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しおりを挟む「兎に角、場所を移して話をしよう・・」
高坂の後に続いて入った部屋は、事務室のようで机に何台ものパソコンが並び簡単なキッチンもあった。
勇人はその端にあるソファーに座らされ正面に松本と大野がそして高坂は左隣のソファーに落ち着いた。
「さっきの話だが、相良はここのことをどこまで知っている?」
「どこまでって・・・」
何のことを言われているかさっぱりわからないって顔をしたら高坂はため息を吐いた。
「ここが、男ばかりで恋愛対象が男になりやすいっていうのは知っているか?」
すっかり忘れていたがさっき海斗に聞かされた話を思い出した。
「それはさっき知りました。」
「そうか・・・なら男女の交際のように付き合いだしたら身体の関係も持つ奴もいるっていうのは?」
「・・・・・・・はっ?」
身体の関係って・・・それって男同士で?
「はああああああーーーーーっ!イヤイヤイヤ・・まさかそんなバカなっ!」
興奮してつい立ち上がった勇人の高坂がなだめる。
「落ち着けっ!」
「いや、でも・・あんたが言ってんのは・・セ、セ・・・セックスのことだよな?
それって女の子とするもんだろ?
ここが閉鎖的で恋愛対象が男になっても仕方がねえかもしれねえけど・・
でもそんな信じられねえようなことをする奴がいるっていうのかよっ!!」
興奮して一気にまくしたてる。
だってそうだろっ!
そんなのありえねえだろっ!
「ハア・・ハア・・ハア・・・・・・・・・・あ、す・・すみません。つい興奮して・・」
冷静になろうと深呼吸しながら、この人たちが言わんとすることがやっとわかった・。
出されたお茶を一気に飲み干し、高坂の方を見る。
「お前が言うことは間違っていない。お互い合意しているならオレたちは何も言わない。だが、無理やり関係を押し付けられる奴が多いのが現実だ。」
「学校側は、理事長はどうしているんですか?」
そう、学校内で犯罪まがいのことが行われているならそれは理事長にも責任があるはずだ。
父さんは晴広兄さんがここの理事長だって言ってた。
まだ、会ったこともないからどんな人なのか判断つかないが・・・家族としては見過ごせない。
でもーーーー
『いいかい、勇人。学校内では目立たないように過ごすんだよ』
父さんとの約束がある。
何が起ころうと、それは破れないっ!
「理事長が変わったばかりで、この問題にまだ触れていない。
しばらく時間がかかると思う。
それまで、オレたち風紀委員ががんばるしかないんだ」
「・・変わったばかり?」
「そうだ、相良は知らないと思うが、ここは幸村コンツェルンの持ち物で、ついこの間総帥が亡くなって今後継者争いが起きている。だから理事長が誰になるかハッキリ決まっていない。まあ多分、幸村晴広さんに決まると思うが・・」
そうか、まだ決まってはいなかったんだ。
だから不在だったのか・・
父さんはオレには詳しい事情は教えてくれなかった。
オレのためだとは思うけど・・
過保護すぎるってんだ!
「そういう事情で人手不足なんだ・・」
「・・・・オレは」
クソッ!オレに何のしがらみもなければ喜んで手を貸すのに・・
「すみません・・・考えさせてくれませんか?」
ここで、断るのは簡単かもしれない。
だけど、がっかりさせたくなかった。
父さんに相談すれば許してもらえるかもしれないし・・
「わかった。いい返事を待ってる」
こうして、オレの転校初日は終わったのだった。
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