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22.高坂の惚気
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風紀室で一人の男がニヤニヤしていた。目尻が下がり鼻の下が伸びて風紀の鬼と言われて恐れられていた姿は見る影もない。
大野も松本もニヤケっぱなしの高坂に苦笑いが止まらない。
「なあ、高坂さんどうしたんだ?」
事情を知らない大野が松本に訊ねると大野は大きなため息を吐き彼の耳元で囁いた。
「勇人の告白されたんだよ。」
「ええっ――!、マジで?」
「お前、あれだけ騒ぎになってたのに知らなかったのか?」
「ああ・・片付けの後部屋に戻ったから・・」
「いや、時間も経っているから知らないってことはないと思うんだが・・」
基本的に必要なこと以外は耳に入れないようにしている大野はあの勇人が高坂に告白したことが意外で驚いた。
あいつ、ノーマルだって言ってたはずだが・・・気が変わったのか?
頭をかすめたのは夏休みの誘拐事件。今まで庶民として過ごしてきた彼にはきっと刺激が強かったと思う。もしかして、それがきっかけであいつの中で何かが変わったのかもしれない。
そんなことを考えながら高坂を見ればスマホを見てニヤニヤしている。
はっきり言って気持ちが悪い。
何を見ているんだ?
気になって彼の背後に回ると、チラッと見えた写真に思考が止まる。
黒いボンテージ姿に仮面をつけて、鞭を振るっているその顔は狂気じみているように見えた。
何だあれはっ!
驚いて持っていた書類を落としそうになった。
高坂さんって、あんな趣味があったのか?
疑いの目を向けていると、大野の視線に気づいたのかこっちを振り返って目が合った。
「―――っ!」
「―――っ!」
そして、お互い固まった。
『こいつ、この写真をみたのか?』
『えっと、どうしよう・・・マズイよな・・』
高坂は写真を見られたことを疑い、大野は見つかって動揺する。
大野のやつ、勇人に気があるんじゃないよな?
そういえば、松本と手合わせしたとき随分興味ありげに勇人を構っていたな。
まさか、狙っているなんてことは・・・?
恋は盲目というが、まさしく高坂がその状態で大野を疑い始める。
対して、大野は高坂がそんな不毛なことをかんがえているとは思わず曖昧な笑顔を向けて誤魔化そうとしていた。
何か、物騒なことを考えているよな気がするんだけど・・・
「こ、高坂さん・・・?」
「・・・・大野、お前勇人を狙っているなんてことは?」
「はっ?・・」
的外れなことを言われて大野は目をぱちぱちさせた。
「な、何いってるんですか?オレは勇人に対してそんな気持ちはありませんよっ」
思いっきり否定するが、高坂はじとーとした視線で見つめる。いや睨んでいるといった方がいいだろう。
一触即発なんて空気になりそうで焦ったのは松本だ。
「高坂さん、いい加減にしてください!」
「・・・」
「オレたちは勇人に対してそんな気持ちは持っていません。あいつはオレたちにとってかわいい弟分ですよっ!!」
必死に疑いをはらそうと詰め寄ると、高坂はやっと納得したようだった。
で、ここで終わりではなかった。そこから永遠と勇人の話を聞かされて解放されたのはどっぷり夜が更けた頃だった。
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