人違いの婚約破棄って・・バカなのか?

相沢京

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4-8.レイルの気持ち

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「身に覚えがないってどういうことだよっ?」


オレはゲイルがとぼけていると思った。しかし、そこで姉上が慌てる。



「ちょっと、階段ってどういうこと?聞いてないわよっ!」


 そういえば姉上にも報告はしていなかった。


「ケガは…ケガはしなかったの?」


 心配そうにオレの手を取り握りしめる。

 その心遣いが嬉しい。

 ちょっと過保護だけど……


「大丈夫。落ちたっていっても3段ほどだから……」


 安心させようと笑みを浮かべながら答えるとホッとしたようだ。

 しかし、ゲイルじゃないとしたら一体誰が何の目的で?



「ゲイルがそんなことをしていたとは……」

 
 頭を抱えているのは陛下だ。


「だが、階段の件がゲイルではないなら犯人は誰なんだ?」

「相手の姿は見なかったの?」


 王妃の問いに首を横に振る。

 てっきりレイルだと思っていたから相手をよく確かめなかった。

 でも、目の端に何か見えたような気がしたことを思い出した。


「姿は見えなかったんだけど、何か見たような気がするんだよな」

「それって何かわかる?」

「う~んと……あれは赤布切れだったような……?ダメだ!思い出せない」

「そう……も目撃者はいるんじゃない?」

「そうだな。早速調査させよう」


 陛下が宰相に指示を出す。

 するとレイルが真直ぐにオレの前まで来てスッとオレの手を取った。


「これでわかっただろう?」

「そ……それは」


 確かに嫌がらせの犯人はレイルじゃなくてゲイルだった。

 だけど、今までレイルだと信じてきたオレの感情が『はいそうですか』とはいかない。


「でも、お前との結婚はイヤだ……」

「どうしてだ?」

「そう簡単に人の気持ちは変わらないんだよ」


 手を振り払い、距離を空けると自分の手をじっとみて困ったような顔をしていた。


「それでも、オレはお前がほしい――」

「何でそこまでしてオレを?」


 そこまで欲しがる価値がオレにあるとは到底思えない。


「それは……お前のことが好きだからじゃ、ダメ…か?」


 頬を赤らめ熱のこもった瞳で見つめられ愛の告白をされるとは誰が思うだろう。


「………お前、オレのことが好きだったのかっ?」




 好き?

 レイルが……?

 オレを……?



 イヤイヤイヤ―――と、否定したいがそんな熱のこもった瞳で見つめられると何も言えなくなる。

 それより、オレもたぶん顔が赤いと思う。



「好きだアラン!オレと結婚してくれっ!」


テレながらもはっきりそう言うレイルにオレは更に真赤になった。



「ええっ――!あ、いやでも……その」


 しどろもどろになるオレにレイルは更に追い込む。

 振り払った手を再び取り、オレの手の甲にチュッとリップ音を立てた。


「れ、レイルっ!」


 さっきまで拒否していた気持ちが揺らぎ始める。


「オレじゃ……ダメなのか?」


 捨てられた子犬のように目じりを下げて懇願する。


「うっ……」


 これじゃあ、オレが悪いみたいじゃないか


「なあ、アラン……」


 ううっ………オレはどうしたらいいんだ?




*****************************

いちゃいちゃまで後もう少し?

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