オレが受けなんてありえねえ!

相沢京

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案内されたのはトレーニング室。


色々な器具があって何人かの人が汗を流していた。

その中を抜けて一番奥の畳にあがる。

松本は制服を脱ぎシャツの袖をまくり勇人を見る。

自分と同じように袖をまくった勇人の腕はがっしりと筋肉がついていた。

それを見て自分の目は間違いなかったと確信に変わる。



準備ができると畳の中心まで行き一礼した。

「始めっ!・・」


高坂の合図で構える。

先に動いたのは勇人だ。

正面から突きに行くが、松本は避けた。

するとそこに勇人の回し蹴りが入る。

左腕で受け止めたが、ピリピリと痺れた。

「ぐっ!」

重い蹴りに松本の顔が歪む。

こいつ、やはりケンカ慣れしていやがる!



勇人の攻撃は空手の技ばかりでなくケンカで鍛えたハチャメチャな攻撃が中心だった。


勇人は遠慮なく松本に攻撃を加えていた。

これは試合でもケンカでもない。

手合わせである。

だから全力でく向かっていた。


この人、なかなかやるな・・


久々の手ごたえに興奮している自分にワクワクした。


やっぱり、こうやって暴れているのが自分らしい。

畏まっていることにはもう飽きた。



二人の手合わせに、段々とみんなが集まって来る。

高坂も勇人の実力に舌を巻いていた。

これほどとは思っていなかった。

是非とも風紀に欲しい


勇人の様子をみていたが、今度は松本が攻撃を仕掛ける。

まずは、横面に蹴りを、ーーー

間違いなく入ったーーーいや入ったはずだった・・・


だが、勇人はその蹴りを紙一重で避けた。


なにーーっ!


「ふえ――‥危ねえ・・」


後に飛び跳ねて、笑みを浮かべ、その身のこなしに見学していた者も驚きの声をあげた。


「何だあいつ、松本さんの蹴りを避けるなんて信じられない」

「・・すげえ」

「誰だ、あいつ?」

「どこかで、見たことあるな」


騒ぎだした仲間に大野は高坂を急かす。


「おい、もういいんじゃないか?」

「そうだな・・」


『止め』の合図を送ろうとしたその時


勇人の身体が宙を舞い、松本が吹っ飛んだ。


「がはっ!・・」


しんと静まり返る室内。


一瞬、何が起こったか理解できなかった。



宙を舞った勇人の身体から伸びた足が松本に直撃したのだ。



『胴回し回転蹴り』ーーー・・


その技を何人が理解できただろう・・

おそらく、技を受けた松本本人さえ何が起こったのかわかっていないだろう。


壁に激突して唸り声の松本を見てみんな息をのみ、勇人は息を吐いて一礼した。



パチパチパチパチーーーっ!



周りから喝さいの拍手を受け、勇人はそこでやり過ぎたと気が付く。


「えーっと・・・すみません、やり過ぎました。」

「・・・」

「大丈夫・・ですか?」


転校初日で上級生をのしてしまったことに内心、冷や汗ダラダラでだった。


これって、ヤバいよな・・



大人しくするつもりだったのにーーー



何でこうなった?













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