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しおりを挟む「ただし・・」
「ただし・・・何だ?」
何を企んでいるのかニヤリと笑いじーっと見つめられてイヤな予感しかしない。
「ただし、報奨金は三億円だ」
「さ、三億円―――ーっ!!
ビックリして大声を出してしまった。
「三億円って・・・そんな大金」
「ああ?幸村コンツェルンの子息が何言ってんだ?」
「え?あ・・・ああ、そっか・・うん、そうだった」
自分がそういう立場だったってことをすっかり忘れていた。
だから誘拐されたってことも・・・
そうか、オレの価値って周りからみたらそうなんだ。
何か、不思議な気分だ・
「それと・・」
「ん?まだ何かあるのか?」
「ああ、それと―――お前のキスだ」
「は?・・・はあああああ―――っ!な、何言ってんだ?」
「いいだろう?お前が気に入ったんだよ」
いつ、そうなったんだ?
両手で頬をしっかりと掴まれたかと思ったら視線がバチッと合う。
その瞳は熱を帯びていてオレの心を揺さぶる。
「勇人・・」
だが、この状況でそんなものにかまけているわけにはいかない。というか、流されてたまるかっ!
「ち、ちょっと待て!早まるなっ!!」
だんだんと近づいてくる顔に固まるオレ。
逃げようにも後は壁で両手は拘束されていて身動きがせきない。
鼻が触れそうになってギュッと目を閉じたら・・・
「がハハハハハ―――っ!」
なぜが思いっきり笑われた。
オレだけでなく周りの奴らも唖然―――。
「ギャハハハ―――ヒぃ、ヒャハハハハっ、ファハハハハ―――っ!」
桐生の笑いはなかなか止まらない。
「おい、何を大笑いしているっ!」
「だって・・その、顔・・・ヒャハハハハ――・・・あー、おもしろかった」
涙目で満面の笑みを浮かべられて気づく。
「まさか・・・からかった、のか?」
こんな時に何やってんだ!
「ボス、いい加減にしてください。勇人さまが困ってます」
食事を運んでくれていた奴が桐生に注意をする。
「だって、こいつが・・ブッ!」
再度ふきだすのを見て、まだ、笑い足りねえのかっ!
「ボスっ!!」
「はあ~、わかったよ。勇人のいい顔も見れたし作戦を実行するか!」
ボス?作戦?
一体何のことだ?
それに、なぜオレを『ゆうと』ではなく『はやと』と呼ぶ?
「城準備は出来ているか?」
「はい、ボス!後は勇人さまだけです」
笑っていた桐生の顔が、真剣な顔に変化した。
何が、起こっている?
桐生がオレのほうに振り向き、片膝を床に着き頭を下げた。
周りの奴らも桐生と同じポーズを取る。
「な、何だこれ?」
何が起きているか理解できないオレだった。
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