えぇー 俺が魔族しかも王族て???

腐りんご

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46‥謝罪と懺悔

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☆☆☆


 人族第一皇子クロウside



 人属領カッルル港の修繕作業の視察に訪れていた。海辺の町で少々羽目を外すし予定日数を一日過ぎてしまった。カッルル湾で捕れる貝の蒸し焼きが絶品で私がこの料理を絶賛してからここを訪れる度に領主が用意してくれ、この地に寄るたびに堪能させて貰っている。
 美味しい食事と美しい海辺の景色(夕陽)!
  うん~~心が洗われるようだ。そんなまったりとした時を過ごしているときだった。城から緊急事態なのですぐ帰れと国王(父上)から飛翔文鳥が翔んできたので私は慌てて城に帰還した 。
 城では国王(父上)とザーン魔導師、宰相、弟のクロリが青ざめた顔で私を待っていた。

 何事だ!

「父上。ただ今帰還しました、緊急事態とは?」

「ふーー」

「?」

 父上がため息?
 珍しい?何処かの国が喧嘩でも売ってきたのか?私は椅子に腰掛けお茶をひと口飲んだ。うん~美味しい。今年のお茶のできは最高だ味といい香りといい。もうひと口と口に含んだお茶を私は父上の話で噴いてしまった。



「今城内に魔国の皇子が滞在している。その皇子をクラシュが襲った!」

 
 ごぶっーーーー

 私は口をハンカチで押さえながら聞き返した。

「おっ襲った?魔国の皇子を?怪我をさせたのですか?」


 魔国の皇子が転移の事故で人属領に転移してきたのを弟のクラシュが偶然保護し友人としてもてなしていると連絡を受けていたのだが……

「魔国の皇子は今部屋で伏せっている」

「重症なのですか?父上!」

「がっ外傷は無いのだが……クラシュに飲まされた薬が解毒できず今は眠って貰っている」

 私は恐怖した。魔族の皇子に薬を盛るなどとはクラシュはどうしたんだ?魔族と協定を結んだばかりだと言うのに戦争でもしたいのか?

 「父上?解毒できない薬とはどういう事ですか」


「・・・媚薬を飲まされた」


「???媚薬???毒ではないのですか?」


 なぜ媚薬を???私は父上の言葉が理解できなかった。クロリを見るとサッーと目をそらされた。
 なぜ目をそらすんだ弟よ?


「クラシュは魔族の皇子に媚薬を盛って……ベットに押し倒していたのをクロリと見つけ止めに入ったのだ」


「・・・ぇぇえええーーーーー」


 ・・・・・・・・


 ・・・・・・・・



 クラッシュよ!お前いつから男に走ったんだ。貴族の令嬢たちとイチャイチャしてなかったか?私はショックで呆然としていた。

「あっ兄上大丈夫ですか?」

「本当かクロリ?」

 私はギッギッと身体を軋ませながらクロリを見ると弟がコクリと頷いた。

 ははぁはぁはぁははーー乾いた笑いが口から漏れていた。
 嘘だろう。
 カッタと音のした方を見るとザーン魔導師が魔石の付いた腕輪をテーブルに置いた???これはたしか?姿を写しとることができる魔道具だったはず。私がじっと見ているとザーン魔導師が説明を始めた。


 「魔国で魔王に謁見したときの魔王と魔国の皇子です」

 
 写し出された黒髪黒目の美しい少女に目を奪われた。髪の長さがこちらの女性ではあり得ないほど短かったが可愛い!私は食い入るように見つめていた。


 「可愛い…」

 ポツリと呟いていた。


「クロウ殿下。こちらが城に滞在中の魔国第一皇子です!」


 えええええええーーーーーー



「ウソだ」



 こんな可愛いのに男だなんて……
 クラッシュよ確かに可愛いが男だぞしかも魔国第一皇子だぞ…魔王の顔も見せてもらったが可愛かった。二人とも親子というか姉妹のようだった。

 ハァーーーため息しか出て来なかった。
 
 「父上、クラッシュは今どこに?」

「部屋に閉じ込めてある」


「甘い。父上よくお聞きください魔族と言えば最強の種族です敵に廻すわけにはいきません。クラッシュには重い罰を与え魔国に謝罪し誠意を見せねばなりません。そうですねー神殿に預けると言うのはどうでしょう?」

  話し合いは深夜まで及んだ。


 ザーン魔導師から魔王家伝統の最高礼を教わったとき全員の目が死んでいた。
 
 次の日の昼の刻に魔族の迎えが到着したのだがまさか魔王が直々に息子を迎えに来るとは思ってもいなかった。
 第一魔王ジロウは美しかった。人族にはない黒髪黒目の姿に華奢な身体思わず抱き締めたくなった。あの顔で50近いなんてじっくり眺めていたら魔王ギールに睨まれた。






※お読み頂きありがとうございました。
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