クズ王子、弟にざまあされる

相沢京

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陰謀

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この時、王妃にはまだ子がいなかった。

だからクリスにはまだ余裕があった。




しかし―――




国中が『王太子の誕生だ』と歓喜に沸いた。




国王が王妃の身の安全を優先して妊娠していたことを極秘にしていたため、クリスは絶好の機会を逃したのだ。


悔しさと憎しみでこの時からクリスは悪事に手を染めるようになっていった。






そして、数年後―――



王太子であるカインとミネバ公爵の子息エレンとの婚約が発表された。



クリスは焦っていた。ダグラスの妻にエレンをと打診したのを断られたからだ。

そしてこの発表。


「イアンめっ!どこまで私の邪魔をすれば気が済むのだ!」



ミネバ公爵を取り込むことができれば、ダグラスを王太子にすることも夢ではないとそう思っていた。


「そうだ、エレンを襲わせてそれをカインの仕業にすれば・・・奴は王位継承権をはく奪され追放される・・・」



愚かみにもそんな浅はかな企みを抱いた―――だが・・・


ダグラスが余計なことをしたせいで何もかも狂ってしまった。

エレンにケガを負わせその罪をカインに着せ王太子の座から引きずり下ろしイアンを絶望の底に叩き落す。


そうなるはずだったのに・・・どこで間違えたのだ?


しかもダグラスの出生の秘密まで問われるなんて・・




「クリスよ、答えよ。答えなければこのまま拘束するぞ・・」


「そ、それは・・・」


背中に冷たい汗が流れクリスは動揺する。


そうだ。ダグラスには微量だが水の属性があった。これは伯爵から受け継いだものだが疑われないだろう。



「陛下、実はダグラスには微量ですが水の属性があるのです。ですから・・」


陛下の子ですと言いたかったが言えなくなった。


国王が怒りの形相をしていたから・・。



「クリスよ、間違いないか?」

「は、はい・・」

「間違いなくダグラスには水の属性があるのだな?」

「はい、間違いありません・・」


これで疑われることはないはずだと確信したのになぜか妙に心がざわつく。


「そうか・・・衛兵こやつを拘束して牢屋にいれておけ!」

「「はっ!」」


国王の指示のもと衛兵が動き出す。


「陛下・・何を?」

困惑するクリスに国王はこう告げた。



「余には水の属性はない・・・・こう言えばそなたがどう答えるか・・それが知りたかった。」

「・・うそを・・私を騙したのですか?」


食いつくクリスに国王は眉間にしわをよせる。


「そなたがそれを言うのか?余を世間を騙し続けたそなたが・・?」

「何のことですか・・?」




「クリスよ・・ダグラスは余の子ではないだろう?」







この瞬間、周りの空気が凍りついたーーー・・







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