えぇー 俺が魔族しかも王族て???

腐りんご

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29‥第三皇子はその身を焦がす・・・

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☆☆☆

 ここは人族が支配するヒール王国
 

 人族王宮にて・・・





 マナト マナト マナト マナト

 マナト マナト マナト マナト
 
 会いたい  会いたい  会いたい
 
 会いたい  会いたい  会いたい
 
 声が聞きたい 声が聞きたい 声が聞きたい 
 
 声が聞きたい 声が聞きたい 声が聞きたい 
 
 触れたい 触れたい 触れたい

 触れたい 触れたい 触れたい
 
 キスしたい キスしたい キスしたい

 キスしたい キスしたい キスしたい



 「「「マナト殿ーーーーー」」」



 クラッシュ皇子の叫びが響き渡った。






「 ザーン殿、クラッシュ皇子はどうされたのだ?魔国から帰られてから時折叫んでおられるが…マナトとは誰のことですか?」

 私は頭を抱えたかった。
 クラッシュ皇子ときたらマナト殿から離れたくないと駄々をこねたのをナンとか説得し帰国したがどうしたらいいのか。

「何も聞かなかったことにしていただきたい。それよりラグ殿、国王陛下がお待ちになっておられる急ごう」

 宰相ラグは私の友人であり今回の魔王との調印式の報告を楽しみに待っていた一人である。


 玉座の間と呼ばれる部屋に国王陛下に報告するため今回の訪問メンバー全員で登城してきた。

 国王陛下は嬉しそうにわれらをまっていた。顔立ちはクラッシュ皇子に生き写しであったが流石は国王全身から威厳を称えていた。


「ザーン魔導士ご苦労であった。書面を確認したが問題ない内容で満足しておる」




「「会いたいーー」」




 突然クラッシュ皇子がまた叫んだ。



「クラッシュどうした!突然声を荒げおって驚くではないか」
 


 皇子が深々と頭を下げた。その様子をザーン魔導士は睨んでいた。


「申し訳ございません。少々考え事をしておりました。父上。魔族の方をこちらにご招待してはどうでしょうか?」



「おおーよい考えじゃ。宰相と相談しておくとしよう。うんうん。その前にザーン魔導士頼んでおいた物を見せてくれ!」

 ザーン魔導士は腕に付けていた腕輪を外し床においた。
 
「まずは第一魔王から紹介いたします」
    
 腕輪には魔宝石と魔術が込められており人の姿を立体映像のように映し出すことが出来るのである。

 腕輪から光が立ち上ぼり形をつくっていった。魔王ギールと寄り添うように玉座に座る第一魔王ジロウの姿であった。

 全員が見惚れてしまっていた。
 国王が沈黙を破った。

「これは美しく可憐な!ギール殿の奥方か?」

「いいえ。そのお方が第一魔王ジロウ様です」

「魔王陛下は女王であったのか?」

「いいえ。陛下、第一魔王は男にございます」

 国王陛下が驚きもう一度姿を眺めた。


「こんな可憐な容姿をしているのに男とはナンともったいない」


「国王陛下。見た目に惑わされてはなりません!魔力量が他の魔王を抜いておりました。それに…歓迎会場にて耳に致しましたが第一魔王は素手でレットベアーを仕留められたこともあるそうです」

 信じられないがあれほどの魔力保持者初めて対面した。自分の魔力量には自信があったが魔王たちには到底‥太刀打ちできないと肌で感じたのだから……


「こんな少女のような容姿でか?信じられんのう」


 国王陛下はうっとりと第一魔王の映した姿を眺めた。

「国王陛下。魔王城内に結界に守られた鎧を拝見した物にございます」

 ザーン魔導士は漆黒の鎧を映した。

「その鎧は・・・・・」

それを見た騎士団長は目を剥いた。

「騎士団長殿、この鎧見おぼえがありませんか?」

「あるとも、二年前。魔族と国境で喧嘩になったときいた奴だ。小柄なくせに物凄い怪力で我々の剣や槍を素手で丸めた奴だ。周りの奴がペコペコしていたから高位の魔族だと思ったが魔王家の者だったのか?」


「この鎧は第一魔王ご愛用の物だそうです」


「「魔王の鎧!」」


 騎士団長がひっくり返したような妙な声を出した。

「「ではでは中身はあれだったのか!」」

 騎士団長の声は完全にひっくり返ってしまっていた。ブツブツ呟やきだした。

「そんな…ウソだ…信じられん・・あんな美人が…魔王・・・・」


「ザーン魔導士。その鎧真に魔王の物か?」

「はい。間違いございません」

「ウムー」

 国王陛下は唸り出した。




「国王陛下、次に切り替えます。次は第一魔王のご子息第一皇子です」

 第一魔王の姿が消え次の姿に切り替わった。そこにはニッコリ微笑んだマナト君の姿が顕れた。その瞬間クラッシュ皇子の目はそれに釘付になった。
 
 全員が見とれていた。

 沈黙を破ったはクラッシュ皇子であった。

「「ぁぁああああーーーマナト殿」」


クラッシュ皇子は両手を広げうっとりと映像を抱き締めようとしていた。

「皇子はいい加減になさいませ!」

 ザーン魔導士の叱責がとんだ。
 クラッシュ皇子はハット我に返り顔を引き締めた。

「す、すまない。ザーン魔導士」

  宰相ラグはしょんぼりと項垂れるクラッシュ皇子を見つめた。先程から皇子が呼んでいたのは魔族の第一皇子の名だったのか。
 この魔族第一皇子マナト殿!
 本当に男か可憐な少女にしか見えんが?

 国王陛下が驚きながらザーン魔導士に再度聞き返した。

「ザーンよ。本当に男か。女性にしか見えぬが」

 ザーン魔導士が口を開き掛けたときクラッシュ皇子が呟いた。

「確かめました。本当に男性でした父上」

 頬を染め呟く息子を見て国王は頭痛がしてきた。まさかと思うが男に惚れたのではないかと?


「確かめたとは?」

「触りました。私と同じものが付いておりました」


 紅い顔で呟く息子を信じられない目で見つめ。触っただと?クラッシュはナニを言っておるんだ?


 「国王陛下。人払いをお願い致します」

 ザーン魔導士は深々と頭を下げた。

 国王陛下と宰相ラグとクラッシュ皇子だけになったとこで説明を始めた。

 「国王陛下。クラッシュ皇子は魔族第一皇子マナト殿に一目ボレされたようです。男でもいいと叫んでおられました。そのうえ魔王城内においてマナト殿を押し倒して乱暴され掛けました。発見した私とマナト殿の従者でお止めしました」


 国王陛下の低い声が響いた。

「・・・クラッシュ・・・そなた血迷ったか?下手をすれば国を巻き込んでの戦争になっても可笑しくないではないか!」

目に涙を浮かべたクラッシュ皇子は震えていた。


「父上。申し訳ございません。しかしあまりにも可愛らしく今でも忘れることができません。私はどうしたらいいのかお教えてください」

 クラッシュ皇子は国王陛下の足下にうずくまり泣きだされた。
 
 国王陛下は泣き崩れる皇子に声を掛けた。

「クラッシュ。相手は男だぞ。しかも魔族の第一皇子!無理だ。諦めよ」
 
 顔を上げ国王陛下を見つめた。

「しかし、父上!マナト殿は男の愛人がおりました。だから受け入れて貰えるのではないかと…二人っきりになったら我慢ができなくなりました」

 クラッシュの悲痛な訴えに父親としてはどうすることもできなかった。 クラッシュを下がらせ、宰相ラグとザーン魔導士の三人で今後の事について話し合った。
 幸いにもクラッシュが起こした騒ぎはマナト殿の配慮により揉み消されたそうだがあの様子だとまたナニかしでかしそうだ。誰か常に見張りを付けておかねば…




 宰相ラグが国王に提案した。

「 国王陛下。魔王領に近い避暑地に魔王家の方を招待しては?あそこなら王都より魔族に対する反発が少ないかと思いますが?」

「ぉぉおおーそれは良い早速手配しよう」

 三人での話し合いは深夜まで及んだ。

 


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これからもよろしくお願いします。
( ̄∇ ̄*)ゞ
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