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傭兵団編
生き長らえた先
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そこへ本陣、アリオスがたどり着く。
一連の報告を聞いた後、死体と負傷者の回収の指示を出し撤収の準備を始める。本当はそっとして置きたい心境だったがクリスに声を掛けた
「フラウベルトの軍が逃れた者の保護に軍を出してきました。今は疲れているでしょうが、戻りましょう」と
クリスは黙ってうなずいた。その次に呟いた 「なんて戦いだ‥」と
ベルフ側。死者128人、負傷225、小規模戦闘の追撃戦として前代未聞の被害である。まさに「なんて戦いだ」である
一方傭兵団は死者3 負傷77.「戦えた者」全員が負傷か死亡という悲惨な結果である
その後、フラウベルトの出した援護軍に庇護され傭兵団の殆どがそのままフラウベルト側に向かった中立地域とクルベルの境界線手前でショット、バレンティア、ロックは残りの3人を日が暮れてもずっと待ったが、誰も帰らなかった
夜になって全身、自分と斬った相手の返り血で真っ赤になったクイックがフラフラと現れる
3人は今にも倒れそうな彼を支え、張ったテントに連れ治療した
そこで一連の事情を聴く事となる
ショットはクイックを殴り飛ばしそうな勢いで「お前が!‥」と言いかけ そこで止まった
クイックは全身傷だらけの血だらけ、弓も矢もナイフも使うべき全ての武器を失ってあらゆる手段を尽くして今に至っているのである。誰が彼を咎められようか、それを想像してショットは冷静になった
「そうか、イリアとライナは捕まったか‥」とだけ言った
「向こうは、俺の狙いを看破したようだ‥エリザベートの弟クリスとか言ったか‥たぶん元同業者だな俺の見通しの甘さだ‥すまん」とクイックは謝罪を述べた
「貴方は味方の被害を最小限に留める策を打ったわ、間違いではないハズよ」
「皆、フラウベルトに行くようです‥僕らも行きましょう」
バレンティアとロックは言ったが‥捕まった二人はどうなるのか?等彼らからは言えなかった、想像したくもない事だがクイックはそれを察してか
「可能性は五分五分だが‥殺さんかもしれん‥」
「え?!」
「殺すつもり。なら他にやりようはあるはず‥向こうもそこまで被害を出す意味がない攻撃も全て、頭から下を狙っていた‥弓も出さぬし」
「初めから僕らを捕らえるのが目的?!」
「なんでだよ‥」
「わからぬ‥が、あるとしたら‥。自分の手駒にするかだろう」
「エリザベートの指示かしら‥」
「ありうるな。」
「自分と戦える武芸者や将にやたら固執気味でしたし」
「けど、イリアやライナがそれを受け入れるかな」
「つまんねー意地張らないでそうしてくれりゃいいけどな‥生きてりゃまた、どっかで会える。それが敵でもいいさ‥」
「ショット‥」と他の3人は同時に言った
皆気持ちは同じだったかもしれない
それから一月後、傭兵団はフラウベルトに雇われる事となる。彼らの勇名は多くの者が知っていたのだから当然かもしれない
だが、その中。残った年少隊の4人は別れる事となる、もう年少ではないが
「悪いな、俺は無能な国に雇われるのも負け戦も、もう沢山だ。」と言ってショットは団を抜け、単身旅立つ
傷が癒えたクイックも
「俺はライナとイリアのその後を追う、一人の方が潜入するにも動き易いんでね」そう彼は言い残し出て行った
「僕は他にアテも無いしここに残りますよ」
「私も残るわ、フリットには借り貸しがあるし。行くとこもないし」
結局ロックとバレンティアだけは団に残る事になる
一方、ライナとイリアは手当てと休息を受けながらもアリオス、エリザベートらに移送されてベルフ本国の王都の牢で過ごす事になる
エリザベートとアリオスは二人の対応を協議したが
エリザベートは処刑をすべきでないと思っていたが、陛下次第だろうとやや沈んだ感じだった。アリオスも同意見である
「出来れば私の元に欲しいが‥従わんだろうな‥」
「流石にあの赤髪の子は‥認めさせるのは難しいでしょうな‥ずっとおっかない眼をしてますし」
「ならせめて、殺さぬようにしたいが」
「うーん、そうですねぇ‥単に処刑を避けるだけなら‥ええ」
「あの二人は私に任せてくれませんかね?」言ってアリオスは以降の事を任せるように頼んだ
「何か策があるのか、お前がそう言うからには」
「ええ、まあ、それを認めされるくらいの貯金はありますから」
「陛下にでも?」
「と、いうより、得意の口八丁で何とかして見せますよ」と笑って返した
「いい手が私では何も浮かばん、お前に任せるよ」
少なくとも私よりは、知恵もあり、交渉も上手い、エリザベートはアリオスに託した。そして彼はその期待を裏切った事もないのだ、だからそういって任せた
その後アリオスは皇帝に面会その場で
「なに?処刑するなと?」
「はい、殺しても、ただ、我々の溜飲が下がるという程度の事であまり利益には成りません」
「ではどうするのか?」
「はい、この際は我々が受けた被害を体で払ってもらいましょう、と思いましてね」
「娼婦にでもするのか?」
「いえいえ、あれはエリザベート様から聞いたところによると「スラクトキャバリテイター」という非常に稀な才能の持ち主だそうで、一生に一度見れるかどうかの魔剣みたいな娘だそうで」
「ほう‥」ここで皇帝は興味を惹いたようだ
「そこで、闘技場に出しては如何かと、何しろエリザベート様も苦戦する程の剣士。これは客が呼べると思いましてなぁ」
「フン‥いいだろう、お前の好きにしろ」と如何にも面白そうに笑う皇帝
「で、もう一人の神官戦士の娘ですが。神聖術も棒術も拳法も出来ますし頭もいいですし、更になかなか美しい是非とも私めが欲しいと思いましてな~‥‥ダメですかね?」
チラッと皇帝に懇願してみせる
それが、妙に皇帝は面白かったらしく、大笑いした後
「貴様の今回の武功の褒美が敵の女とは。全く笑える奴だ。フハハハハハ!」
「私美しい女性に目がありませんので、それは最高の褒章ですよ?」
「分かった分かった好きにしろ!」
「はは~有難き幸せ」
と丸め込んだ
「と、いう次第です」
アリオスはそうエリザベートに報告した
「全くお前という奴は‥まさかほんとに丸め込むとは‥」
「まあ、あの子らへの交渉はこれからなんですけどね‥とりあえず、殺さずには済みましたが」
「ふむ‥‥従うのかねぇ‥」
「うーん、交渉ですから‥。そうせざる得ないように出来なくはありませんけどね」
「おいおい‥追い込んで自殺でもしないだろうな?」
「さぁ‥こればかりはやってみない事には‥」
「お前な‥」
「いえ、冗談です。子供を追い込む趣味はありませんし。なるべく穏便にやりますよ」
「イマイチ信用ならんのはどうしてなんだろうな?」
その後のアリオスの行動だが。
まず拘束されているライナの元に自ら出向き牢に入った。そこには足に枷を嵌められ、床と枷に鎖が嵌められ一定の距離は動けるような拘束がされていた
「どうもライナ=ブランシュさん。アリオスと言います」
と軽い挨拶と自己紹介をした
「あなたが‥あの、五大将の?」
「そう見えないでしょう。」
「ええ」
実際アリオスはそう見えないのだからしかたない。そこそこの年齢のハズだが五大将とは思えぬ威厳の無さだ
たとえて言うなら、一日中部屋に引き篭ってる若い変人学者のような感じだ
「そういえば食事を取らないんですってね」と言って
粗末なテーブルに置かれたままの食事。その席に座り、アリオスはそれを3口程食べた
「毒は入ってませんよ。どうぞ」
そんな物はいれませんよと示して見せライナは彼の対面に座ってそれを食べ始める、それでどうやら安心したらしい
「なんで殺さないの?」
「無駄な事は嫌いなんでね」
「で?どうするつもりなの」
「ええ、貴女は剣がお強いそうで。しかも若く、女性です」
「はぁ‥」
「そこで貴女を闘技場に送ってはどうかと意見がありましてね。きっと人気者になれますよ」
「殺し合いをさせるの?回りくどいわね」
「ですが儲かるんですよね」
「くだらないわね」
「ご尤もですが。そこにはいいルールがありましてね。一定数勝つと褒美として無罪放免という」
「正気?‥」
「貴女なら余裕でしょ?やってみませんか?。ここで一生過ごすよりずっと有益です」
「殺し合いが有益ね‥」
「どうせ、殆ど犯罪者や戦争罪人だらけですよ、こういっちゃなんですが、貴女もうちの兵も百は殺してますし」
「そうね‥今更か‥」
「ついでですが。もう一人の子も悪い様にはしません。それでどうでしょうね」
「別にお願いしなくてもいいんじゃない、立場はそっちが上なんだし」
「まあ、そうなんですが。手抜きされてあっさり死なれても困るのでね」
「なるほど、納得。私が勝つ内はイリアも無事って認識でいいのね?」
「はい、そう思って貰って結構です」
「分かった全力を尽くすわ」
「ありがとうございます」
「それで、イリアの処遇は」
「これから交渉ですが。牢に置いても外に置いても、恨みに思う者も居るかもしれませんので私のお付きの近衛という事にします。それなら誰も文句はありますまいし殺されはしないでしょう」
「イマイチ信用ならないわね」
「ハハハ、エリザベート様にもさっき言われましたよ。何なら誓約書でも書きましょうか?」
「もういいわ‥どうせ選択権は無いんだし‥」
「じゃあ私の部下にというのも‥」
「それなら今すぐ此処で死ぬわ」
「ですよね」
続けてアリオスはイリアと会談する、彼女を牢から出して、身だしなみを整え、自分の部屋に招いての話し合いである
「と、いう訳でして、イリアさんは私の近衛として働いて貰いたいのですが」
「普通に開放してくれればいいのではないですか?。捕虜交換とかで」
「そうなんですがね、向こうは国じゃありませんしねぇ‥貴女達は主力メンバーという扱いにこっちではなってまして。公開処刑にしろ、て意見が出るくらいでして‥」
「普通に隊員の一人なんですけどね‥」
「ええ、分かっていますが。こっちから見たらそうでは無いんですよ」
「はあ‥」
「それに捕虜の解放と言っても賠償金額も金千くらいに成りますし。それに見合う捕虜なんて何人分なんですかね、そもそもあの傭兵団にそんな金だせないでしょう。それくらいの扱いに成ってるんですよ草原の傭兵団の主力メンバー、という名前は」
「千ですか!?」
「ええ、最低ね。それくらい出さないとこっちの兵や将、皇帝が納得しないでしょう、そういう扱いの人を私の一存で何も無しで開放すると私が殺されますしねぇ」
「死ねばいいじゃないですか‥」ボソ
「さらっと酷い事言いますね‥」
「じゃあ、逃亡とか‥」
「それも私の管理能力を問われますが‥ついでにエリザベート様も。そもそもかなりのベルフ領土を通って逃げる事に成りますよ」
「何でそもそも、私が貴方の部下になんか‥」
「そんなに嫌ですかね‥」
「だって、平和を壊す悪の組織みたいなものですし。いえ、世間一般的な見解ですけど」
「そういわれるとそうなんですけどね」
「けど‥」
イリアにも選択の余地は無かったのかもしれない。けど「生きてさえ居れば」という思いもたしかにあったと同時に少なからず、自分達を処刑させないように動いた彼に多少なりとも感謝はあった、だから
「分かりました、受けます、死ぬよりはマシですし」
「ありがとうございます、ただ、仕事はちゃんとしてくださいね」
「はあ、具体的にどういう‥。」
「そうですね、貴女は学があるようなので内政的な事務関係でしょうか、占領作戦とか御嫌でしょう? まあ、私はそういうのには殆ど呼ばれませんが。後はまあ、近衛ですから護衛をてきとーに、武に置いてもなかなかと聞いていますし」
「‥それなら」
「よろしく頼みます」
アリオスは呼び鈴を軽く鳴らした
それを聴き一人の女性が部屋に入る
「はい、アリオス様」
「ああ、キョウカさん、イリアさんの荷物と武器を、あと基礎的な事のお勉強と彼女に部屋を」
「はい」と言ってその女性は下がった
「キョウカ?どこかで聞いたような‥」
「まあ、本名ではありませんけどね。いわゆるコードネームってやつです、古代の花から取ってありますね」
「ああ‥それで」
キョウカは再び部屋に戻り、イリアの武具や所持品を足元に置いた「では、外でお待ちします」
部屋を出るキョウカ、それを確認してからイリアは
「ところで‥ライナに会うことは‥?」
「流石にそれは‥。いえ、出立の時に姿くらいは確認できましょう‥一応やってみます」
ライナもイリアも二人の若さと、能力を惜しんだエリザベートとアリオスの工作で生き長らえる事になる。
尤も、アリオスにはもう一つ別の理由があったが‥それはまた後の話という事になる
第二次大陸戦争も3年目に達する時、ライナ17歳までの出来事であった
一連の報告を聞いた後、死体と負傷者の回収の指示を出し撤収の準備を始める。本当はそっとして置きたい心境だったがクリスに声を掛けた
「フラウベルトの軍が逃れた者の保護に軍を出してきました。今は疲れているでしょうが、戻りましょう」と
クリスは黙ってうなずいた。その次に呟いた 「なんて戦いだ‥」と
ベルフ側。死者128人、負傷225、小規模戦闘の追撃戦として前代未聞の被害である。まさに「なんて戦いだ」である
一方傭兵団は死者3 負傷77.「戦えた者」全員が負傷か死亡という悲惨な結果である
その後、フラウベルトの出した援護軍に庇護され傭兵団の殆どがそのままフラウベルト側に向かった中立地域とクルベルの境界線手前でショット、バレンティア、ロックは残りの3人を日が暮れてもずっと待ったが、誰も帰らなかった
夜になって全身、自分と斬った相手の返り血で真っ赤になったクイックがフラフラと現れる
3人は今にも倒れそうな彼を支え、張ったテントに連れ治療した
そこで一連の事情を聴く事となる
ショットはクイックを殴り飛ばしそうな勢いで「お前が!‥」と言いかけ そこで止まった
クイックは全身傷だらけの血だらけ、弓も矢もナイフも使うべき全ての武器を失ってあらゆる手段を尽くして今に至っているのである。誰が彼を咎められようか、それを想像してショットは冷静になった
「そうか、イリアとライナは捕まったか‥」とだけ言った
「向こうは、俺の狙いを看破したようだ‥エリザベートの弟クリスとか言ったか‥たぶん元同業者だな俺の見通しの甘さだ‥すまん」とクイックは謝罪を述べた
「貴方は味方の被害を最小限に留める策を打ったわ、間違いではないハズよ」
「皆、フラウベルトに行くようです‥僕らも行きましょう」
バレンティアとロックは言ったが‥捕まった二人はどうなるのか?等彼らからは言えなかった、想像したくもない事だがクイックはそれを察してか
「可能性は五分五分だが‥殺さんかもしれん‥」
「え?!」
「殺すつもり。なら他にやりようはあるはず‥向こうもそこまで被害を出す意味がない攻撃も全て、頭から下を狙っていた‥弓も出さぬし」
「初めから僕らを捕らえるのが目的?!」
「なんでだよ‥」
「わからぬ‥が、あるとしたら‥。自分の手駒にするかだろう」
「エリザベートの指示かしら‥」
「ありうるな。」
「自分と戦える武芸者や将にやたら固執気味でしたし」
「けど、イリアやライナがそれを受け入れるかな」
「つまんねー意地張らないでそうしてくれりゃいいけどな‥生きてりゃまた、どっかで会える。それが敵でもいいさ‥」
「ショット‥」と他の3人は同時に言った
皆気持ちは同じだったかもしれない
それから一月後、傭兵団はフラウベルトに雇われる事となる。彼らの勇名は多くの者が知っていたのだから当然かもしれない
だが、その中。残った年少隊の4人は別れる事となる、もう年少ではないが
「悪いな、俺は無能な国に雇われるのも負け戦も、もう沢山だ。」と言ってショットは団を抜け、単身旅立つ
傷が癒えたクイックも
「俺はライナとイリアのその後を追う、一人の方が潜入するにも動き易いんでね」そう彼は言い残し出て行った
「僕は他にアテも無いしここに残りますよ」
「私も残るわ、フリットには借り貸しがあるし。行くとこもないし」
結局ロックとバレンティアだけは団に残る事になる
一方、ライナとイリアは手当てと休息を受けながらもアリオス、エリザベートらに移送されてベルフ本国の王都の牢で過ごす事になる
エリザベートとアリオスは二人の対応を協議したが
エリザベートは処刑をすべきでないと思っていたが、陛下次第だろうとやや沈んだ感じだった。アリオスも同意見である
「出来れば私の元に欲しいが‥従わんだろうな‥」
「流石にあの赤髪の子は‥認めさせるのは難しいでしょうな‥ずっとおっかない眼をしてますし」
「ならせめて、殺さぬようにしたいが」
「うーん、そうですねぇ‥単に処刑を避けるだけなら‥ええ」
「あの二人は私に任せてくれませんかね?」言ってアリオスは以降の事を任せるように頼んだ
「何か策があるのか、お前がそう言うからには」
「ええ、まあ、それを認めされるくらいの貯金はありますから」
「陛下にでも?」
「と、いうより、得意の口八丁で何とかして見せますよ」と笑って返した
「いい手が私では何も浮かばん、お前に任せるよ」
少なくとも私よりは、知恵もあり、交渉も上手い、エリザベートはアリオスに託した。そして彼はその期待を裏切った事もないのだ、だからそういって任せた
その後アリオスは皇帝に面会その場で
「なに?処刑するなと?」
「はい、殺しても、ただ、我々の溜飲が下がるという程度の事であまり利益には成りません」
「ではどうするのか?」
「はい、この際は我々が受けた被害を体で払ってもらいましょう、と思いましてね」
「娼婦にでもするのか?」
「いえいえ、あれはエリザベート様から聞いたところによると「スラクトキャバリテイター」という非常に稀な才能の持ち主だそうで、一生に一度見れるかどうかの魔剣みたいな娘だそうで」
「ほう‥」ここで皇帝は興味を惹いたようだ
「そこで、闘技場に出しては如何かと、何しろエリザベート様も苦戦する程の剣士。これは客が呼べると思いましてなぁ」
「フン‥いいだろう、お前の好きにしろ」と如何にも面白そうに笑う皇帝
「で、もう一人の神官戦士の娘ですが。神聖術も棒術も拳法も出来ますし頭もいいですし、更になかなか美しい是非とも私めが欲しいと思いましてな~‥‥ダメですかね?」
チラッと皇帝に懇願してみせる
それが、妙に皇帝は面白かったらしく、大笑いした後
「貴様の今回の武功の褒美が敵の女とは。全く笑える奴だ。フハハハハハ!」
「私美しい女性に目がありませんので、それは最高の褒章ですよ?」
「分かった分かった好きにしろ!」
「はは~有難き幸せ」
と丸め込んだ
「と、いう次第です」
アリオスはそうエリザベートに報告した
「全くお前という奴は‥まさかほんとに丸め込むとは‥」
「まあ、あの子らへの交渉はこれからなんですけどね‥とりあえず、殺さずには済みましたが」
「ふむ‥‥従うのかねぇ‥」
「うーん、交渉ですから‥。そうせざる得ないように出来なくはありませんけどね」
「おいおい‥追い込んで自殺でもしないだろうな?」
「さぁ‥こればかりはやってみない事には‥」
「お前な‥」
「いえ、冗談です。子供を追い込む趣味はありませんし。なるべく穏便にやりますよ」
「イマイチ信用ならんのはどうしてなんだろうな?」
その後のアリオスの行動だが。
まず拘束されているライナの元に自ら出向き牢に入った。そこには足に枷を嵌められ、床と枷に鎖が嵌められ一定の距離は動けるような拘束がされていた
「どうもライナ=ブランシュさん。アリオスと言います」
と軽い挨拶と自己紹介をした
「あなたが‥あの、五大将の?」
「そう見えないでしょう。」
「ええ」
実際アリオスはそう見えないのだからしかたない。そこそこの年齢のハズだが五大将とは思えぬ威厳の無さだ
たとえて言うなら、一日中部屋に引き篭ってる若い変人学者のような感じだ
「そういえば食事を取らないんですってね」と言って
粗末なテーブルに置かれたままの食事。その席に座り、アリオスはそれを3口程食べた
「毒は入ってませんよ。どうぞ」
そんな物はいれませんよと示して見せライナは彼の対面に座ってそれを食べ始める、それでどうやら安心したらしい
「なんで殺さないの?」
「無駄な事は嫌いなんでね」
「で?どうするつもりなの」
「ええ、貴女は剣がお強いそうで。しかも若く、女性です」
「はぁ‥」
「そこで貴女を闘技場に送ってはどうかと意見がありましてね。きっと人気者になれますよ」
「殺し合いをさせるの?回りくどいわね」
「ですが儲かるんですよね」
「くだらないわね」
「ご尤もですが。そこにはいいルールがありましてね。一定数勝つと褒美として無罪放免という」
「正気?‥」
「貴女なら余裕でしょ?やってみませんか?。ここで一生過ごすよりずっと有益です」
「殺し合いが有益ね‥」
「どうせ、殆ど犯罪者や戦争罪人だらけですよ、こういっちゃなんですが、貴女もうちの兵も百は殺してますし」
「そうね‥今更か‥」
「ついでですが。もう一人の子も悪い様にはしません。それでどうでしょうね」
「別にお願いしなくてもいいんじゃない、立場はそっちが上なんだし」
「まあ、そうなんですが。手抜きされてあっさり死なれても困るのでね」
「なるほど、納得。私が勝つ内はイリアも無事って認識でいいのね?」
「はい、そう思って貰って結構です」
「分かった全力を尽くすわ」
「ありがとうございます」
「それで、イリアの処遇は」
「これから交渉ですが。牢に置いても外に置いても、恨みに思う者も居るかもしれませんので私のお付きの近衛という事にします。それなら誰も文句はありますまいし殺されはしないでしょう」
「イマイチ信用ならないわね」
「ハハハ、エリザベート様にもさっき言われましたよ。何なら誓約書でも書きましょうか?」
「もういいわ‥どうせ選択権は無いんだし‥」
「じゃあ私の部下にというのも‥」
「それなら今すぐ此処で死ぬわ」
「ですよね」
続けてアリオスはイリアと会談する、彼女を牢から出して、身だしなみを整え、自分の部屋に招いての話し合いである
「と、いう訳でして、イリアさんは私の近衛として働いて貰いたいのですが」
「普通に開放してくれればいいのではないですか?。捕虜交換とかで」
「そうなんですがね、向こうは国じゃありませんしねぇ‥貴女達は主力メンバーという扱いにこっちではなってまして。公開処刑にしろ、て意見が出るくらいでして‥」
「普通に隊員の一人なんですけどね‥」
「ええ、分かっていますが。こっちから見たらそうでは無いんですよ」
「はあ‥」
「それに捕虜の解放と言っても賠償金額も金千くらいに成りますし。それに見合う捕虜なんて何人分なんですかね、そもそもあの傭兵団にそんな金だせないでしょう。それくらいの扱いに成ってるんですよ草原の傭兵団の主力メンバー、という名前は」
「千ですか!?」
「ええ、最低ね。それくらい出さないとこっちの兵や将、皇帝が納得しないでしょう、そういう扱いの人を私の一存で何も無しで開放すると私が殺されますしねぇ」
「死ねばいいじゃないですか‥」ボソ
「さらっと酷い事言いますね‥」
「じゃあ、逃亡とか‥」
「それも私の管理能力を問われますが‥ついでにエリザベート様も。そもそもかなりのベルフ領土を通って逃げる事に成りますよ」
「何でそもそも、私が貴方の部下になんか‥」
「そんなに嫌ですかね‥」
「だって、平和を壊す悪の組織みたいなものですし。いえ、世間一般的な見解ですけど」
「そういわれるとそうなんですけどね」
「けど‥」
イリアにも選択の余地は無かったのかもしれない。けど「生きてさえ居れば」という思いもたしかにあったと同時に少なからず、自分達を処刑させないように動いた彼に多少なりとも感謝はあった、だから
「分かりました、受けます、死ぬよりはマシですし」
「ありがとうございます、ただ、仕事はちゃんとしてくださいね」
「はあ、具体的にどういう‥。」
「そうですね、貴女は学があるようなので内政的な事務関係でしょうか、占領作戦とか御嫌でしょう? まあ、私はそういうのには殆ど呼ばれませんが。後はまあ、近衛ですから護衛をてきとーに、武に置いてもなかなかと聞いていますし」
「‥それなら」
「よろしく頼みます」
アリオスは呼び鈴を軽く鳴らした
それを聴き一人の女性が部屋に入る
「はい、アリオス様」
「ああ、キョウカさん、イリアさんの荷物と武器を、あと基礎的な事のお勉強と彼女に部屋を」
「はい」と言ってその女性は下がった
「キョウカ?どこかで聞いたような‥」
「まあ、本名ではありませんけどね。いわゆるコードネームってやつです、古代の花から取ってありますね」
「ああ‥それで」
キョウカは再び部屋に戻り、イリアの武具や所持品を足元に置いた「では、外でお待ちします」
部屋を出るキョウカ、それを確認してからイリアは
「ところで‥ライナに会うことは‥?」
「流石にそれは‥。いえ、出立の時に姿くらいは確認できましょう‥一応やってみます」
ライナもイリアも二人の若さと、能力を惜しんだエリザベートとアリオスの工作で生き長らえる事になる。
尤も、アリオスにはもう一つ別の理由があったが‥それはまた後の話という事になる
第二次大陸戦争も3年目に達する時、ライナ17歳までの出来事であった
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