」としてこれと言った人物がおらず、軍も下「楽な功績の立て所」と甘く見られていたのである
しかしながら「そういう状態の打開」にメルトの王は準備を整え今に至っており、想像したよりメルトの軍は弱いという事は無かった
当日その「攻」「守」の連続が続き双方疲弊し、一時軍を後退させた
明けて2日目、ここでラチが開かないと考えた2将は例の「重装突破兵」を投入
これにはたまらずメルト軍は後退、門を抜かれ、入り口の広場まで押される、何しろ剣も槍も弓も跳ね返して鈍足前進してくる、まともな兵は相手にならない。そのさながら化け物の様な相手に畏怖を覚える。
メルト軍前線は次々と打ち倒される、情報は知っていたが実際に使われ目の当たりにするとその「単純な強さと恐ろしさ」は脅威であった
がここで
「まさか実戦投入するとは思わなかった」がメルトにも組織してあった「重装剣盾兵」が立ちはだかる
この時「剣盾兵」は200人程組織されていたが、その「硬さ」は十分であった。お互い押しくら饅頭のような押し合い打ち合いで全く互角
まさかその様な部隊があるとは思わず、門と壁を抜けて、またも「守」と「攻」の戦いが繰り広げられるとは思いもよらずだった
3時間程の押し合いと打ち合いの末、どうにかベルフ軍をまた橋まで押し返し、これは流石にと思い一時後退のハメになり、双方軍を後退させた
この「重装兵」の副産物は死傷者の極端な少なさでもある。
あれだけ重武装だと中身の被弾率も当然少ない。だが異常に重いだけに疲労は尋常ではなく連続戦闘にはそう耐えれなく、更に「攻撃」ベルフは負担が大きく下がらざる得なかった
更に当日夕方には「岩代」の援軍が500程現れ、相手にも動揺が一時出た、その夜ベルフ軍の陣で軍議になる
「まさか向こうも重装兵を組織していたとは‥」
2将は驚いていた当然である。アレを持つ国は北の「獅子の国」と「皇帝ベルフの軍」だけであった
更に後方から自治軍の「岩代」の参戦、自治軍なので数は揃えられないのだが、総兵力は千五百程度はあるはずで、それも投入されては数の有利も縮まるのではと喚いていた
「ま、メルトが占領されれば次は自分の番だからね。向こうも最終的には追加してくるだろうさね」とエリザベートは事も無げに言う
如何いたしますか?と判断を仰ぐが、そのくらい自分で考えなよと言いたげだったが
「戦力差がまた縮まらない内に攻めだろうね。このまま長期化すりゃこっちは遠征軍だけに苦しくなるだけ。更にメルトの防衛に周辺国から援助が無いとも限らないからね。防波堤の意味でも放置できんだろうよ」
しかし、あの剣盾兵を抜くのは厳しいのでは、と声が出るが
それもエリザベートはめんどくさそうに返した
「向こうの剣盾兵はあれで全部らしいから交代連続戦闘を掛ければ向こうが先にぽしゃるだろ、向こうの重装兵は二百、こっちは全部投入すりゃ五百ある、二部隊に分けて交代で突撃すりゃいいさ」
ご尤もですな、と戦術は決定される
明けて三日
二交代制で重装突破兵の突撃が再開される、これは流石にたまった物ではない。防ぎ切ったと思えば後ろに控える二隊目が一隊目とすれ違いに前に出て下がった部隊は次の準備を整える
二隊目が引いたと思いきや一隊目がまたも突撃してくる。更に負傷、過労の者は余りの百人の中から交代して補われる
どれほど体力があろうといつまでも耐えられるハズも無く、連続戦闘でメルト側の負傷と装備の破損、過労で倒れる者が出て午前中に始まった戦闘で午後2時くらいには半数が行動不能に陥った。
依然、死傷者だけは少ないが もういくらも耐えられないだろうと思った
ついにメルトの剣盾兵は数で維持出来なくなりまさに「ぽしゃった」門を抜け前の広場になだれ込んで決着かと思われた
だが、そのベルフ軍の重装兵の前に、ジェイドが立ちはだかる「観戦」を決め込める状況では流石に無く、咄嗟に自ら前に出た「なに‥?」とベルフの兵は一瞬足が止まる。
身の丈程の大刀を肩に担ぐ様に立つ大男眼光鋭く不敵に笑って、彼らを制する姿は異様に見えただろう
彼に続いて彼の「弟子達」も彼に並び立とうとするが彼はそれを片手で制した
「アレはお前達では「まだ」無理だ俺にまかせておけ」と威圧するかのように味方も制する、が、空気が読めないのか、彼だけを死地に行かせる様な真似は出来ない!と思ったのかセシルだけは彼の斜め後ろに来て剣を抜く
「師匠だけじゃ無理ですよ!俺もやります!」と。
そういう覚悟をさせるほど絶望的な状況に見えたのだろう、がジェイドにとってはそうではない
「しょうがねぇなぁ、けどありゃまともな武器じゃ無理だぞ「お前にでも」だからセシルは剣を使わず「魔法」で援護しろ」
といつもの顔を見せて言った「は、はい!」と即座にその準備を整える
「間違って俺に当てるなよ?」と軽口を叩いてジェイドは敵の集団に単身突撃する
(まさか「人間」相手にこれを使う事になるとはなぁ‥)と彼はいつもの彼だった
突っ込んでくる男に対して先頭のベルフ兵は盾を構える、当然それで防げると思った が、彼の刀はその受けた盾ごと相手を地面に叩き落とした。まるで虫を上から叩きつぶすように
「んな!?!」と周囲、敵味方から声が挙がる
更にジェイドは左右に払う様に周囲に居たベルフ兵にも大刀を叩き付ける、それをもちろん盾で防ごうとしたが軽く吹き飛ばされる、盾ごと持っていた手まで折られ苦痛の絶叫が起こる
ジェイドは立ちはだかる相手を上から横から切りつけ次々叩き伏せて行くその光景は倒れてきた石柱に潰されていくようだ
幾人かのベルフ兵は短槍を突き出し反撃を試みるが大刀を絡めるように華麗に巻き取りバランスを崩され返す刀で殴り飛ばす
まるで達人が普通の剣でやるような見事な動きと速さの技で。反撃も意に介さない
当然だ見た目は身の丈程の大刀で「重そう」に見えるが「彼にとっては軽い」そして「決して折れない硬さ」だ、普通の剣と同等に使えるのだ
余りの出来事、光景に味方ですら、動けなくなるが
セシルは「すげぇ‥」と呟いたが次の瞬間「ハッ」として自分の「役目」を思い出す、自分はどう援護するのかを考えてそれを成す
セシルはジェイドのサイドや背後に回ろうと動く兵に「風の斬撃」を放つ、いきなり何も無い空間から背中や肩を打たれて
片膝をついたり打たれた所を押さえて呻く。それに示し合わせるようにジェイドはその相手を切り伏せる
セシルの魔法は中々強力で当たり所が良ければ鎧を貫通して中身にも斬撃を通す程だった
時に複数で同時にジェイドに襲い掛かる相手を「風の盾」で防ぎ「何か」にぶつかった兵が「うわ!」とのげぞった瞬間神速の速さでジェイドがまた切り倒す
あのガキが使ってるのか!とセシルに向かって一部兵が走るが、セシルは自らの剣で受けソバットの様に相手を蹴り飛ばしそこにジェイドが兵の背後から倒す。背中を向けたジェイドに襲い掛かるがそこにセシルの「風の斬撃」1,2,3と連続で、見えない剣撃で叩き伏せられる、振り向いて即時下から上に打ち上げる様にその兵は切り殺される
「やるじゃないかセシル、さすが「俺達」の愛弟子だな」と声をかける
「師匠が両方いいですから」
ジェイドが最初の兵を叩き潰す光景を遠めに見ていたウェルチは早々に卒倒しそうになっていたが
そのフラフラする体をマリーに抱きとめられ支えられて、こういわれた
「出来るだけ見ときな。一生に何度も見れる物じゃない、寝たらもったいないよ」と
ウェルチは「は、はひ!‥」とマヌケな返事を返したが胸を押さえて飛びそうな意識を繋ぎとめながらそれを最後まで見届けた
一度も体験したことのない一方的にやられる状態、同じ装備で簡単に倒されない味方が断末魔の声を挙げて倒される状態に驚き「死の恐怖」に取り付かれた
以降はジェイドが前に進むだけで、同じ距離下がるような状態に陥る時に「恐怖心」に追い立てられ狂った様に
ジェイドに単体で襲いかかる者も数人居たが、そのつど何も出来ずに叩き潰される
気がついた時にはいつの間にか城下門の橋の外の平地まで歩きジェイドは立っていた
「化け物‥」彼らにはそうにしか見えなくなっていた
これには、その指揮をしていた2将も言葉が無かった、ただ口を開けてポカンとしているだけだった
ガレスは名剣士で、極めて正統な両手剣の技の持ち主で特に
「防」に優れた冷静沈着な古参将 齢47
エリザベートはベルフ国の古い貴族の名門、エンデルト家の出で、鉾と斧の中間のような武器の使い手で「攻」 齢22
そのエリザベート軍と指揮に入った数人の将との混成軍が侵攻担当に成り更に7日程かけメルトと南の広大な平地と川を挟んだ南に姿を現す事となる
その間のメルトはたしかに慌しいかったが、混乱をしていなかった「その為の準備」をずっと続けていたからだ。またどのように戦うのかも比較的すんなり決まる
先に説明の通り、メルト自体、海、川、山、森に囲まれた天然の要塞であり城と城下街の周りに2重の壁があり南正面大門をベルフが取り メルトが守る、という戦なのは規定路線だからだ
メルトにしてみれば天然の盾があり、出撃して正面決戦する必要など微塵もなく、兵糧の類も非常に豊富で篭城し、敵を撤退させればそれでいいのである
立場上ジェイドもマリーも軍会議には出席したが、奇策の入り込む余地はほぼ無くその様な者が必要でもなかった
一応あるとしたら、という前置きして、北西隣国の岩代の「援軍に見せた」裏切りか、船を出して東側港からの進入、別働隊を出しての西山岳からの横突きによる包囲戦も可能性は低いがあるとマリーが軽く進言はし、更に情報収集はされたが、今回そのどれも気配は無かったようだ
ちなみに、クルストのおっさんは自分の育てた重装剣盾兵に加わって参戦しようとしたが止められた
ジェイドは「用心棒」の立場で軍戦そのものには関わる立場でもないが彼の武勇を知らぬ者はもはやおらず、それを活用したかった国は 軍ではなく「部隊」を率いて状況を見て自由参戦してはどうか?と持ちかけられ
彼の下で教えに関わったすでに城に上げた者で、更に希望優先で兵、騎士など50人程の少数部隊を預かった。当然皆若く主戦で行動する戦争では未熟でもあるので
「後学の為の見学」に近い立場でもありそれが投入される事も無いだろうと考えた
二人の愛弟子でもあるウェルチとセシルも参戦希望したが、ウェルチの場合まだこの時14歳だし、また卒倒されても困るのでマリーと共に後方観戦の立場で後ろへ
セシルは「師匠と共に戦うぜ!!」と頑として聞かなかったのでやむなく加えた。ただ、彼はウェルチと違い
剣と魔法合わせて全力で戦えば「ジェイドの足元には及ぶ」ほど総合戦闘力はかなり高いし、物事に動じない度胸もある、またこの時16歳だったので
「まあ、初陣には悪くないだろう」と認められ
更に「もしもの場合」で魔法の予備タンクにエンチャンターの石をマリーに授けられて、だいぶ大喜びしていた
この戦争は非常にありきたりで正統な戦いとなった
メルト軍は兵力五千、ベルフ軍は一万二千。
双方が南大門の前の橋。横10人並べて進めるくらいの狭い出入り口で、メルトは防ぎ、ベルフは突破を試みる、という面白みは無い戦闘が、間断なく続けられる
この際。エリザベートの下に付いたベルフの二将が指揮を執り、エリザベートは自身の100人騎馬隊を率いていたが後方に敷いた軍の陣で観戦するに留まった
それにはいくつか事情がある
彼女はいつも主力は誰かにまかせて、自身の百人騎馬のみで戦場を自由に駆け、常に相手の陣形の左右どちらかに周り込みながら突撃突破を繰り返すスタイルを用いる、又そのために自身が選抜した「個々の武の高い者」の集団であり驚異的な強さを誇る、その性質上この様な狭い場所での戦いで相手が引き篭もっている篭城戦、状態ではそもそもあまり用が無いのが一つ
2つにこの戦いでは彼女の下に居た将二人が
「我々に全軍指揮を!」と願った事にある
エリザベートの戦法による戦果と強さは凄まじい物で。当人にそのつもりは無いのだが。功績自体、百人騎馬隊の独り占め状態が殆ど、功をあせる2将がそう願い出て彼女も「まあ、よかろう」と任せた
更に言えば。メルトなど我々だけで、という思いが2将にあり前に出る事を望んだ。要はメルト国は「武」としてこれと言った人物がおらず、軍も下「楽な功績の立て所」と甘く見られていたのである
しかしながら「そういう状態の打開」にメルトの王は準備を整え今に至っており、想像したよりメルトの軍は弱いという事は無かった
当日その「攻」「守」の連続が続き双方疲弊し、一時軍を後退させた
明けて2日目、ここでラチが開かないと考えた2将は例の「重装突破兵」を投入
これにはたまらずメルト軍は後退、門を抜かれ、入り口の広場まで押される、何しろ剣も槍も弓も跳ね返して鈍足前進してくる、まともな兵は相手にならない。そのさながら化け物の様な相手に畏怖を覚える。
メルト軍前線は次々と打ち倒される、情報は知っていたが実際に使われ目の当たりにするとその「単純な強さと恐ろしさ」は脅威であった
がここで
「まさか実戦投入するとは思わなかった」がメルトにも組織してあった「重装剣盾兵」が立ちはだかる
この時「剣盾兵」は200人程組織されていたが、その「硬さ」は十分であった。お互い押しくら饅頭のような押し合い打ち合いで全く互角
まさかその様な部隊があるとは思わず、門と壁を抜けて、またも「守」と「攻」の戦いが繰り広げられるとは思いもよらずだった
3時間程の押し合いと打ち合いの末、どうにかベルフ軍をまた橋まで押し返し、これは流石にと思い一時後退のハメになり、双方軍を後退させた
この「重装兵」の副産物は死傷者の極端な少なさでもある。
あれだけ重武装だと中身の被弾率も当然少ない。だが異常に重いだけに疲労は尋常ではなく連続戦闘にはそう耐えれなく、更に「攻撃」ベルフは負担が大きく下がらざる得なかった
更に当日夕方には「岩代」の援軍が500程現れ、相手にも動揺が一時出た、その夜ベルフ軍の陣で軍議になる
「まさか向こうも重装兵を組織していたとは‥」
2将は驚いていた当然である。アレを持つ国は北の「獅子の国」と「皇帝ベルフの軍」だけであった
更に後方から自治軍の「岩代」の参戦、自治軍なので数は揃えられないのだが、総兵力は千五百程度はあるはずで、それも投入されては数の有利も縮まるのではと喚いていた
「ま、メルトが占領されれば次は自分の番だからね。向こうも最終的には追加してくるだろうさね」とエリザベートは事も無げに言う
如何いたしますか?と判断を仰ぐが、そのくらい自分で考えなよと言いたげだったが
「戦力差がまた縮まらない内に攻めだろうね。このまま長期化すりゃこっちは遠征軍だけに苦しくなるだけ。更にメルトの防衛に周辺国から援助が無いとも限らないからね。防波堤の意味でも放置できんだろうよ」
しかし、あの剣盾兵を抜くのは厳しいのでは、と声が出るが
それもエリザベートはめんどくさそうに返した
「向こうの剣盾兵はあれで全部らしいから交代連続戦闘を掛ければ向こうが先にぽしゃるだろ、向こうの重装兵は二百、こっちは全部投入すりゃ五百ある、二部隊に分けて交代で突撃すりゃいいさ」
ご尤もですな、と戦術は決定される
明けて三日
二交代制で重装突破兵の突撃が再開される、これは流石にたまった物ではない。防ぎ切ったと思えば後ろに控える二隊目が一隊目とすれ違いに前に出て下がった部隊は次の準備を整える
二隊目が引いたと思いきや一隊目がまたも突撃してくる。更に負傷、過労の者は余りの百人の中から交代して補われる
どれほど体力があろうといつまでも耐えられるハズも無く、連続戦闘でメルト側の負傷と装備の破損、過労で倒れる者が出て午前中に始まった戦闘で午後2時くらいには半数が行動不能に陥った。
依然、死傷者だけは少ないが もういくらも耐えられないだろうと思った
ついにメルトの剣盾兵は数で維持出来なくなりまさに「ぽしゃった」門を抜け前の広場になだれ込んで決着かと思われた
だが、そのベルフ軍の重装兵の前に、ジェイドが立ちはだかる「観戦」を決め込める状況では流石に無く、咄嗟に自ら前に出た「なに‥?」とベルフの兵は一瞬足が止まる。
身の丈程の大刀を肩に担ぐ様に立つ大男眼光鋭く不敵に笑って、彼らを制する姿は異様に見えただろう
彼に続いて彼の「弟子達」も彼に並び立とうとするが彼はそれを片手で制した
「アレはお前達では「まだ」無理だ俺にまかせておけ」と威圧するかのように味方も制する、が、空気が読めないのか、彼だけを死地に行かせる様な真似は出来ない!と思ったのかセシルだけは彼の斜め後ろに来て剣を抜く
「師匠だけじゃ無理ですよ!俺もやります!」と。
そういう覚悟をさせるほど絶望的な状況に見えたのだろう、がジェイドにとってはそうではない
「しょうがねぇなぁ、けどありゃまともな武器じゃ無理だぞ「お前にでも」だからセシルは剣を使わず「魔法」で援護しろ」
といつもの顔を見せて言った「は、はい!」と即座にその準備を整える
「間違って俺に当てるなよ?」と軽口を叩いてジェイドは敵の集団に単身突撃する
(まさか「人間」相手にこれを使う事になるとはなぁ‥)と彼はいつもの彼だった
突っ込んでくる男に対して先頭のベルフ兵は盾を構える、当然それで防げると思った が、彼の刀はその受けた盾ごと相手を地面に叩き落とした。まるで虫を上から叩きつぶすように
「んな!?!」と周囲、敵味方から声が挙がる
更にジェイドは左右に払う様に周囲に居たベルフ兵にも大刀を叩き付ける、それをもちろん盾で防ごうとしたが軽く吹き飛ばされる、盾ごと持っていた手まで折られ苦痛の絶叫が起こる
ジェイドは立ちはだかる相手を上から横から切りつけ次々叩き伏せて行くその光景は倒れてきた石柱に潰されていくようだ
幾人かのベルフ兵は短槍を突き出し反撃を試みるが大刀を絡めるように華麗に巻き取りバランスを崩され返す刀で殴り飛ばす
まるで達人が普通の剣でやるような見事な動きと速さの技で。反撃も意に介さない
当然だ見た目は身の丈程の大刀で「重そう」に見えるが「彼にとっては軽い」そして「決して折れない硬さ」だ、普通の剣と同等に使えるのだ
余りの出来事、光景に味方ですら、動けなくなるが
セシルは「すげぇ‥」と呟いたが次の瞬間「ハッ」として自分の「役目」を思い出す、自分はどう援護するのかを考えてそれを成す
セシルはジェイドのサイドや背後に回ろうと動く兵に「風の斬撃」を放つ、いきなり何も無い空間から背中や肩を打たれて
片膝をついたり打たれた所を押さえて呻く。それに示し合わせるようにジェイドはその相手を切り伏せる
セシルの魔法は中々強力で当たり所が良ければ鎧を貫通して中身にも斬撃を通す程だった
時に複数で同時にジェイドに襲い掛かる相手を「風の盾」で防ぎ「何か」にぶつかった兵が「うわ!」とのげぞった瞬間神速の速さでジェイドがまた切り倒す
あのガキが使ってるのか!とセシルに向かって一部兵が走るが、セシルは自らの剣で受けソバットの様に相手を蹴り飛ばしそこにジェイドが兵の背後から倒す。背中を向けたジェイドに襲い掛かるがそこにセシルの「風の斬撃」1,2,3と連続で、見えない剣撃で叩き伏せられる、振り向いて即時下から上に打ち上げる様にその兵は切り殺される
「やるじゃないかセシル、さすが「俺達」の愛弟子だな」と声をかける
「師匠が両方いいですから」
ジェイドが最初の兵を叩き潰す光景を遠めに見ていたウェルチは早々に卒倒しそうになっていたが
そのフラフラする体をマリーに抱きとめられ支えられて、こういわれた
「出来るだけ見ときな。一生に何度も見れる物じゃない、寝たらもったいないよ」と
ウェルチは「は、はひ!‥」とマヌケな返事を返したが胸を押さえて飛びそうな意識を繋ぎとめながらそれを最後まで見届けた
一度も体験したことのない一方的にやられる状態、同じ装備で簡単に倒されない味方が断末魔の声を挙げて倒される状態に驚き「死の恐怖」に取り付かれた
以降はジェイドが前に進むだけで、同じ距離下がるような状態に陥る時に「恐怖心」に追い立てられ狂った様に
ジェイドに単体で襲いかかる者も数人居たが、そのつど何も出来ずに叩き潰される
気がついた時にはいつの間にか城下門の橋の外の平地まで歩きジェイドは立っていた
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「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
勇者パーティーを追放されました。国から莫大な契約違反金を請求されると思いますが、払えますよね?
猿喰 森繁
ファンタジー
「パーティーを抜けてほしい」
「え?なんて?」
私がパーティーメンバーにいることが国の条件のはず。
彼らは、そんなことも忘れてしまったようだ。
私が聖女であることが、どれほど重要なことか。
聖女という存在が、どれほど多くの国にとって貴重なものか。
―まぁ、賠償金を支払う羽目になっても、私には関係ないんだけど…。
前の話はテンポが悪かったので、全文書き直しました。
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