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しおりを挟むこいつ、何を考えていやがるっ!
引き離すとしたが、うまくいかず男は楽しそうに呟いた。
「お前、かわいいな。オレと付き合わねえか?」
「はあ?ふざけんな!」
「いいじゃねえか・・もったいぶるなよ」
これは明らかに嫌がらせだ。
『付き合え』だと?
冗談じゃねえ!
目を細めてからかうような口元にオレはキレる寸前だ。
「お前なあっ!」
怒りで右の拳が震える。でも、こっちから手を出すわけにはいかねえ。
男はそれがわかっていて絡んでいるようだ。
赤い長い髪にカラコンなのか深い緑色で顔は整っている。背丈はオレより10センチぐらい高いと思う。それが何より腹が立つ。
「おい、いい加減にしろよっ!」
腰に回された手を引きはがそうと後に手をまわしたのがいけなかった。
男はもう片方の手でオレの顎をクイッと上げた。
不意打ちをくらったオレは抵抗できず、影ができたなあ~と思ったら・・・
唇に柔らかい感触――――
そして、それが何なのかわかった途端・・・・・・
固まった―――――・・・
それはすぐに離れて行った。
「クスっ・・」
鼻で笑う男の声に我に返る。
プチっ!
キスをしてオレを手に入れたとでも思ったのか、完全に油断している男の膝で股間を蹴り上げる。
そして、膝が折れた拍子に右ストレートを顔に食らわせてやった。
「グエッ!」
痛みで膝を床につく奴を睨みながらオレはトイレには行かず、しばらくふらつくことにした。どうせあのまま戻っても騒ぎになって接客なんてできるはずがない。
「チっ・・・」
でも、この格好はマズかったと後悔した。
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