クズ王子、弟にざまあされる

最終決戦といこうか！４

急に名前を言われてクリスは体を強張らせた。


国王の視線が真直ぐに彼に注がれる。



「・・・・・」

「・・クリスよ。そ奴らがそう申しておるがそうなのか？」


「そ、それは・・」




何と答えるべきが迷った。


奴隷商を紹介した覚えはないが、ただ思い当たることがあった。


夜会で外の空気を吸おうと出たときに、声をかけられたことがあった。

男は顔に傷かあるからと仮面をしていたため、人相はわからなかったが信頼できる貴族を紹介してほしいと、近づいてきた。

あのとき、酔っていたクリスは馴染みのあるアルバ伯爵の名前を告げた。ほんの気まぐれだった。まさか、あれが奴隷商だとは誰が思うだろう。

その時、お礼にと珍しい石のブレスレットをもらった。

赤く怪しい光を放つその石を見ているうちに思考が揺れ動いていたような気がする。

まさか、あれは思考を奪い操る魔石だったのでは・・・？


もしかして、私は―――操られて、いた？



そうだとしたら、納得がいく。


エリック様をルーベルト様だと思い込んでいたことも―――


彼が亡くなったことを忘れていたことも―――


今まで行っていた愚かな行為も―――



ああっ―――何て、ことだ！







「クリスよ・・答えよ」


国王が答えを求めている中、クリスは閉じていた目をゆっくり開けた。

その瞳には並みならぬ決意が込められているように見えた。

だから、国王はクリスの答えに期待した。





「陛下、私はどうやら誰かに操られていたようです・・」



信じてもらえないかもしれない。

何を戯言を―――と言われるかもしれない

だが、真実を告げなければいけない。






黒幕はそこにいるのだから―――





「ほう・・・」


陛下は私の言葉に興味を持ったのか面白そうに笑みを浮かべてくれた。