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覇者の結末
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東軍が再編から軍を整え進軍を始めたのが五日後
これに一日遅れで後ろから連合側の各将と軍が動き、更に其の後をフォレスらが動く事と成った、先行の攻め側は特に策や相手軍と交わすことも無くすんなり進む。
これはテスネア側が首都周辺の防衛に切り替えた事。既に打つ手無く、残り兵力を集めて戦うしか無い状況であった為で、先の火計作戦が反撃撃滅の最後の手段であった
連合側からしても焦る理由も無く、首都周りを半包囲の形を悠然と囲み、その場で睨み合いと成った、即時開戦にならない理由も単純
フォレスらの要請もあり、連合側と北、東軍が揃うまで待ってからと言うこと、ここで全軍揃った所で最後の告知を行う
「大勢は決している、降伏せよ」
という事だ、無論テスネア側は受けぬが、アデルと周囲とで意見は割れる
この現状にあって戦う意味も殆ど無いし、戦況が覆る事も無い、無駄に死傷者が出るだけの事だ、彼の重臣らも勿論。勧告を受け入れるべきだろうと見解を示すが君主は受けなかった
それは腹心でもあるトーラもベステックも受けるべき或いは、別の手段を講じるべきとした
「陛下、今連合と戦っても得る物はありません」
「馬鹿げた事を‥、国を明渡せとでも云うか」
「どうしても戦うとならば否定はしません、が、陛下はお逃げください」
「それも馬鹿げた話だ、どこへ逃れろと言う」
「世界は連合の物ではありません、連合に反する者と共同して‥其の時期まで、御身を残されるべきです」
「残してどうなるモノでも無い、無意味だ」
「しかし‥」
と、聞き入れる事は最後まで無かった。
もう、彼も、既に正常な判断力が無かったのかも知れない
一方でベステックは王の判断が「戦う」ならそれでも良いとした
「戦うと仰るなら戦うまで、オレの武力でどこまで噛み砕けるか試すのも悪くない」
「勝ち目があるとでも思うのか?」
「有る無しの話ではない、これ程の戦いなら納得して剣を振るえる、それだけの事だ」
「武人の教示か」
「‥そうとも云える、俺が残せるとしたらそれくらいだ」
既に彼にとっては「結果は分っている」事であり、その上で、陛下に従う、そして自身の力を使い、示すが「自身に出来る事」とした
トーラの助言はあくまで現実を見た上で再起、次の為の「御身を保たれるべし」とし、ベステックの判断は「陛下に従う」とした上ので自身の身の振り方であった
勧告を受けず、の判断と通知をテスネア側から返され、受けた連合側も反応は其々だった、同時、ここまで来て受けるとも思わなかったのも事実、故、驚きは無かった
ただ「無意味な」としか思わない
それだけに、この戦い自体も当初の方針に任せた、首都攻略を北、東の参戦軍に任せて連合側は傍観の姿勢、これは、フォレスと東とで交された書の面もある、最後の美味しい部分は譲ると既に書かれている為だ
テスネアの首都決戦は告知が断られた時点で即時開戦と成った、只管攻め側が攻城兵器、遠距離での弓と正面城下門の突破戦
余計な策が必要な段階でも無く、非常に単純な戦いと成った、一方で後方観戦と成ったフォレスらはそうも行かない。自身らの用意を整え、その時を待つ
「こちらの用意は出来ております」
「クロスらは城下を突破すると同時、後詰だな」
「はっ」
「で、オレらは先に後ろから行く」
「お気をつけて」
「ああ」
フォレスら、アノミアとターニャも先行してテスネア側に侵入を図る
実戦場については、これを突破と同時、城下、城での戦いも予想される為。主軍に合わせてロベルタの近衛は追従
万が一の「陰謀」の取り逃がしも不味い為、そういう形が取られるが。確率的には低いと考えられる
首都決戦で勝つということは既に回り敵だらけの状況であるから。そこから逃走を図るというのも難しいが。その為の手段も用意されている事もありえる。逃走経路は潰しておく方が良い
ただ、実際の首都決戦は連合側が圧倒的優位もあって
半日で城下街門の突破が成される
ここで北、東連合軍が主導して街になだれ込むがテスネア側は最後まで抵抗を続ける、街の中央を直線に貫く石畳の城までの道の中央にリバースクロスと精鋭の彼の軍が立ちはだかる
翌、早朝には街の中での中央広場での総軍のぶつかり合いと成った
ベステックも「ここが最後」と決めて掛かり、自軍残り三万と、城とアデルを守る為に一歩も引かず、その場で戦い続けた
早朝から正午までの戦いで「前」を任された東、北軍の、凡そ3倍の敵を全て一歩も進ませず、自軍手勢のみで叩き返した、攻め側にとっても驚きしかない
万の軍を展開する程の広さがなく、狭い通路、精々横に30人並べるかの道幅なのもあるが、六時間の戦闘で単身軍で敵を六千も打ち倒して後退させたのである、ここで攻め手の無くなった北、東合同軍も睨み合いから動けずと成った
「私らがやるしか無いだろうな」とエミリアも前の友軍に告知して引かせる
そしてエミリアは自軍手勢二万と譲り受けた鉄騎馬の部隊と共に前に出る、が、突破戦、等挑まなかった
それは武人の心意気と決死の覚悟を理解した為でもある、部隊のみを持って前に出て、其の最前線に真紅の鎧を纏って出、堂々と呼びかけた
「グランセルナ連合軍、主将、司令官のエミリア=ベリオールだ貴官の思いは理解しているつもりだ、無意味な消耗戦を行わず部隊のみの戦力を持って、事を決したい!」
無論、ここで断る判断も無い。
彼は守りたい訳では無い、自己を示すだけなのだ
「テスネアの主将、ベステックだ、ならば応じよう」として、一人、前に出た
「一騎打ち、か、よかろう!」
「是非もなし」
そうした理由も問いかけも瞬時に理解した
「この防衛戦は、オレ個人の意地でしかない、向こうが其の舞台を提供するというなら、死ぬのはオレだけで良い」だ
このエミリア対ベステックの個人戦は丁度街の中央広場で正に舞台と成った、が、遊びでも魅せでもない、最初から最後まで全力の打ち合いである
そして勝ち負け等どうでも良かった、互いに ただ、全力を出す、それだけ、多くの将兵が囲む中大陸最強を決める戦いと言えるだろう、一三分、この一騎打ちは続く
「やるな!」
「貴様こそ!」
二人の剣技、実力も互角であった、その十三分の後、差が付く。残念ながら純粋な「剣技」以外の所で
ベステックはこの時間過ぎから動きが鈍る、それは既に一戦、自軍で戦った事、手持ちの「防具」の差、つまり蓄積疲労の差である
エミリアの鎧はフォレスお手製のエンチャントの防具、極めて、固く、軽く、元々の重量負担が少ない、そしてエミリアの戦いは今が一戦目である
もう一つが、ベステックは無論全力であるが、勝ってどうなるモノでも無い、と心にあった事である、つまり、どこかで誰かに斬られるのも悪くない、勝ちへの積極性が薄かった事にある
エミリアは相手の動きが鈍った所を
ベステックの右手に持った剣を上から下に叩き落した、これで決着である
武器を失ったベステックは逆手の盾を使わず、そのまま直立で下がって最後には盾も捨ててその場に座った
「オレの負けだ、好きにしろ」
「とても対等な条件ではないなぁ‥」
「それでもオレは勝つ、つもりだった、結果こうなっただけだそれでいい‥」
「‥、そうか、が「また」やろう」
そうしめくくってエミリアは剣を納める、同時、ベステックも、片手を挙げて指示を出す
彼の後ろに控えた軍勢は一斉に武器を下ろし、武装解除の形を見せた
「せめて、オレの部下には寛大な措置を」
「話を聞いてなかったのか?「また」と言った、私の権限と名に置いて無意味な死は出さぬ、無論お前もな」
「すまぬ‥」
そのまま、エミリアが主導でベステックと彼の部隊、軍は捕虜の扱いで一応、拘束の後、後方陣に運ばれる事と成った
無論、抵抗する者等居はしないが、東、北の参戦軍も特に抗議の類はせず、連合側に譲った
そこで再びエミリアらは下がって友軍に任せる、が
本格的な城攻めの前に「事」は終る事になる
同時刻、この城下の戦いの結果を受けた本城、つまりテスネア側の閣僚の中で大きく判断が分かれた、王座に座って控えたアデルの元に集団、5人の高官と、トーラと部下3人がアデル前に並んで報告
「ベステック大将は一騎打ちを挑み敗れた模様、捕虜と成りました」
「そうか‥、アレがそうしたのなら其れでいい‥」
ここで二つの集団の意見が割れる。
まずトーラは「陛下、退去の準備は整っています、直ぐに」と、あくまで彼女はアデルを生かす事を望んで既に整えたが、それは彼女と数人の味方「だけ」だった
そしてもう一つの集団、閣僚らはこうだった
「降伏を、これ以上は無意味です」
である、しかしアデルはこれを受けなかった
「予言の王に膝を屈する判断は無い、教皇にもだ」
それで方針は決まったのである、トーラは即座に自身の配下数名とアデルを部屋へ案内、直ぐに身を整えさせ、脱出の準備をとした
が、それが果される事は無かった、アデルが私室に戻って一分もしない内に「降伏」を勧めた者達が兵と共に部屋に踏み込む、目的も理由も単純だ
「これ以上無謀な戦いに巻き込まないで頂きたい」と
つまり退去の判断を潔しとしなかった事、愚かな選択を続ける「責任者」を殺し、終らせようとした。そして、「暴君の首」を向こうへの土産にでもするつもりだったのだろう、歴史上、よくある決断である
トーラと部下の護衛は即座に剣を抜いて構えたが、王の私室といえど個人の部屋、狭い上に、相手は30、数人でどうにか成る状況でも無かった
あっという間に四方から踏み込んできた兵に組み伏せられその場に倒され、数人に圧し掛かられる
無論、それで済む訳が無い、うつ伏せに絨毯の上に倒されたまま動く事も出来ないまま、彼女は「彼」の最期を看取る事に成る
アデルは両手足を押えられ、仰向けにされる
彼を囲んだ兵は一斉に槍を突いた、五度、嫌な音と何かを吐き出した様な断末魔の悲鳴をトーラは聞いた、そう、フォレスの云う通りの結末
「覇者、独裁者は必ず最期に望まぬ死を賜る」であった
全ての事が済んだ後、外で攻城の準備を整えた連合側もソレを使う事無く、終った事を知る。テスネア本城から白旗と「降伏」の伝聞を受けたからだ、が、普通の「終った」では無かった
エミリアらは友軍の制圧兵と共に王座の間後ろのアデルの私室へ、異常事態の報告も受ける、遺骸はアデルの物だけではない。そこに踏み込んで彼を惨殺した、閣僚兵士の物、全員30有った
現場は悲惨な状況だった、死体と赤黒い血の海でアデルの物以外、バラバラ、思わずエミリアも眉を顰めて、後続の味方に
「入ってくるな!」と叫んで踏み込ませなかった程だ、自分は兎も角、メリルやハーベには見せられた物ではない
「一体何があったんだ‥」
「それがアデル王の部屋へ踏み込んだ、テスネア側の関係者、全員、惨殺との事で、我々にも意味が‥」
「見た者も居ないのか?!」
「はっ‥、退去と降伏を勧められた後、テスネアの王の部屋へ大人数で踏み込む、そこまでしか、生き残りは王座の間で遣り取りを見た、近習の者二人だけでして、それも精神に異常をきたしている様で今ひとつ、説明が‥」
「‥仕方無い、兎に角、我々は制圧しかない、北、東軍に書いたし事態を説明して、任せる」
「はっ‥」
そこで連合側の一同はそのまま、城の確保を友軍に任せ自分らは護衛兵とメリルらを率いて、内容を説明しながらフォレスに伝心を飛ばした
「把握した。今、逃れた相手を探している」
「どういう事だ?!」
「現場を見た訳じゃないが、強力な魔力と同時、城から出た者が居る、それを追う、既にこっちの部隊を展開してる」
「一体誰が‥」
「聞くまでも無かろう?もう向こう側で残っている、姿が見えぬ高官は一人しかおるまい?」
「‥そっか」
「予測だが、アデルが味方の手で殺された、そこで召喚を使って裏切り者を全員殺した、当人は逃走、こんな所だろう」
「任せていいんだな?」
「ああ‥こっちは専門家20人居る、見つけるのは難しくない」
「分った、我々は外の陣で待機する」
「うむ」
そう交わして、其々動いた
これに一日遅れで後ろから連合側の各将と軍が動き、更に其の後をフォレスらが動く事と成った、先行の攻め側は特に策や相手軍と交わすことも無くすんなり進む。
これはテスネア側が首都周辺の防衛に切り替えた事。既に打つ手無く、残り兵力を集めて戦うしか無い状況であった為で、先の火計作戦が反撃撃滅の最後の手段であった
連合側からしても焦る理由も無く、首都周りを半包囲の形を悠然と囲み、その場で睨み合いと成った、即時開戦にならない理由も単純
フォレスらの要請もあり、連合側と北、東軍が揃うまで待ってからと言うこと、ここで全軍揃った所で最後の告知を行う
「大勢は決している、降伏せよ」
という事だ、無論テスネア側は受けぬが、アデルと周囲とで意見は割れる
この現状にあって戦う意味も殆ど無いし、戦況が覆る事も無い、無駄に死傷者が出るだけの事だ、彼の重臣らも勿論。勧告を受け入れるべきだろうと見解を示すが君主は受けなかった
それは腹心でもあるトーラもベステックも受けるべき或いは、別の手段を講じるべきとした
「陛下、今連合と戦っても得る物はありません」
「馬鹿げた事を‥、国を明渡せとでも云うか」
「どうしても戦うとならば否定はしません、が、陛下はお逃げください」
「それも馬鹿げた話だ、どこへ逃れろと言う」
「世界は連合の物ではありません、連合に反する者と共同して‥其の時期まで、御身を残されるべきです」
「残してどうなるモノでも無い、無意味だ」
「しかし‥」
と、聞き入れる事は最後まで無かった。
もう、彼も、既に正常な判断力が無かったのかも知れない
一方でベステックは王の判断が「戦う」ならそれでも良いとした
「戦うと仰るなら戦うまで、オレの武力でどこまで噛み砕けるか試すのも悪くない」
「勝ち目があるとでも思うのか?」
「有る無しの話ではない、これ程の戦いなら納得して剣を振るえる、それだけの事だ」
「武人の教示か」
「‥そうとも云える、俺が残せるとしたらそれくらいだ」
既に彼にとっては「結果は分っている」事であり、その上で、陛下に従う、そして自身の力を使い、示すが「自身に出来る事」とした
トーラの助言はあくまで現実を見た上で再起、次の為の「御身を保たれるべし」とし、ベステックの判断は「陛下に従う」とした上ので自身の身の振り方であった
勧告を受けず、の判断と通知をテスネア側から返され、受けた連合側も反応は其々だった、同時、ここまで来て受けるとも思わなかったのも事実、故、驚きは無かった
ただ「無意味な」としか思わない
それだけに、この戦い自体も当初の方針に任せた、首都攻略を北、東の参戦軍に任せて連合側は傍観の姿勢、これは、フォレスと東とで交された書の面もある、最後の美味しい部分は譲ると既に書かれている為だ
テスネアの首都決戦は告知が断られた時点で即時開戦と成った、只管攻め側が攻城兵器、遠距離での弓と正面城下門の突破戦
余計な策が必要な段階でも無く、非常に単純な戦いと成った、一方で後方観戦と成ったフォレスらはそうも行かない。自身らの用意を整え、その時を待つ
「こちらの用意は出来ております」
「クロスらは城下を突破すると同時、後詰だな」
「はっ」
「で、オレらは先に後ろから行く」
「お気をつけて」
「ああ」
フォレスら、アノミアとターニャも先行してテスネア側に侵入を図る
実戦場については、これを突破と同時、城下、城での戦いも予想される為。主軍に合わせてロベルタの近衛は追従
万が一の「陰謀」の取り逃がしも不味い為、そういう形が取られるが。確率的には低いと考えられる
首都決戦で勝つということは既に回り敵だらけの状況であるから。そこから逃走を図るというのも難しいが。その為の手段も用意されている事もありえる。逃走経路は潰しておく方が良い
ただ、実際の首都決戦は連合側が圧倒的優位もあって
半日で城下街門の突破が成される
ここで北、東連合軍が主導して街になだれ込むがテスネア側は最後まで抵抗を続ける、街の中央を直線に貫く石畳の城までの道の中央にリバースクロスと精鋭の彼の軍が立ちはだかる
翌、早朝には街の中での中央広場での総軍のぶつかり合いと成った
ベステックも「ここが最後」と決めて掛かり、自軍残り三万と、城とアデルを守る為に一歩も引かず、その場で戦い続けた
早朝から正午までの戦いで「前」を任された東、北軍の、凡そ3倍の敵を全て一歩も進ませず、自軍手勢のみで叩き返した、攻め側にとっても驚きしかない
万の軍を展開する程の広さがなく、狭い通路、精々横に30人並べるかの道幅なのもあるが、六時間の戦闘で単身軍で敵を六千も打ち倒して後退させたのである、ここで攻め手の無くなった北、東合同軍も睨み合いから動けずと成った
「私らがやるしか無いだろうな」とエミリアも前の友軍に告知して引かせる
そしてエミリアは自軍手勢二万と譲り受けた鉄騎馬の部隊と共に前に出る、が、突破戦、等挑まなかった
それは武人の心意気と決死の覚悟を理解した為でもある、部隊のみを持って前に出て、其の最前線に真紅の鎧を纏って出、堂々と呼びかけた
「グランセルナ連合軍、主将、司令官のエミリア=ベリオールだ貴官の思いは理解しているつもりだ、無意味な消耗戦を行わず部隊のみの戦力を持って、事を決したい!」
無論、ここで断る判断も無い。
彼は守りたい訳では無い、自己を示すだけなのだ
「テスネアの主将、ベステックだ、ならば応じよう」として、一人、前に出た
「一騎打ち、か、よかろう!」
「是非もなし」
そうした理由も問いかけも瞬時に理解した
「この防衛戦は、オレ個人の意地でしかない、向こうが其の舞台を提供するというなら、死ぬのはオレだけで良い」だ
このエミリア対ベステックの個人戦は丁度街の中央広場で正に舞台と成った、が、遊びでも魅せでもない、最初から最後まで全力の打ち合いである
そして勝ち負け等どうでも良かった、互いに ただ、全力を出す、それだけ、多くの将兵が囲む中大陸最強を決める戦いと言えるだろう、一三分、この一騎打ちは続く
「やるな!」
「貴様こそ!」
二人の剣技、実力も互角であった、その十三分の後、差が付く。残念ながら純粋な「剣技」以外の所で
ベステックはこの時間過ぎから動きが鈍る、それは既に一戦、自軍で戦った事、手持ちの「防具」の差、つまり蓄積疲労の差である
エミリアの鎧はフォレスお手製のエンチャントの防具、極めて、固く、軽く、元々の重量負担が少ない、そしてエミリアの戦いは今が一戦目である
もう一つが、ベステックは無論全力であるが、勝ってどうなるモノでも無い、と心にあった事である、つまり、どこかで誰かに斬られるのも悪くない、勝ちへの積極性が薄かった事にある
エミリアは相手の動きが鈍った所を
ベステックの右手に持った剣を上から下に叩き落した、これで決着である
武器を失ったベステックは逆手の盾を使わず、そのまま直立で下がって最後には盾も捨ててその場に座った
「オレの負けだ、好きにしろ」
「とても対等な条件ではないなぁ‥」
「それでもオレは勝つ、つもりだった、結果こうなっただけだそれでいい‥」
「‥、そうか、が「また」やろう」
そうしめくくってエミリアは剣を納める、同時、ベステックも、片手を挙げて指示を出す
彼の後ろに控えた軍勢は一斉に武器を下ろし、武装解除の形を見せた
「せめて、オレの部下には寛大な措置を」
「話を聞いてなかったのか?「また」と言った、私の権限と名に置いて無意味な死は出さぬ、無論お前もな」
「すまぬ‥」
そのまま、エミリアが主導でベステックと彼の部隊、軍は捕虜の扱いで一応、拘束の後、後方陣に運ばれる事と成った
無論、抵抗する者等居はしないが、東、北の参戦軍も特に抗議の類はせず、連合側に譲った
そこで再びエミリアらは下がって友軍に任せる、が
本格的な城攻めの前に「事」は終る事になる
同時刻、この城下の戦いの結果を受けた本城、つまりテスネア側の閣僚の中で大きく判断が分かれた、王座に座って控えたアデルの元に集団、5人の高官と、トーラと部下3人がアデル前に並んで報告
「ベステック大将は一騎打ちを挑み敗れた模様、捕虜と成りました」
「そうか‥、アレがそうしたのなら其れでいい‥」
ここで二つの集団の意見が割れる。
まずトーラは「陛下、退去の準備は整っています、直ぐに」と、あくまで彼女はアデルを生かす事を望んで既に整えたが、それは彼女と数人の味方「だけ」だった
そしてもう一つの集団、閣僚らはこうだった
「降伏を、これ以上は無意味です」
である、しかしアデルはこれを受けなかった
「予言の王に膝を屈する判断は無い、教皇にもだ」
それで方針は決まったのである、トーラは即座に自身の配下数名とアデルを部屋へ案内、直ぐに身を整えさせ、脱出の準備をとした
が、それが果される事は無かった、アデルが私室に戻って一分もしない内に「降伏」を勧めた者達が兵と共に部屋に踏み込む、目的も理由も単純だ
「これ以上無謀な戦いに巻き込まないで頂きたい」と
つまり退去の判断を潔しとしなかった事、愚かな選択を続ける「責任者」を殺し、終らせようとした。そして、「暴君の首」を向こうへの土産にでもするつもりだったのだろう、歴史上、よくある決断である
トーラと部下の護衛は即座に剣を抜いて構えたが、王の私室といえど個人の部屋、狭い上に、相手は30、数人でどうにか成る状況でも無かった
あっという間に四方から踏み込んできた兵に組み伏せられその場に倒され、数人に圧し掛かられる
無論、それで済む訳が無い、うつ伏せに絨毯の上に倒されたまま動く事も出来ないまま、彼女は「彼」の最期を看取る事に成る
アデルは両手足を押えられ、仰向けにされる
彼を囲んだ兵は一斉に槍を突いた、五度、嫌な音と何かを吐き出した様な断末魔の悲鳴をトーラは聞いた、そう、フォレスの云う通りの結末
「覇者、独裁者は必ず最期に望まぬ死を賜る」であった
全ての事が済んだ後、外で攻城の準備を整えた連合側もソレを使う事無く、終った事を知る。テスネア本城から白旗と「降伏」の伝聞を受けたからだ、が、普通の「終った」では無かった
エミリアらは友軍の制圧兵と共に王座の間後ろのアデルの私室へ、異常事態の報告も受ける、遺骸はアデルの物だけではない。そこに踏み込んで彼を惨殺した、閣僚兵士の物、全員30有った
現場は悲惨な状況だった、死体と赤黒い血の海でアデルの物以外、バラバラ、思わずエミリアも眉を顰めて、後続の味方に
「入ってくるな!」と叫んで踏み込ませなかった程だ、自分は兎も角、メリルやハーベには見せられた物ではない
「一体何があったんだ‥」
「それがアデル王の部屋へ踏み込んだ、テスネア側の関係者、全員、惨殺との事で、我々にも意味が‥」
「見た者も居ないのか?!」
「はっ‥、退去と降伏を勧められた後、テスネアの王の部屋へ大人数で踏み込む、そこまでしか、生き残りは王座の間で遣り取りを見た、近習の者二人だけでして、それも精神に異常をきたしている様で今ひとつ、説明が‥」
「‥仕方無い、兎に角、我々は制圧しかない、北、東軍に書いたし事態を説明して、任せる」
「はっ‥」
そこで連合側の一同はそのまま、城の確保を友軍に任せ自分らは護衛兵とメリルらを率いて、内容を説明しながらフォレスに伝心を飛ばした
「把握した。今、逃れた相手を探している」
「どういう事だ?!」
「現場を見た訳じゃないが、強力な魔力と同時、城から出た者が居る、それを追う、既にこっちの部隊を展開してる」
「一体誰が‥」
「聞くまでも無かろう?もう向こう側で残っている、姿が見えぬ高官は一人しかおるまい?」
「‥そっか」
「予測だが、アデルが味方の手で殺された、そこで召喚を使って裏切り者を全員殺した、当人は逃走、こんな所だろう」
「任せていいんだな?」
「ああ‥こっちは専門家20人居る、見つけるのは難しくない」
「分った、我々は外の陣で待機する」
「うむ」
そう交わして、其々動いた
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【AIの使用について】
本作は執筆補助ツールとして生成AIを使用しています。
主な用途は「誤字脱字のチェック」「表現の推敲」「壁打ち(アイデア出しの補助)」です。
ストーリー構成および本文の執筆は作者自身が行っております。
魔道具は歌う~パーティ追放後に最高ランクになった俺を幼馴染は信じない。後で気づいてももう遅い、今まで支えてくれた人達がいるから~
喰寝丸太
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異世界転生者シナグルのスキルは傾聴。
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幼馴染と加入したパーティを追放され、魔道具に出会うまでは。
魔道具の秘密を解き明かしたシナグルは、魔道具職人と冒険者でSSSランクに登り詰めるのだった。
そして再び出会う幼馴染。
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もういい。
密かにやってた支援も打ち切る。
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女神の白刃
玉椿 沢
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どこかの世界の、いつかの時代。
その世界の戦争は、ある遺跡群から出現した剣により、大きく姿を変えた。
女の身体を鞘とする剣は、魔力を収束、発振する兵器。
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大戦より数年後、まだ治まったとはいえない世界で、未だ剣士は剣を求め、奪い合っていた。
魔物が出ようと、町も村も知った事かと剣を求める愚かな世界で、赤茶けた大地を畑や町に、煤けた顔を笑顔に変えたいという脳天気な一団が現れる。
*表紙絵は五月七日ヤマネコさん(@yamanekolynx_2)の作品です*
うちの冷蔵庫がダンジョンになった
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一二三大賞3:コミカライズ賞受賞
ある日の事、突然世界中にモンスターの跋扈するダンジョンが現れたことで人々は戦慄。
そんななかしがないサラリーマンの住むアパートに置かれた古びた2ドア冷蔵庫もまた、なぜかダンジョンと繋がってしまう。部屋の借主である男は酷く困惑しつつもその魔性に惹かれ、このひとりしか知らないダンジョンの攻略に乗り出すのだった…。
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