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破滅への道
しおりを挟むさっきよりも強い魔力を手のひらにこめて放つ。
「くらえっ!!」
でも、やはり威力はなくて、難なく片手で掴んで消し去る。
それを次々と投げつける。
ボンっ!ボン!ボン!―――
威力はないが数で対抗しようという気らしい。
「はあ~・・遊んでないで本気でかかって来いよっ」
「クソッがあ!!」
頭に血が上っているせいで、これが罠だとは気づかない。
ホント、愚かな奴・・。
「ダグラス様っ!何をしているのですか?こんな奴さっさっと始末してくださいよ!」
猫をかぶっていたフランが苛立ってボロをだした。
「わかっっておる!だが、当たらんのだ」
悔しそうにしているだダグラスにとうとうフランは正体を現す。
「では、私が力をお貸しいたしまょう」
「おおっ!それは心強い。頼むぞ、フラン。そなたの力があればこんな奴・・」
「ええ、王太子であるダグラス様に背いたのですから、始末しても陛下もお許しになりますよ」
「・・・は?」
ちょっと待て!
今、ダグラスを王太子と言ったか?
「王太子、だと?」
「そうだ、王太子であるこのオレに反した罪は重い。だからここで成敗してやろう」
「・・・・」
呆れて物も言えないとはこのことだ。
「ダグラス様っ」
いつの間にかフランが魔力発動させダグラスよりも大きなファイヤーボールをオレに向けて放ってきた。
「ハハハっ!これで貴様も終わりだっ!!」
勝利を確信したダグラスは狂気じみた笑いで最後の一発だと自身も放つ。
「カイン様っ!」
見守っている貴族たちが悲鳴をあげる。
「きゃあ――っ!!」
ゴォオ――!
ドカンっ―――!
貴族たちにはフランが放ったファイヤーボールがカインに直撃したように見えた。
爆発した衝撃で黒い煙が立ち込めカインの姿が見えないことで、ダグラスもフランも歓喜した。
「やったぞ!あの生意気なカインを始末できたぞ!」
「ダグラス様っ!」
抱き合って喜んでいる二人だったが、煙が消えた先に無傷のカインを見て驚く。
「な、なぜ生きておる!」
「直撃のはず・・生きているはずがない!」
真青になっている二人にカインはげんなりした。
「あれくらいで死ぬはずがないだろう・・」
「で、でも、確かに・・・」
確かに、直撃したらケガでは済まなかったかもしれない。
だがカインには隠し玉があった。
「・・・クソッ!」
負け惜しみでダグラスがファイヤーボールを放つとカインの目の前で見えない壁があるかのように爆発して消えた。
それを見てフランが気づく。
「まさか・・シールド?」
「そうだ・・」
アレクが使っているのは広範囲に張る―――「結界」
オレが使ったのは―――「シールド」
いわゆる「盾」だ―――・・
王宮で攻撃魔法は禁止されているが守りの魔法は禁止されていない。
これで二人は禁止事項にふれたことになり処罰の対象になるだろう。
悔しそうに顔を歪めるダグラスに対してオレは楽しくて仕方がない。
「何を、笑っているっ!シールドなんぞ使いよって、卑怯だぞ!」
卑怯って、何だよ・・それ?
まあ、そんなことはどうでもいいか。
それより、これで父上がダグラスの魔力に気づきこちらに向かって来るだろう。
アレクもオレの思惑に気付いたみたいだし、証人も大勢いる。
さて、この状況をどうやって打破するか見せてもらうか・・。
愚かな、兄上よ―――・・・
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