47 / 49
46‥謝罪と懺悔
しおりを挟む☆☆☆
人族第一皇子クロウside
人属領カッルル港の修繕作業の視察に訪れていた。海辺の町で少々羽目を外すし予定日数を一日過ぎてしまった。カッルル湾で捕れる貝の蒸し焼きが絶品で私がこの料理を絶賛してからここを訪れる度に領主が用意してくれ、この地に寄るたびに堪能させて貰っている。
美味しい食事と美しい海辺の景色(夕陽)!
うん~~心が洗われるようだ。そんなまったりとした時を過ごしているときだった。城から緊急事態なのですぐ帰れと国王(父上)から飛翔文鳥が翔んできたので私は慌てて城に帰還した 。
城では国王(父上)とザーン魔導師、宰相、弟のクロリが青ざめた顔で私を待っていた。
何事だ!
「父上。ただ今帰還しました、緊急事態とは?」
「ふーー」
「?」
父上がため息?
珍しい?何処かの国が喧嘩でも売ってきたのか?私は椅子に腰掛けお茶をひと口飲んだ。うん~美味しい。今年のお茶のできは最高だ味といい香りといい。もうひと口と口に含んだお茶を私は父上の話で噴いてしまった。
「今城内に魔国の皇子が滞在している。その皇子をクラシュが襲った!」
ごぶっーーーー
私は口をハンカチで押さえながら聞き返した。
「おっ襲った?魔国の皇子を?怪我をさせたのですか?」
魔国の皇子が転移の事故で人属領に転移してきたのを弟のクラシュが偶然保護し友人としてもてなしていると連絡を受けていたのだが……
「魔国の皇子は今部屋で伏せっている」
「重症なのですか?父上!」
「がっ外傷は無いのだが……クラシュに飲まされた薬が解毒できず今は眠って貰っている」
私は恐怖した。魔族の皇子に薬を盛るなどとはクラシュはどうしたんだ?魔族と協定を結んだばかりだと言うのに戦争でもしたいのか?
「父上?解毒できない薬とはどういう事ですか」
「・・・媚薬を飲まされた」
「???媚薬???毒ではないのですか?」
なぜ媚薬を???私は父上の言葉が理解できなかった。クロリを見るとサッーと目をそらされた。
なぜ目をそらすんだ弟よ?
「クラシュは魔族の皇子に媚薬を盛って……ベットに押し倒していたのをクロリと見つけ止めに入ったのだ」
「・・・ぇぇえええーーーーー」
・・・・・・・・
・・・・・・・・
クラッシュよ!お前いつから男に走ったんだ。貴族の令嬢たちとイチャイチャしてなかったか?私はショックで呆然としていた。
「あっ兄上大丈夫ですか?」
「本当かクロリ?」
私はギッギッと身体を軋ませながらクロリを見ると弟がコクリと頷いた。
ははぁはぁはぁははーー乾いた笑いが口から漏れていた。
嘘だろう。
カッタと音のした方を見るとザーン魔導師が魔石の付いた腕輪をテーブルに置いた???これはたしか?姿を写しとることができる魔道具だったはず。私がじっと見ているとザーン魔導師が説明を始めた。
「魔国で魔王に謁見したときの魔王と魔国の皇子です」
写し出された黒髪黒目の美しい少女に目を奪われた。髪の長さがこちらの女性ではあり得ないほど短かったが可愛い!私は食い入るように見つめていた。
「可愛い…」
ポツリと呟いていた。
「クロウ殿下。こちらが城に滞在中の魔国第一皇子です!」
えええええええーーーーーー
「ウソだ」
こんな可愛いのに男だなんて……
クラッシュよ確かに可愛いが男だぞしかも魔国第一皇子だぞ…魔王の顔も見せてもらったが可愛かった。二人とも親子というか姉妹のようだった。
ハァーーーため息しか出て来なかった。
「父上、クラッシュは今どこに?」
「部屋に閉じ込めてある」
「甘い。父上よくお聞きください魔族と言えば最強の種族です敵に廻すわけにはいきません。クラッシュには重い罰を与え魔国に謝罪し誠意を見せねばなりません。そうですねー神殿に預けると言うのはどうでしょう?」
話し合いは深夜まで及んだ。
ザーン魔導師から魔王家伝統の最高礼を教わったとき全員の目が死んでいた。
次の日の昼の刻に魔族の迎えが到着したのだがまさか魔王が直々に息子を迎えに来るとは思ってもいなかった。
第一魔王ジロウは美しかった。人族にはない黒髪黒目の姿に華奢な身体思わず抱き締めたくなった。あの顔で50近いなんてじっくり眺めていたら魔王ギールに睨まれた。
※お読み頂きありがとうございました。
0
あなたにおすすめの小説
運悪く放課後に屯してる不良たちと一緒に転移に巻き込まれた俺、到底馴染めそうにないのでソロで無双する事に決めました。~なのに何故かついて来る…
こまの ととと
BL
『申し訳ございませんが、皆様には今からこちらへと来て頂きます。強制となってしまった事、改めて非礼申し上げます』
ある日、教室中に響いた声だ。
……この言い方には語弊があった。
正確には、頭の中に響いた声だ。何故なら、耳から聞こえて来た感覚は無く、直接頭を揺らされたという感覚に襲われたからだ。
テレパシーというものが実際にあったなら、確かにこういうものなのかも知れない。
問題はいくつかあるが、最大の問題は……俺はただその教室近くの廊下を歩いていただけという事だ。
*当作品はカクヨム様でも掲載しております。
公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜
上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。
体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。
両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。
せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない?
しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……?
どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに?
偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも?
……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない??
―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
ざこてん〜初期雑魚モンスターに転生した俺は、勇者にテイムしてもらう〜
キノア9g
BL
「俺の血を啜るとは……それほど俺を愛しているのか?」
(いえ、ただの生存戦略です!!)
【元社畜の雑魚モンスター(うさぎ)】×【勘違い独占欲勇者】
生き残るために媚びを売ったら、最強の勇者に溺愛されました。
ブラック企業で過労死した俺が転生したのは、RPGの最弱モンスター『ダーク・ラビット(黒うさぎ)』だった。
のんびり草を食んでいたある日、目の前に現れたのはゲーム最強の勇者・アレクセイ。
「経験値」として狩られる!と焦った俺は、生き残るために咄嗟の機転で彼と『従魔契約』を結ぶことに成功する。
「殺さないでくれ!」という一心で、傷口を舐めて契約しただけなのに……。
「魔物の分際で、俺にこれほど情熱的な求愛をするとは」
なぜか勇者様、俺のことを「自分に惚れ込んでいる健気な相棒」だと盛大に勘違い!?
勘違いされたまま、勇者の膝の上で可愛がられる日々。
捨てられないために必死で「有能なペット」を演じていたら、勇者の魔力を受けすぎて、なんと人間の姿に進化してしまい――!?
「もう使い魔の枠には収まらない。俺のすべてはお前のものだ」
ま、待ってください勇者様、愛が重すぎます!
元社畜の生存本能が生んだ、すれ違いと溺愛の異世界BLファンタジー!
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する幼少中高大院までの一貫校だ。しかし学校の規模に見合わず生徒数は一学年300人程の少人数の学院で、他とは少し違う校風の学院でもある。
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語
男子高校に入学したらハーレムでした!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
ゆっくり書いていきます。
毎日19時更新です。
よろしくお願い致します。
2022.04.28
お気に入り、栞ありがとうございます。
とても励みになります。
引き続き宜しくお願いします。
2022.05.01
近々番外編SSをあげます。
よければ覗いてみてください。
2022.05.10
お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。
精一杯書いていきます。
2022.05.15
閲覧、お気に入り、ありがとうございます。
読んでいただけてとても嬉しいです。
近々番外編をあげます。
良ければ覗いてみてください。
2022.05.28
今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。
次作も頑張って書きます。
よろしくおねがいします。
拝啓、目が覚めたらBLゲームの主人公だった件
碧月 晶
BL
さっきまでコンビニに向かっていたはずだったのに、何故か目が覚めたら病院にいた『俺』。
状況が分からず戸惑う『俺』は窓に映った自分の顔を見て驚いた。
「これ…俺、なのか?」
何故ならそこには、恐ろしく整った顔立ちの男が映っていたのだから。
《これは、現代魔法社会系BLゲームの主人公『石留 椿【いしどめ つばき】(16)』に転生しちゃった元平凡男子(享年18)が攻略対象たちと出会い、様々なイベントを経て『運命の相手』を見つけるまでの物語である──。》
────────────
~お知らせ~
※第3話を少し修正しました。
※第5話を少し修正しました。
※第6話を少し修正しました。
※第11話を少し修正しました。
※第19話を少し修正しました。
※第22話を少し修正しました。
※第24話を少し修正しました。
※第25話を少し修正しました。
※第26話を少し修正しました。
※第31話を少し修正しました。
※第32話を少し修正しました。
────────────
※感想(一言だけでも構いません!)、いいね、お気に入り、近況ボードへのコメント、大歓迎です!!
※表紙絵は作者が生成AIで試しに作ってみたものです。
たとえば、俺が幸せになってもいいのなら
夜月るな
BL
全てを1人で抱え込む高校生の少年が、誰かに頼り甘えることを覚えていくまでの物語―――
父を目の前で亡くし、母に突き放され、たった一人寄り添ってくれた兄もいなくなっていまった。
弟を守り、罪悪感も自責の念もたった1人で抱える新谷 律の心が、少しずつほぐれていく。
助けてほしいと言葉にする権利すらないと笑う少年が、救われるまでのお話。
寂しいを分け与えた
こじらせた処女
BL
いつものように家に帰ったら、母さんが居なかった。最初は何か厄介ごとに巻き込まれたのかと思ったが、部屋が荒れた形跡もないからそうではないらしい。米も、味噌も、指輪も着物も全部が綺麗になくなっていて、代わりに手紙が置いてあった。
昔の恋人が帰ってきた、だからその人の故郷に行く、と。いくらガキの俺でも分かる。俺は捨てられたってことだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる