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明かされる出生の秘密
しおりを挟むキレたカインに怯えるクリスを見て国王は苦笑した。
「まるで昔の余のようだな・・」
呟いた声が小さかったため誰にも聞こえていない。
だが、王妃であるイアンには聞こえなくても何を言ったかわかっていた。
普段は温和なのにキレると一気に爆発するところはホメるべきではないが、昔自分のためにキレてたことがありそこにイアンは惚れて結婚したのだ。
新婚生活は順調だった。だが、二人の間に割って入ったのがクリスだった。
子ができたから責任を取れとそう迫られたのだ。
正直悔しかった。イアンにはまだ子が出来なかったからだ。
だが、生まれてみれば髪の色も目の色も違っていた。
『王の子ではない!』―――!
誰もがそう思った。しかしみんな口を閉ざした。
例え事実であっても口に出すことは許されない。
言えば反逆罪として捕らえられるだろうから・・・
それが今明らかになろうとしていた。
「陛下、これを・・」
「うむ・・」
宰相から手渡されたのはダグラスに関する調査報告書だった。
「はあ・・やはりそうであったか・・」
何かを考えているのか目を閉じてしすぐにまた開いた。
その時の国王の表情は威厳のあるものだった。
「カインよ、もうそのへんにしておけ」
「ですが・・」
まだ言いたいことがたくさんあったカインだが、国王を手にする書類に目をやると手を離した。
頭のいいカインはそれが何か察したのだろう。
急に手を離されたクリスは突き飛ばされたような形で地面に付した。
「・・カ・・イン・・・貴様・・」
顔をあげて何か言いかけたが、カインが跪いているのと周りにいた貴族たちが静かになっていることに気付きキョロキョロと様子を窺う。
そして目の端にダグラスが転がっているのを見て動揺する。
「ダグラス・・」
駆け寄りたいが力が入らずその場で座り込んだ。
そして、冷たい視線を向けてくる国王に気付いた。
「クリスよ。貴様を国家反逆罪で死刑を言い渡すっ!」
「・・・・・・・・は?」
国家反逆罪・・・だと?
「な、何を血迷ったことを・・・」
動揺する中やっと出た言葉はさっきまでの勢いはなく途切れて弱弱しかった」
「血迷っただと・・?」
「だって、そうではありませんか?なぜ、私が死刑なのですか?」
必死な形相のクリスに国王は怒りで叫んでしまいそうなのをグッと我慢して言葉を続ける。
「身に覚えがないと申すか?」
「はい・・」
「そうか・・ところでクリスよ、魔力が子に継がれることは知っておるか?」
「はい、勿論・・?」
「では、親と異なる魔力が継がれることはないことは?」
「・・・・・・」
何か心当たりがあるのかクリスは黙り込み顔色が悪くなっていった。
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