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しおりを挟むヘリポートが見えてきた。近くに人の姿も見える。
「母さんと父さん・・?」
「ああ、みんな勇人を心配して待ってたんだよ。夏樹もいるよ、ほら・・」
晴広の言う通り両親から少し離れたところの夏樹の姿があった。
あそこにいるということは、オレの正体に気づいてる?
バリバリバリっ―――
大きな音をたててヘリが着陸すると先に晴広が降りて勇人に手を差し伸べた。
「ほら、勇人」
「ありがとう、兄さん」
ヘリから降りることに慣れていない勇人は晴広の手を遠慮なく掴んで降りた。
プロペラが起こす風に目を細めながら両親の元へと歩き出す。
「母さん、父さんっ!」
「勇人っ」
「勇ちゃんっ」
「大丈夫か、どこもケガをしていないか?」
「うん、大丈夫」
「勇ちゃん、顔をよく見せてっ!」
母さんが涙をこぼしながら勇人の頬に手を添えて見つめてくれることに勇人自身心配かけたことを申し訳なく思った。
「ごめんね・・」
「ううん、勇ちゃんが悪いわけじゃないわ」
「そうだよ、謝るのはこっちだ。巻き込んでごめんね勇人」
父さんも泣きながら頭を撫でてくれた。それがとても嬉しかった。
「もう、大丈夫だから。これ以上勇人に手を出させないから・・」
「そうよ。もう大丈夫・・」
感動の再会っていうのをやっていたが、父さんの背後に夏樹兄さんの会長の姿が目に入った。
「・・・えっと」
夏樹はこの場面にどう対処すればいいか迷った。
会長として迎えるべきか、それとも兄として迎えるべきか・・?
そんな夏樹の態度に先に気づいたのは父さんだった。背後にいたとはいえ、視線には敏感だった。
「勇人・・」
勇人も名前を呼ばれどう答えようか迷う。だってまだ名乗っていないから、でももう弟だと夏樹に言いたいと強く思っていた。
「みなさま、ここでは何ですから中に入りましょう」
だがそこに中年の男性がそう言って声をかける。
「そうだね。中で話そう・・」
「・・・はい」
一旦勇人への視線を外し、中へと入って行く。
勇人は夏樹に対してどう態度を取ればいいのか頭を巡らせた。
緊張して足が震える。
何をどう言えばいいんだ?
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あ、名前のこと言わないと。
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それに、名乗らなかった理由も、か・・・
例え気づいていたとしても全てを告白しなければならないと思うと胸が痛くなった。
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