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4-3.これって、どういうこと?
しおりを挟む国王視点―――
何という愚かなことをっ!
ゲイルが仕出かした子供じみた嫌がらせに頭を抱えた。
「あやつめっ!なぜそのようなことを――っ?」
「それはこの婚約破棄騒動が関係しているかと…」
「どういうことだ?」
「陛下、ゲイル王子にちゃんと言いましたか?」
「何をだ?」
「公爵家との婚約についてですよ……」
「―――っ!」
ハインツがにそう告げられて思い出した。
あれは王子の婚約のことでアリアの父であるラス公爵と内密な話をしていた時だった。
「ではこの件を頼むぞ…」
「………はい」
強制はしたくなかったが、王子の願いもあってラス公爵に婚約を持ち掛け何とか承諾してもらった。
あの件しか思い当たることがない。
「ゲイル王子は陛下の話を聞いていたそうです。まあ、よく聞こえなかったそうですが『婚約』という言葉だけは聞こえたようです」
「まさか……」
「ええ、ゲイル王子はそれが自分のことだと勘違いしたようです」
がっくり項垂れるところにハインツが追い打ちをかけてくる。
「陛下、今ここで真実を告げてください。誰と誰の婚約だったのかっ!」
アリアと離されたことがよほど許せなかったのかハインツの顔つきが怖い。
まさかそんなことが起ころうとは思っていなかった。
これは世の責任なのか?
いや、ゲイルが暴走してのは予想外だったし‥‥
ちらりとあやつを見ればキョトンとしている‥‥まさか…あやつも、なのか?
ううっ…これは完全に余の責任だな……
ん………?
んん………?
んんん………?
あれれ~?
何か話が見えないんだけど………?
オレは2人のやり取りについていけず頭が混乱した。
えっと、姉上とハインツ様は恋仲だった。
ゲイル王子はそれが気に入らなくて二人を引き離した。
理由は単なる嫌がらせとは‥‥
でも婚約者のオレを構わずなぜハインツに構うんだ?
あ、姉上が婚約者だと誤解しているんだった。
でも、今の話だと…‥‥
あれ、でも婚約者ってオレだよね?
「父上、ハインツの言う通りです。いい加減にしてください!」
「レイルまで……」
「だってそうでしょう?なぜラス公爵家との婚約者の相手が兄上だなんてことになっているんですか?」
ん……?あれ、何か今変な言葉が?
「わ、わかった。わかったからそう急かすなっ!」
陛下がレイルに急かされて仕方がないとため息を吐いた。
貴族たちの正面に立ち口を開く。
だがその前にオレの方をチラッと見たような気がした。
「皆の者に発表することがある。ここにいる第2王子のレイルとラス公爵の令息アランとの婚約をここに宣言するっ!なお、王太子にはレイルを指名する。レイルよアランと共にこの国の繁栄に力をつくしてくれ」
「はい、王太子の任を婚約者アランとともに力を合わせていきます」
「うおおおおおお――――っ!!」
「レイル様が王太子なら将来は安泰ですね」
「ええ、よかった。これで安心ですわ」
貴族たちが歓喜にわく中、オレだけが事情を呑み込めなかった。
「えっ?何これって、どういうこと?」
婚約者はゲイル王子ではなくて、レイル王子だったってこと?
つまりは、勘違いしていたのはゲイル王子だけではなく―――!
オレも―――そうだったってことなのかっ!
「ええええええ―――っ!!」
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