45 / 89
45魔法加工
しおりを挟む
こんこん、とスワンが鍋をたたく。
熱くないのだろうか、と見当違いのことを考える私の目の前で、鍋がふわりと浮き、入り口へとゆっくりと移動を開始する。
ぶつかりそうになって慌てて背後に飛びのけば、そこにあった棚にぶつかって天板の上にのっていたものがいくつも倒れる。
ガッシャーン、と砕け散るガラスの音に、思わず肩が跳ねる。
「はっはっは、どうだ。驚いただろう?」
「ちょっとスワン!あんたまたやったな!?」
怒り心頭といった様子の魔女の一人が叫ぶ。私が倒してしまった物を拾い上げながら、これはダメ、これもダメ、と数えていき、肩を落とす。
どんどんと陰鬱な気配を強めていく背中を前に、やってしまった、という絶望感と罪悪感がぐるぐると心の中で渦巻く。
「ご、ごめんなさい」
「あぁ……まあ気にするな。すべてはあんたを驚かせようとして事前情報もなしに魔法を使ったスワンが悪いんだ。どうせ、いつものことだしな。大体スワン、あんたはいつもいつもッ」
スワンと同じくらいの年齢に見せるヒイラギの仮面の魔女が、スワンに唾を飛ばす勢いでまくしたてる。泣きぼくろのように目尻のあたりにある赤い果実がチャーミング。
それに対して、スワンはひょうひょうとした態度を崩さずに口元に笑みを浮かべる。
「いつものことだと理解しながら対策しなかったあんたが悪いのさ」
「あんたが悪い」
「いいや、オスマンタスが悪いね。いつも机を散らかしすぎなんだよ」
「この室内が狭すぎるのさ」
「それには同意するけれどね」
見解が一致したね、と笑いながらスワンは室外へと移動する。
その背中を見送っていたヒイラギ仮面――オスマンタスは、はっと気づいたように目を見開く。
「またごまかしたな!?」
「あんたが勝手にごまかされたのさ。それにしてもうるさいねぇ」
「誰の、せいでッ!?」
ひらひらと手を振りながら、スワンは鍋と一緒に外に出ていく。
背後からはまだオスマンタスの罵詈雑言が聞こえているはずなのに、すでにスワンの耳には届いていない様子だった。
なんというか、心が強すぎる。
肝っ玉母さん……という年齢ではないか。老獪というか、柳のようだというか。
いや、それより、わたしがオスマンタスの物を壊してしまったのだ。怒られるべきはわたしであって、スワンではない、はず。
視線が合う。
オスマンタスは荒い鼻息をしながらむっつりとした様子でわたしを見ていた。
「ええと……本当にごめんなさい」
「まあいいさ。あんたもあんまりスワンの口車に乗せられるなよ」
「えっと、頑張ります?」
どう答えたらいいものか迷って、疑問形で告げて頭を下げる。
さっさと行った、と追い払うように手を振られ、もう一度頭を下げてから扉の方に向かった。
スワンの後を追って外に出れば、涼しい影が顔に吹き付ける。
狭い家の中でいくつも火をおこしていたのだから、室内は暑かったらしい。
意識はしていなかったけれど今の私の肌はじっとりと汗で湿っていた。
汗臭くなっていないだろうかと少し気になって、けれどそれよりも早く、スワンが急かすように鍋を手の甲で軽くたたく。
「さぁ、仕上げをするよ。あんたもフォトスの魔法は見ただろう?」
「あ、はい。すごかったです。一瞬で別の場所に移動して……それに、ひょっとするとあの手紙もそうですか?」
手紙、あるいは招待状。
ハンナがくれたそれは、精霊に見放された土地に一歩足を踏み入れた瞬間、淡く発光を始めたのだ。
「そうさ。あれらは全部、私らが考えたものなんだ。精霊がどんなものを喜ぶか研究を重ねた結果、甘味インクや飴薔薇ができたんだ。あれらは全部、発動する魔法に対応した甘味なのさ。まあ、対応したものでなくても、発動はできるけれどね」
それでも魔法がより簡単になるのなら、覚える価値はある。
ただ、わたしに覚えられるか、それが気になった。
特にフォトスの魔法。あれができるようになれば、わたしは一瞬であちこちに移動できる、例えば故郷のレティスティア男爵領に里帰りすることも現実味を帯びる。
さすがにそろそろ一度は、お父さまとお母さまに顔を見せたいと思っていたのだ。
わたしがある日突然アヴァロン王子殿下の妃になって王城に召し上げられて、きっと二人はわたしのことを心配しているはずだから。
手紙では伝えているけれど、大丈夫だって、元気だって、顔を見せて伝えてあげたい。
「……わたしも、彼女と同じように移動ができるようになるんですか?」
「もちろんさ。まあ、あれはフォトスの専売特許になりつつあるけれどね。精霊にも得意不得意があって、彼女は移動を得意とする精霊に愛されているみたいだ」
魔女によっては特定の精霊がいつもそばにいる場合がある。だからこそ、その精霊に何度も魔法をお願いするうちに、少ない情報を渡すだけでも精霊が意図を読み取って最適な魔法を発動してくれるようになる。
そのため、老齢の者ほど手足のように自然に、かつ素早く魔法の発動が可能になる。
それはさておき、フォトスのように発動できるようになるかはわかないというのは、少し残念だった。
帰郷以外にも、その力があればお城から抜け出すのがずっと楽になる。
いちいちスニーキングすることなく、あっという間に狩りができる。
あるいは、狩りで危険に陥った時、すぐに逃げることができるようになる。
さすがの魔物も、一瞬で遠くに移動するわたしを追ってくることはできないはずだから、安全性は格段に引きあがるだろう。
俄然やる気が出てきた。
「準備はいいみたいだね。それじゃあ、こいつを使って精霊に頼みな」
いつの間にか手に持っていた箱を手渡してくる。
そっと蓋を開いた先に見えたのは、鍋の中の液体に比べればずいぶんと地味な茶色の塊。
「……クッキーですか?」
おそらくはこれから始める魔法発動のためなのだろうけれど、わざわざクッキーである理由がわからない。
きらりと目を光らせるスワンは、ただのクッキーではないのさ、とおかしそうに告げる。
「そいつは塩クッキーだね」
「塩クッキー」
「甘味の加工を魔法でやろうっていうんだ。甘味好きな精霊に任せちまったら、全部その精霊の胃袋に消えるのさ」
なるほど。精霊が自分で作ったものを対価にもっていってしまうということ。
確かに、そうなると魔法の対価として塩っぽいものを選択するのがいいのだろう。
「それじゃあやってみな。まずは……そうだね。普通に球体にして丸い飴を作ってみな」
「わかりました」
クッキーを一つ手に取り、頭上へと掲げる。
目を閉じ、イメージを固め、祈る。
「飴よ、丸くなれ!」
目を見開き、精霊よ聞きて、と願いながら叫ぶ。
それと同時に、私の目の前、鍋の中の飴の一部が浮かび上がり、親指の幅ほどの大きさの球体を作る。
くるくると回るそれは完璧な急になり、風に吹かれるようにして私の掌の上へと収まる。
代わりに、クッキーは姿を消した。
「……これは驚いた。あんた、年齢でも詐称しているのかい?」
多分わたしの精霊との意思疎通のレベルが年齢不相応だと言いたいのだろうけれど、言い方がアレだ。
「年齢をごまかすなんてどうやってするんですか?」
「姿くらいは多少魔法で……どうだろうね。髪色くらいは変えられるかもしれないが……」
何やら熟考を始めたスワンをよそに、私は手の中の飴を転がしてみる。
ピンクの球体。
透明なそれは美しく、見るものを引き付ける。
この調子であれば、ある程度造形の細かいものでも作ることができるかもしれない。
ただ、薔薇のような美しいものをわたしがイメージできるかどうか、それが問題だった。
「まあいいさ。魔法の腕がいいのは何よりだよ。それじゃあ、どんどん作っていこうか」
「はい!」
そうして、スワンの甘味教室もとい、魔法加工の訓練が始まった。
熱くないのだろうか、と見当違いのことを考える私の目の前で、鍋がふわりと浮き、入り口へとゆっくりと移動を開始する。
ぶつかりそうになって慌てて背後に飛びのけば、そこにあった棚にぶつかって天板の上にのっていたものがいくつも倒れる。
ガッシャーン、と砕け散るガラスの音に、思わず肩が跳ねる。
「はっはっは、どうだ。驚いただろう?」
「ちょっとスワン!あんたまたやったな!?」
怒り心頭といった様子の魔女の一人が叫ぶ。私が倒してしまった物を拾い上げながら、これはダメ、これもダメ、と数えていき、肩を落とす。
どんどんと陰鬱な気配を強めていく背中を前に、やってしまった、という絶望感と罪悪感がぐるぐると心の中で渦巻く。
「ご、ごめんなさい」
「あぁ……まあ気にするな。すべてはあんたを驚かせようとして事前情報もなしに魔法を使ったスワンが悪いんだ。どうせ、いつものことだしな。大体スワン、あんたはいつもいつもッ」
スワンと同じくらいの年齢に見せるヒイラギの仮面の魔女が、スワンに唾を飛ばす勢いでまくしたてる。泣きぼくろのように目尻のあたりにある赤い果実がチャーミング。
それに対して、スワンはひょうひょうとした態度を崩さずに口元に笑みを浮かべる。
「いつものことだと理解しながら対策しなかったあんたが悪いのさ」
「あんたが悪い」
「いいや、オスマンタスが悪いね。いつも机を散らかしすぎなんだよ」
「この室内が狭すぎるのさ」
「それには同意するけれどね」
見解が一致したね、と笑いながらスワンは室外へと移動する。
その背中を見送っていたヒイラギ仮面――オスマンタスは、はっと気づいたように目を見開く。
「またごまかしたな!?」
「あんたが勝手にごまかされたのさ。それにしてもうるさいねぇ」
「誰の、せいでッ!?」
ひらひらと手を振りながら、スワンは鍋と一緒に外に出ていく。
背後からはまだオスマンタスの罵詈雑言が聞こえているはずなのに、すでにスワンの耳には届いていない様子だった。
なんというか、心が強すぎる。
肝っ玉母さん……という年齢ではないか。老獪というか、柳のようだというか。
いや、それより、わたしがオスマンタスの物を壊してしまったのだ。怒られるべきはわたしであって、スワンではない、はず。
視線が合う。
オスマンタスは荒い鼻息をしながらむっつりとした様子でわたしを見ていた。
「ええと……本当にごめんなさい」
「まあいいさ。あんたもあんまりスワンの口車に乗せられるなよ」
「えっと、頑張ります?」
どう答えたらいいものか迷って、疑問形で告げて頭を下げる。
さっさと行った、と追い払うように手を振られ、もう一度頭を下げてから扉の方に向かった。
スワンの後を追って外に出れば、涼しい影が顔に吹き付ける。
狭い家の中でいくつも火をおこしていたのだから、室内は暑かったらしい。
意識はしていなかったけれど今の私の肌はじっとりと汗で湿っていた。
汗臭くなっていないだろうかと少し気になって、けれどそれよりも早く、スワンが急かすように鍋を手の甲で軽くたたく。
「さぁ、仕上げをするよ。あんたもフォトスの魔法は見ただろう?」
「あ、はい。すごかったです。一瞬で別の場所に移動して……それに、ひょっとするとあの手紙もそうですか?」
手紙、あるいは招待状。
ハンナがくれたそれは、精霊に見放された土地に一歩足を踏み入れた瞬間、淡く発光を始めたのだ。
「そうさ。あれらは全部、私らが考えたものなんだ。精霊がどんなものを喜ぶか研究を重ねた結果、甘味インクや飴薔薇ができたんだ。あれらは全部、発動する魔法に対応した甘味なのさ。まあ、対応したものでなくても、発動はできるけれどね」
それでも魔法がより簡単になるのなら、覚える価値はある。
ただ、わたしに覚えられるか、それが気になった。
特にフォトスの魔法。あれができるようになれば、わたしは一瞬であちこちに移動できる、例えば故郷のレティスティア男爵領に里帰りすることも現実味を帯びる。
さすがにそろそろ一度は、お父さまとお母さまに顔を見せたいと思っていたのだ。
わたしがある日突然アヴァロン王子殿下の妃になって王城に召し上げられて、きっと二人はわたしのことを心配しているはずだから。
手紙では伝えているけれど、大丈夫だって、元気だって、顔を見せて伝えてあげたい。
「……わたしも、彼女と同じように移動ができるようになるんですか?」
「もちろんさ。まあ、あれはフォトスの専売特許になりつつあるけれどね。精霊にも得意不得意があって、彼女は移動を得意とする精霊に愛されているみたいだ」
魔女によっては特定の精霊がいつもそばにいる場合がある。だからこそ、その精霊に何度も魔法をお願いするうちに、少ない情報を渡すだけでも精霊が意図を読み取って最適な魔法を発動してくれるようになる。
そのため、老齢の者ほど手足のように自然に、かつ素早く魔法の発動が可能になる。
それはさておき、フォトスのように発動できるようになるかはわかないというのは、少し残念だった。
帰郷以外にも、その力があればお城から抜け出すのがずっと楽になる。
いちいちスニーキングすることなく、あっという間に狩りができる。
あるいは、狩りで危険に陥った時、すぐに逃げることができるようになる。
さすがの魔物も、一瞬で遠くに移動するわたしを追ってくることはできないはずだから、安全性は格段に引きあがるだろう。
俄然やる気が出てきた。
「準備はいいみたいだね。それじゃあ、こいつを使って精霊に頼みな」
いつの間にか手に持っていた箱を手渡してくる。
そっと蓋を開いた先に見えたのは、鍋の中の液体に比べればずいぶんと地味な茶色の塊。
「……クッキーですか?」
おそらくはこれから始める魔法発動のためなのだろうけれど、わざわざクッキーである理由がわからない。
きらりと目を光らせるスワンは、ただのクッキーではないのさ、とおかしそうに告げる。
「そいつは塩クッキーだね」
「塩クッキー」
「甘味の加工を魔法でやろうっていうんだ。甘味好きな精霊に任せちまったら、全部その精霊の胃袋に消えるのさ」
なるほど。精霊が自分で作ったものを対価にもっていってしまうということ。
確かに、そうなると魔法の対価として塩っぽいものを選択するのがいいのだろう。
「それじゃあやってみな。まずは……そうだね。普通に球体にして丸い飴を作ってみな」
「わかりました」
クッキーを一つ手に取り、頭上へと掲げる。
目を閉じ、イメージを固め、祈る。
「飴よ、丸くなれ!」
目を見開き、精霊よ聞きて、と願いながら叫ぶ。
それと同時に、私の目の前、鍋の中の飴の一部が浮かび上がり、親指の幅ほどの大きさの球体を作る。
くるくると回るそれは完璧な急になり、風に吹かれるようにして私の掌の上へと収まる。
代わりに、クッキーは姿を消した。
「……これは驚いた。あんた、年齢でも詐称しているのかい?」
多分わたしの精霊との意思疎通のレベルが年齢不相応だと言いたいのだろうけれど、言い方がアレだ。
「年齢をごまかすなんてどうやってするんですか?」
「姿くらいは多少魔法で……どうだろうね。髪色くらいは変えられるかもしれないが……」
何やら熟考を始めたスワンをよそに、私は手の中の飴を転がしてみる。
ピンクの球体。
透明なそれは美しく、見るものを引き付ける。
この調子であれば、ある程度造形の細かいものでも作ることができるかもしれない。
ただ、薔薇のような美しいものをわたしがイメージできるかどうか、それが問題だった。
「まあいいさ。魔法の腕がいいのは何よりだよ。それじゃあ、どんどん作っていこうか」
「はい!」
そうして、スワンの甘味教室もとい、魔法加工の訓練が始まった。
2
あなたにおすすめの小説
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
最愛の番に殺された獣王妃
望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。
彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。
手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。
聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。
哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて――
突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……?
「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」
謎の人物の言葉に、私が選択したのは――
ストーカー婚約者でしたが、転生者だったので経歴を身綺麗にしておく
犬野きらり
恋愛
リディア・ガルドニ(14)、本日誕生日で転生者として気付きました。私がつい先程までやっていた行動…それは、自分の婚約者に対して重い愛ではなく、ストーカー行為。
「絶対駄目ーー」
と前世の私が気づかせてくれ、そもそも何故こんな男にこだわっていたのかと目が覚めました。
何の物語かも乙女ゲームの中の人になったのかもわかりませんが、私の黒歴史は証拠隠滅、慰謝料ガッポリ、新たな出会い新たな人生に進みます。
募集 婿入り希望者
対象外は、嫡男、後継者、王族
目指せハッピーエンド(?)!!
全23話で完結です。
この作品を気に留めて下さりありがとうございます。感謝を込めて、その後(直後)2話追加しました。25話になりました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
王宮に薬を届けに行ったなら
佐倉ミズキ
恋愛
王宮で薬師をしているラナは、上司の言いつけに従い王子殿下のカザヤに薬を届けに行った。
カザヤは生まれつき体が弱く、臥せっていることが多い。
この日もいつも通り、カザヤに薬を届けに行ったラナだが仕事終わりに届け忘れがあったことに気が付いた。
慌ててカザヤの部屋へ行くと、そこで目にしたものは……。
弱々しく臥せっているカザヤがベッドから起き上がり、元気に動き回っていたのだ。
「俺の秘密を知ったのだから部屋から出すわけにはいかない」
驚くラナに、カザヤは不敵な笑みを浮かべた。
「今日、国王が崩御する。だからお前を部屋から出すわけにはいかない」
※ベリーズカフェにも掲載中です。そちらではラナの設定が変わっています。(貴族→庶民)それにより、内容も少し変更しておりますのであわせてお楽しみください。
幼馴染の許嫁
山見月 あいまゆ
恋愛
私にとって世界一かっこいい男の子は、同い年で幼馴染の高校1年、朝霧 連(あさぎり れん)だ。
彼は、私の許嫁だ。
___あの日までは
その日、私は連に私の手作りのお弁当を届けに行く時だった
連を見つけたとき、連は私が知らない女の子と一緒だった
連はモテるからいつも、周りに女の子がいるのは慣れいてたがもやもやした気持ちになった
女の子は、薄い緑色の髪、ピンク色の瞳、ピンクのフリルのついたワンピース
誰が見ても、愛らしいと思う子だった。
それに比べて、自分は濃い藍色の髪に、水色の瞳、目には大きな黒色の眼鏡
どうみても、女の子よりも女子力が低そうな黄土色の入ったお洋服
どちらが可愛いかなんて100人中100人が女の子のほうが、かわいいというだろう
「こっちを見ている人がいるよ、知り合い?」
可愛い声で連に私のことを聞いているのが聞こえる
「ああ、あれが例の許嫁、氷瀬 美鈴(こおりせ みすず)だ。」
例のってことは、前から私のことを話していたのか。
それだけでも、ショックだった。
その時、連はよしっと覚悟を決めた顔をした
「美鈴、許嫁をやめてくれないか。」
頭を殴られた感覚だった。
いや、それ以上だったかもしれない。
「結婚や恋愛は、好きな子としたいんだ。」
受け入れたくない。
けど、これが連の本心なんだ。
受け入れるしかない
一つだけ、わかったことがある
私は、連に
「許嫁、やめますっ」
選ばれなかったんだ…
八つ当たりの感覚で連に向かって、そして女の子に向かって言った。
冷徹公爵の誤解された花嫁
柴田はつみ
恋愛
片思いしていた冷徹公爵から求婚された令嬢。幸せの絶頂にあった彼女を打ち砕いたのは、舞踏会で耳にした「地味女…」という言葉だった。望まれぬ花嫁としての結婚に、彼女は一年だけ妻を務めた後、離縁する決意を固める。
冷たくも美しい公爵。誤解とすれ違いを繰り返す日々の中、令嬢は揺れる心を抑え込もうとするが――。
一年後、彼女が選ぶのは別れか、それとも永遠の契約か。
私は彼に選ばれなかった令嬢。なら、自分の思う通りに生きますわ
みゅー
恋愛
私の名前はアレクサンドラ・デュカス。
婚約者の座は得たのに、愛されたのは別の令嬢。社交界の噂に翻弄され、命の危険にさらされ絶望の淵で私は前世の記憶を思い出した。
これは、誰かに決められた物語。ならば私は、自分の手で運命を変える。
愛も権力も裏切りも、すべて巻き込み、私は私の道を生きてみせる。
毎日20時30分に投稿
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる