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番外編2*子育てって難しい
しおりを挟む「うぎゃああああー――つ!
ぐっすり眠っていたはずなのに夜泣きの声で目覚めた。
「この声はリオスか・・」
もぞもぞと起きてリオスのベッドに向かうとオムツが濡れていた。
「はいはい、今換えてやるからな」
青い瞳が揺れて不安そうにオレを見るのが何だか嬉しくて抱き上げる。
「よしよし・・これでキレイになったぞ」
背中をポンポンたたきながらルナの方をみるがあいつは図太いのか鈍感なのかリオスが夜泣きしてもめを覚まさない。まあ、二人同時に泣かれると対処しきれないから困るけど。
双子が生まれて半年、そろそろ子育てにも慣れてきたけどこの寝不足だけは慣れない。公務は減らしているけど、夕方になると睡魔が襲う。
もう少しすれば乳母が決まってオレも楽になるんだけど、このままでも別にいいと思っている。
本来王室だけでなく貴族は乳母を雇うものだが、男のオレが双子を産んで母性本能みたいなものが出来て人任せにしたくなくなってきた。
だって子供って成長するのは早くて、大きくなれば会う機会も少なくなっていく。特に王室は・・・そしてリオスは婚約者が決まれば次期国王としての教育が始まるし、ルナは嫁いでしまえば会えなくなる。
この話を姉上にしたら気が早いと言って笑われた。
まあ、確かにそうだけどさ・・
「あうう・・」
「ああ、ごめん」
随分長く考えごとをしていたみたいで、リオスがうとうとしていた。
薄暗い部屋の中でベッドに戻してやると直ぐに気持ちよさそうに眠ってくれた。
「おやすみ、いい夢を・・」
優しく頭にキスをして自分のベッドに戻った。
ああ、明日はレイルと視察だったなと頭の片隅におきながら再び睡魔にのみ込まれたのだった。
アランが寝静まってしばらくしてから、ルナがバチっと目を覚まして、手足をバタバタさせてベッドの柵で頭をぶつけた。
「うわあああああ――――んっ!」
痛みで泣き叫ぶルナにアランは慌てて飛び起きた。
「ルナ、どうしたっ!」
駆けこんできたアランの目に入ったのは、柵に頭がぴったりとはまっている哀れなルナの姿だった。
「はあ?何で柵に突っ込んでんだよ!」
「うわあーん!あう、あうん」
まだ言葉は喋れないけど、外してって言っているように見えて、ちょっと笑ってしまった。
「待ってろ、今外してやるから」
ルナの頭を引っ張ってみるがぎちぎちにはまっていて抜けそうにもない。
ならばと、柵をベッドから外し始める。これはアランが注文した特注で柵がそれぞれ外れるように設計されている。
ベビーベッドなんて数か月しか使わないし納屋に運ぶにしても大きくて運びにくい。魔法を使う手もあるがみんながみんな使えるわけではないので、この方法を取ったら、姉上も同じものを注文したと聞いた。もうすぐ姉上も出産予定だから丁度いいタイミングだったみたいで良かった。
「さあ、外れたぞ・・」
抱き起して頭を撫でてやると安心したのかうとうとしだした。片手でベッドを整えてそっと寝かしてやった。
きちんと外した柵を取り付けるのも忘れずに。
そしてもう一度ベッドに潜りこんだのだった。
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